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「成長」なんかしなくてもいいという話

1.はじめに

 SNS上の発言とかを見ていると、「成長したい」とか「成長したからこんなに儲かって経済的自由が得られた」なんて言説がいっぱいありますよね。あとアメリカや中国で、ベンチャーで一発当てて二十代で大金持ちになった人の話とか、日本でも様々な形で活躍している人の話を聞くことも多いと思います。励まされる人も多いと思いますし、向上心を刺激されることもあるとおもいますが、焦りやストレスを感じる方も多いと思います。そんなあなたにちょっとだけお話ししたいことがあります。

2.データの話

 地球上に何人の人が生きているか知ってますか?2019年の時点で77億人です。世界の労働所得の約半分は上位10%の就労者に配分されています(2019年ILO調べ)。簡単に言えば8億人でパイの半分、残りの70億人で残りのパイの半分を食べているイメージです。格差としてはざっと10倍ですね。

 さて粗っぽい話ですが「残り半分」とされた70億人の人達は、最初の半分の人達の1/10の努力しかしてないから所得が半分なのでしょうか?成長していないからお金が無いのでしょうか?違いますよね。ほとんどがどこに住んでいるかという「運」で決まっているのです。じゃあ日本はどうでしょう。所得の中央値は世界7位、上にいるのはオーストラリア、スイス、ベルギー、オランダ、フランス、カナダだけです(2018年のデータ)。悪くないでしょ。でも自分は安月給だしそれは関係ないと言うかもですが、そんなことはありません。あなたは金持ちなのです。少なくとも夜中にコンビニに行って、カップラーメンを買えるくらいのお金は持っているでしょ?それは世界の基準から言えば大金持ちです。加えて言うならば夜中に襲われる心配をほとんどしないで買い物に行けるなんていうのは、世界中見回してもほとんどありえない安全さで、これはとても運がいいことなのです。

3.辛抱強くこの記事を読んでくれている人のために

 ほとんどの人が、前節の途中でうんざりして脱落していると思うので、この節を読んでいる人は辛抱強い人です。それかとてもヒマなのでしょう(笑)。冗談はさておき、本題に戻ります。もしもあなたが第2節を読んで「そんなデータは知ってるけど、実際に私は不幸せじゃん。それは私の力が足りなくて、上のクラスに行けないからだ」と思うなら、それはドツボへまっしぐらです。イヤなことを言います。SNS上で粋がっている人は、なんでそういう発言をしているのでしょうか?黙ってりゃいいのに。答えは単純です、不幸せなんです。承認欲求を満たしたいと思っているのです、もっともっとを求めているのです。さらに言えば、中には「嘘つき、詐欺師」も混じっていてあなたから搾取する気満々なんです。「一緒に成長して経済的自由を得ましょう!」ってなんだか良い人そうですが、そういう発言をしている人はセミナーであなたから10万円を巻き上げていませんか?冷静に考えてみてください。そのセミナーで得られる情報は、ゴミではありませんか?「いや私の『成長』に必要なんだ」とおっしゃるかもしれません。「無料の情報で遠回りをするよりも自己投資をして成功者の真似をするのが一番賢い選択だ」。はい、ダウト。それで「成功」する人も実際にいるでしょう。でも成功した人の話は、生存者バイアスがかかっています。失敗した人は発言しないのです。

4.とりあえずのまとめ 

 幸せは他人との比較の中からは生まれません。そんなことは知っているよ、となおも主張するならばあなたはどこに向かって「成長」したいのですか?その成長は他人が決めた価値観の目盛りで計られていませんか?他人の尺度に依存する限り、あなたは不自由です。「でも実際問題として私は不幸せだ」と言うかもしれません。それは情報過多なのです。現在は超富裕層の情報からなにからなにまで情報であふれかえっています。美味しそうにBBQをしている写真、クルーザーでガッツポーズをする姿、ノマドスタイルで好きなことをして稼いでいる若者の笑顔。それらはすべて「事実」かも知れませんが、「成長」とは何の関係もありません。ほとんどの場合「運」が良かっただけです。一番有名で古典的な話なら、「金持ち父さん」シリーズのロバート・キヨサキは、ハワイの不動産バブルに乗れた運のいい人というだけです。別にディスっているわけではなく、そんなものだと言うことです。 

 「成長」を目指して「努力」するのは良いことでしょう。でも落とし穴に気をつけてください。「成長」なんかしなくても幸せになれる、ということに気がつかないと不幸せなままです。他人の価値観に振り回されているうちは、絶対に幸せになんかなれません。もちろんスキルをつけてできることが増えればチャンスは拡がります。運が良ければお金も貯まるでしょう。でもそれは結果にすぎないのです。

 


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