頭痛の種類と意外と知られていない片頭痛の特徴
こんにちは。浦和と自由が丘で鍼灸師をしております萱間洋平です。前回に引き続き頭痛のお話です。前回は「危ない頭痛を見抜くには」というテーマでお話させていただきました。
上記内容はセラピストさんにとっては問診に活かすべき超重要テーマとなっています。一般の方にとっては知っていれば、ご自身や身近な人を救うことができるかもしれない、そんな知識だと思います。本日は頭痛の種類と意外と知られていな片頭痛の特徴についてお話をさせていただきます。
危ない頭痛の二次性頭痛、お薬や鍼灸などが対象となる一次性頭痛
頭痛は大きくわけると一次性頭痛と二次性頭痛に分けられます。
一次性頭痛とは頭が痛いという症状そのものが病気の本態とされるもので、片頭痛や緊張型頭痛がこれにあたります。
二次性頭痛とは、脳や血管など、頭の骨の中の組織の病変により頭の痛みが引き起こされるもののことで、代表的なものとしてくも膜下出血や脳腫瘍による頭痛が該当します。
二次性頭痛については、前回の記事で冒頭にご紹介した、「危ない頭痛の見抜くには」でお話をさせていただきましたのでそちらをご参照ください。
一次性頭痛の大多数が片頭痛と緊張型頭痛に分類されますので、まずは片頭痛と緊張型頭痛の特徴について理解をしていきましょう。
片側で拍動性だと片頭痛、両側だと緊張型頭痛??
一般的には、片頭痛は片側のズキンズキンと脈打つような拍動性の痛みで、閃輝暗点といわれる目の前がチカチカしたりギザギザするようなものが見える視覚前兆を伴うことで有名です。また、緊張型頭痛は、頭の両側を締め付けれる様な痛みで、筋肉の緊張(こり)が原因であるとよく言われます。
どちらの説明も間違いではありませんが、これだけではどちらに当てはまるのかは実は決められません。
片頭痛と緊張型頭痛を考える上で非常に大切なポイントがあります。
それは、片頭痛を患う方は、緊張型頭痛の要素もほとんどのケースで持ち合わせているということです。
緊張型頭痛の要素とは、締め付けられる様な痛みと、こめかみや顎の筋肉、首の筋肉を押したときの痛みが代表的です。
したがって、片側か両側かといった部位による違いはだけでは片頭痛と緊張型頭痛をわけるポイントにはなりません。また、脈打つような拍動性の痛みも片頭痛にとっては必ずしも必要ではありません。エピソードとしては有名な前兆ですが、前兆を伴う方よりも伴わない方の方が多く、前兆がない方が6割から7割を占めます。というわけで前兆というのもまた片頭痛を決定づけるものではありません。
片側の痛みや脈打つような拍動性、前兆ではない片頭痛を決定づける特徴とは・・
片頭痛を特徴づける症状としてもっとも重要なことは、重症度の有無と、悪心嘔吐あるいは過敏性の有無です。
重症度の一つの目安は、日常生活への支障があるかどうかです。頭痛があるために横になって仕事や家事などを中断しなければならないということであれば、日常生活に支障があるといえるでしょう。
悪心嘔吐とは、気持ちが悪くなり吐きたくなったり、実際に吐いてしまうことをいいます。
過敏性とは、光過敏と音過敏を指します。頭が痛いときは普段よりまぶしく感じたり、静かなところに居たいと感じるようであれば、光過敏と音過敏があると考えられるでしょう。
緊張型のベースの上に重症度や過敏性が付与されたものが片頭痛
まとめると、以下に該当する場合は片頭痛である可能性が高いと言えるでしょう。
頭痛により日常生活に支障をきたしている。
悪心嘔吐がある、もしくは光過敏と音過敏がある。
また、チョコレートやワインなど、食品により頭痛が誘発されるという話も片頭痛では有名で、確かに特定の食品で誘発される方はいるにはいるのですが、実際はそれほど関係はありません。
すこし今日の本題からそれますが、食品や食事でいうと、現代医学的なマネジメントの手法である、「この食品、この栄養素、この食事が体に良い(あるいは悪い)」から「この食品、この栄養素、この食事を取る(あるいは取らない)」というやり方が有効性を発揮できるかどうかはケースバイケースです。例えば、アルコールや精製糖による甘いものが片頭痛に限らず体に悪い、というのは一般的に知られた事実だと思いますが、体(と心)にとって本質的で重要なことは、そういったものを欲するときの体(と心)の状態を知るということです。これは東洋医学的なアセスメントになってくるので、また違う記事でお話したいと思います。少なくとも、体に悪いから取らないようにする、という我慢する形での制限のかけ方だと長続きしないし、他の食事や行動で代償するケースも多くみうけられます。
このように、(鍼灸師的な)臨床上では片頭痛と緊張型頭痛ははっきりと分けられるものではなく、連続的な状態で、より重症度が高いものが片頭痛というイメージです。
首肩のこりや痛みという緊張型頭痛の要素をベースに、重症度や過敏性が乗っかっているものが片頭痛、という理解がわかりやすいと思います。
いかがでしたでしょうか。学校では片頭痛は片側の痛みや前兆を特徴として習うことが多いのではないかと思いますが、ぜひ重症度と過敏性も問診で聴取なさってください。逆に、「私は前兆がないから片頭痛ではない」、と思われている方が実は重症な片頭痛だった、ということもよくあるケースです。
この記事の執筆者
萱間洋平 かやまようへい 1980年浦和生まれ
神奈川県立横浜緑ヶ丘高校卒業→慶應義塾大学理工学部物理学科卒業→製薬会社勤務→鍼灸あん摩マッサージ指圧師免許取得→鍼灸学校教員免許取得→慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了→慶應義塾大学医学部漢方医学センター非常勤講師(鍼灸外来)→ヘルスケアデザインラボ代表
ランニングと料理とサウナが好き