1.物理と生物進化の話から

 現代の課題を考えるに当たり、根本的なことから考えていこうと思う。人間は動物であり、生物であるから生物の進化の法則に支配されていると思う。さらに、生物は粒子からなるものであるので、結局は物理法則に支配されていると思う。こう考えると人間に自由意志はあるのかという問題になってしまうが、ここではそれについては触れないことにする。以下は、私の拙い知識からの妄想であるが、現代の課題解決の出発点として考えてみた。

 宇宙を形成する粒子は、その粒子間において引きつけ合おうとする力と離れようとする力があり、宇宙全体としては離れようとする力が強く、無秩序の方向に向かっている(エントロピー増大の法則)と思う。しかし、引きつけ合おうとする力によりものが形成され、その力でものは維持しようとする。そして、粒子間では化学反応が起こり、そうした中から生物が誕生した。生物もものとして維持しようとするが個体での存続は不可能なので、世代交代により環境変化への対応もしながら遺伝子で、さらに種も変化しながら生物というものを維持してきた。つまり生物は遺伝子という同じものを受け継ぎながら、少しずつ変化していくことで環境対応し生存してきた。さらに、性が出現することで、二つの個体の遺伝子を組み合わせて次世代を残すことでより変化の範囲を拡大し、より環境変化への対応を柔軟に行えるようになった。生物は、遺伝子により同じものを残しながら、少しの変化という個体ごとの多様性を持つことで、生存を維持、進化してきた。つまり、生物は同じで違っていることで進化してきたと思う。人間もそうした多様に進化した生物の一種である。
 私は、現代の人類の課題解決のポイントは真のグローバル化と多様性であると述べた。その二つは、生物を環境変化に対応しながら生存を継続させ進化させてきた生物進化の法則に則ったものであるのではないかと思う。真のグローバル化とは、全人類が同じ人類であり、共通の課題(人類という種の持続)に取組むという「同じ」ということであり、多様性とは、人類の個体は同じものがない唯一のものとして存在し、その少しずつの「違い」が環境の変化、つまり課題への対応に必要となるということである。生物を持続可能なものとしてきた「同じで違う」という法則を、人類の持続可能のために適用するのが、真のグローバル化と多様性であると考える。

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