2021.6月14日 お部屋にある本を再読シリーズ 『インフェルノ』📚
図書館が休館中なので、自室に持っている本を再読していますシリーズ
今回は、ダン・ブラウン氏著『インフェルノ』です。
映像化作品も大人気、ラングドン教授シリーズ第四作の小説。
個人的には、シリーズの中で
第二作目の『ダ・ヴィンチ・コード』と同率1位!というくらいお気に入りの作品です。
(映画版では、順番が変更されていて『ダ・ヴィンチ・コード』が第一弾、『インフェルノ』が第三弾となっていました)
作家の阿刀田高氏が、文庫本版の解説の中で
以下のように書かれています。
《ダンテの『神曲』を基いとして、これは地獄である。因みに言えば煉獄はプルガトーリオ、天国はパラディーゾ……。
あ、これについては作品の中にも書いてあって、一読いろいろと勉強になる知識が初級、中級、上級と、たっぷりとちりばめてあるのもダン・ブラウンの小説の大きな特徴である。
まったくの話、疲れてしまうほど広く、深い。
このペダンティズム、あなたはお好みだろうか。》
この読者への問いかけに対し、わたしは大きな声ではっきりくっきりとお答えしてみますと。
「大好きです❣️❣️❣️
♪───O(≧∇≦)O────♪」
疲れてしまうほど広く、深く、たっぷりと盛りだくさんに、勉強になる知識がちりばめてある書物を読んでいると
逆に、疲れが取れて活力が湧いてくるのですよね♪
小栗虫太郎氏の『黒死館殺人事件』のような、
極度の衒学趣味的作風で書かれた小説が、大・大・大好き💕
ウンベルト・エーコ氏の『薔薇の名前』も、
中井英夫氏の『虚無への供物』も、大好きです。
そんな私が、ブラウン氏の『インフェルノ』を愛好しないはずがない!
フィレンツェ・ヴェネツィア・イスタンブールと
観光地としても人気の高い街を、アクティブに次々と移動し舞台を変えていく、
スピード感とエンターテイメント性の高さも、この小説の魅力ですけれども。
それよりも、私にとっては。
ダンテの生涯や『神曲』についてのあれやこれやを
圧倒的な筆力で語り尽くすこのペダンティズムこそが
何よりも、この小説の魅力であります。
それに加え、この第四作『インフェルノ』は
それまでの三作よりも、社会派ミステリのような側面も持ち合わせていて
色々と、考えさせられる点が多いように思います。
【一部の天才やエリートによる過激な暴走】という筋書きは、
小説やアニメ作品において、好んで描かれるテーマであり
1ジャンルというか、お決まりのカテゴリーとして確立されているのでしょうね。
ベルドラン・ゾブリストの思想として語られている
「輝かしい"ポスト・ヒューマン”の時代──真の進化の時代──の入口に人類がいる」
という言葉に、まるで日本の超有名アニメ作品の『機動戦士ガンダムシリーズ』を、ふと思い出してしまいました。
☆
因みに。原作と映画版では、結末がまったく異なります。
どちらもフィクションなので、どちらの結末も有りだし
異なることに意味があるのかもしれません。
この小説の日本語訳が単行本で刊行されたのは、2013年なのですが
2021年の今、読み返してみると
胸に突き刺さるような文章が書かれていて、ハッとしてしまいます。
最後に少しだけ本文を引用しておきます。
人によって、何を感じるかはそれぞれだろうと思います。
「そこにはちりばめられていた……星々が。」
以下、小説『インフェルノ』本文より一部抜粋
《「”世界のあらゆる地域に人々が満ちあふれ、いまいる場所で生きていくことも、ほかへ移ることもできなくなったとき……世界はみずからを浄化するだろう"」男の顔を見つめる。
「WHOの職員ならだれでも知っていることばよ」
「よろしい。では、マキアヴェッリが疫病を世界の自浄作用であると論じたこともご存じだろう」
「ええ。それに講演でも言ったとおり、人口密度と広範囲に及ぶ疫病の発生とのあいだに相関関係があることを、WHOはじゅうぶん認識しています。
でもわたしたちは、つねに新しい発見方法と治療方法の開発をつづけている。
WHOは疫病の世界流行の予防に自信を持っているわ」》
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