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引用日記㊱

宿を出るとき地図を見て、マンジ印の多い道を選んできたのだ。土塀の続く裏路には冷たい空気がたまっていて、歩いて行くとゼリーのように顔にあたる。右の家もお寺、左もお寺、その隣りもお寺、濃淡の墨色に静まり返っている。

武田百合子「京都」『遊覧日記』(作品社、1987)

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