引用日記⑧

現象学的世界とは,何か純粋存在といったようなものではなくて,私の諸経験の交叉点で,また私の経験と他者の経験との交叉点で,それら諸経験のからみ合いによってあらわれてくる意味なのである。したがって,それは主観性ならびに相互主観性ときり離すことのできないものであって,この主観性と相互主観性とは,私の過去の経験を私の現在の経験のなかで捉え直し,また他者の経験を私の経験のなかで捉え直すことによって,その統一をつくるものである。

モーリス・メルロ=ポンティ『知覚の現象学 1』(竹内芳郎・小木貞孝 訳、みすず書房、1967年)

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