星屑

「絶望の淵で出会おう」 答え合わせをしよう

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生きていることの懐かしさ

10年くらい前、誰かのFacebookの結婚報告のコメントに吉野弘さんの祝婚歌の詩が流れてきた。 『生きていることの懐かしさにふと胸が熱くなる そんな日があってもいい そして なぜ胸が熱くなるのか 黙っていても二人には わかるのであってほしい』という詩。 当時の私は"生きていることの懐かしさ"が何なのかわからず、その頃から約10年ほど"生きていることの懐かしさ"について考えてきた。 *** 結婚し夫婦となった2人が、生きていることの懐かしさを感じるというのは、共に歩み続

    • 魅力について

      物心ついた時から、人の魅力について考えていた。とくに小学校に入学してからは、たくさんの人と出会い、そのたびにその人の魅力や、なぜ可愛く見えるのか、を観察していた。それは今でもそうだ。YouTubeを見ても、SNSを見ても、映画を観ても、音楽を聴いても、この人の魅力の根元がどこにあるのか、というのがなんとなくすぐにわかる。それを本人が自覚してやっているのか、そうでないのかも、なんとなくわかる。もとをたどれば、そうなったのも根本的には、なぜ私には魅力がないのか、ということにコンプ

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      • 記憶の一欠片

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        • 夏企画、制作秘話と最近

          1通のメッセージが届いた。そこには私が撮影した海の写真に、1人の少女の絵が描き込まれていた。 これまでも私が作った詩にメロディを付けてくれた人や、似顔絵を描いて送ってくれた人、二次創作をプレゼントしてくださることが何度かあったけれど、作品として出したことはなかったな、とふと思い、そういったものを拾いあげてコラボ作品にしてみたら面白いかも、と思ったのが最初でした。 ***

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        生きていることの懐かしさ

          文藝メディアフィナンシェ連載

          最近のこと 「金澤詩人賞に入選したのでnoteにまとめて感想を書きます」とツイートしておきながらまだ書けていません(忘れてはないです)。 おめでとうメッセージやリプライをくださった方、本当にありがとうございました! *** 最近はこちら文藝メディアフィナンシェ(https://note.com/__financier___)さんにて、連載を執筆させていただいているので、まとめておきます。 ◎第1回目  3月29日公開 「天国、ひかり、走馬灯」: 星屑 "天国"という

          文藝メディアフィナンシェ連載

          寂しさ、孤独、周波数と仮説

          17時30分 この時間でもこんなに暗くなってきたんだなと季節の移ろいを感じながら、ケーキ屋さんに寄って帰ることにした。 薄暗い空は灰色がかった雲で覆い尽くされ、行き交う自動車はライトをつけていたり、つけていなかったりして夜へと走ってゆく。あたたかな灯りが溢れるケーキ屋さんの店内に入ると、〈ケーキ〉だと予想していたほど冷たくない、端正じゃない、もっと型崩れしたようなほくほくする匂いがして、見渡してみると〈焼き立てパイ〉が並んでいるのを見つけた。 いい匂いだな、とうれしくなっ

          寂しさ、孤独、周波数と仮説

          9がつ4にちの日記

          夢を叶えた人はそれが日常になって人生になっている ということを、信号待ちしているときにふと思った 移り変わる景色の 日常のなかにあるパン屋さん、ケーキ屋さん 新しくオープンしたカフェ、たこ焼き屋さん 実際に蓋を開ければそこに夢なんてなく、妥協でできた商店街なのかもしれないけれど、かつて手を伸ばしても伸ばしても触れられなかった夢が日常になっている、ということを考えた時すこし不思議な感じがした ・*・*・*・ わたしには日常にならなかった、することができなかった夢がたぶん

          9がつ4にちの日記

          幻は永遠なんかじゃなかった

          音楽をシャッフルで流していると、たまにビビッとくる曲に巡り合うことがあって、私はそういう曲を運命だと思っているけれど、そう考えると私のいう運命ってたまたま今の自分自身と周波数が一致することを言っているのかもしれないな、みたいなことを考えていた。 感情はその時しかないものだから、10年後にこうしたい、という今の感情は10年後には存在していないかもしれないし、そうやってすべての感情を腐らせて生きていくただそれだけの"今"って実質的死を意味してるとおもう。 でもそうすることでしか

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          幻は永遠なんかじゃなかった

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          線香花火

          すきです インターネットがきらいになりました きもちわるさが見えてしまうから もう安全な場所はどこにもないです でもきみがいるからもう少し 見ていようとおもいます きみにだけは夢が見れます もうこの世界から夢は絶滅したはずなのに きみの中にだけは残っているみたいです 6月、時間軸が歪んでいく 過去なのか現在なのか未来なのか わからなくなる、通路みたい 時間感覚が失われていく どこにいるかもわからなくなる カラオケ屋さんの トイレまで続く通路みたい 番号で割り振られたあの部屋

          線香花火

          倫理も法律も宗教も届かないところで僕を見つめて

          地元で春祭りが開催された お祭りに1人で行くのが好きな理由はいくつかあるけれど、1番は、たくさんの人混みのなかで入り混じるいくつもの波の動きを、空気を介して直接感じられるからで、そこが異空間になり得るし、いくつもの世界が混在する中で、私と私以外の立ち位置を把握できてしまう、色そのものを失いたくなる。 ちょうど1年前に同じお祭りに行った時に感じたものは、恐怖だった。そこに居る人間が、誰1人として人間には見えず、何かを失った、5030年と交錯した、大気圏を通過してきた別の生き

          倫理も法律も宗教も届かないところで僕を見つめて

          淀み、そして春

          君を追いかける、自転車を走らせた3月のことを思い出しながら揺られる中央線快速、午後2時。永遠に降りることのない街を眺めながら、きっとここにあるはずの知らない暮らしに夢だけを残して僕は行く。新しい暮らし、ワンルームの薄暗い台所には人の気配がしなくて、なんだか急に寂しくなって、思い出たちと一緒にお散歩に出かけたくなる。 セピア色のカラーコンタクトはどこ?/僕の視界を染めるために/クリアコンタクトの真ん中に一滴/薄茶色のペンを探す/そして小さい丸を塗る 「やっぱりぼやけたままで

          淀み、そして春

          グロい、それは春。

          春、死の予感がする、風に浮かべた花びら、落ちる、落下へと急ぐ、漂うのは死を孕む肉体、生命などに包まれている。温度を失ったままの身体が追いつけない。そこに無いのは温もりだけで、視界は飽和状態だった。四月、クラスで係決めをする、本当は飼育委員になんてなりたくなかった。小学校の飼育小屋からこっそり盗んで持ち帰ったニワトリの卵は、私の子宮の中では孵らなかった。急速に凍結していく現実、ニワトリの卵、卵、卵、卵、ら、ら、卵、らら、卵、卵、スキップをしてみる、鼻歌をうたう、子宮に置き去りに

          グロい、それは春。

          プリクラと反省

          最後にプリクラを撮ったのは5年前で、もう人生で2度と撮ることはなかったかもしれないプリクラを何となく思い立って撮りに行った。あの頃仲良かった友人はみんなどこか遠くに散ってしまっているし、いまさら誰かを誘ってまでやりたい事など無い。 ゲームセンターはあの頃とは変わっていた。当時、プリクラ機7割、クレーンゲーム3割だったフロアには、プリクラ機1台しか残されてなかった。 「どのプリ機にする〜?」と、懐かしい友達の声がする、わたしは選択肢のないたった1台のプリクラ機に強制誘導され

          プリクラと反省

          2がつ12にちの日記

          オーケストラのコンサートを観に行った。 クラシックに感動すると言う人もいるけれど、私はどう感動するのかあまりわかっていない。音に圧倒されるという意味での感動はもちろんあるけれど、私が知ってしまった"感動"にはとても届かなくて、それを感動と呼んでいいのかわからない。小さい頃は純粋に「すごいなあ」と感じていただけだったけれど、あれから20年も経てば感じ方も変わっている。 私はもう誰かの人生にしか感動できなくなっている。 作品を通して垣間見る誰かの人生に。 演奏を聴きながら「

          2がつ12にちの日記