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1547日目のカンファレンス | 4.ぺちこん関西2024は成功か?失敗か? -- PHPカンファレンス関西2024 回顧録
2024年 02月 11日 日曜日。
PHPカンファレンス関西は、6年ぶりに開催されました。
ここに至るまでの経緯、組織づくり、そして実行委員長としての立ち回りについては、前回までの記事で詳しく述べた通りです。
この記事では、当日の動きについて、どのような対策を行ったのか、そしてカンファレンスの開催結果を私自身がどのように受け止めているかについてお伝えします。
目次
この記事は連載記事(全4回)の第4回です。
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第1回:開催失敗から再開まで
第2回:組織づくり
第3回:実行委員長
第4回:ぺちこん関西2024は成功か?失敗か?
当日の流れ
朝のドタバタ準備
絶対に失敗は許されない
作業班
タスク準備カード
遊撃班
各作業班の作業内容
実行委員長は動かない
当日の様子
準備/開場フェーズ
トークフェーズ
LT/懇親会フェーズ
各企画のふりかえり
初参加の割合
"お誘いチケット"について
PHPerシールについて
トーク診断について
PHPカンファレンス関西2024は成功か?
今後について
終わりに
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当日の流れ
当日のスケジュールは、以下の3部に分けて構成されました。
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準備/開場フェーズ(1.5h)
機材の配置や準備を行う
来場者の受付を開始する
トークフェーズ(5.5h)
各講演を行う
LT/懇親会フェーズ(4.0h)
LTや懇親会を行う
並行して片付けや機材返却を行う
当日は、これまで準備を進めてきた実行委員に加え、「当日スタッフ」として協力してくださった方々を含め、合計47人で運営にあたりました。
このスケジュールで最も課題となったのが、「準備・開場フェーズ」です。今回はスケジュールの都合上、前日に会場を押さえることができず、当日朝の会場レンタル開始と同時に準備を始める必要がありました。そのため、会場のレンタル開始と同時に準備をはじめ、そのため、60分以内に機材の設置を完了させ、会場オープン後の30分間で受付を終えた上で、オープニングを開始するというタイトなスケジュールでした。
当日の様子に触れる前に、この「準備」の詳細についてお話しします。
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多い…
朝のドタバタ準備
絶対に失敗は許されない
以下は、PHPカンファレンス関西2024のタイムテーブルです。今回のテーマに含まれる「新たなコミュニティ参画者発掘」を実現するため、登壇のチャンスを増やす構成にした結果、トークとトークの間隔が非常に短くなってしまっています。そのため、朝の準備スケジュールが遅延すると、カンファレンス全体に影響を及ぼしてしまう状態でした。スケジュールの遅延だけは、何としても絶対に避けなければなりませんでした。
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トーク間に余裕がない
朝の準備を60分で終え、その後の受付を30分で完了させるためには、万が一問題が発生した場合でもスムーズに対応できる体制を整える必要がありました。
何か問題が発生した際、全スタッフが準備内容をすべて理解し、それぞれが臨機応変に対応できれば理想的です。しかしこの規模のイベントでは現実的ではないでしょう。また、問題が発生した際に、その作業を担当する実行委員や実行委員長に質問が殺到してしまうと、60分という限られた準備時間内で作業を終えるのは難しくなります。
そのため、スタッフには、最低限自分が担当する作業を正確に把握してもらうための工夫をしました。それが「作業班」の作成と「タスク準備カード」です。
作業班
「作業班」とは、各作業を行うためのグループ分けです。準備作業をスムーズに完了させるためには、スタッフ個々の負担を軽減し、頭の中をシンプルにすることが重要です。つまり、やるべき作業を絞り込み、考えることを最小限に抑えた状態で準備に取り掛かってもらう工夫をしました。
作業班は全部で14班作成しました。また、それぞれの班には必要に応じて実行委員会のメンバーを加え、指示役を担ってもらいました。
各班に割り当てた作業内容については、事前に説明を行った上で「タスク準備カード」を用いて明確に伝えました。
タスク準備カード
「タスク準備カード」は、各作業班への指示書です。依頼するタスクの内容について、「背景」「内容」「完了基準」をまとめてあります。これにより、作業班のメンバーが自身のタスクを把握しやすくなり、効率的に作業を進められるよう工夫しました。
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全14班分あります
さらに、このタスク準備カードは印刷して各班に配布しました。
事前に全スタッフへ口頭で説明し、ファイルとしても共有していましたが、当日カードの存在を忘れずに確認でき、必要なときにすぐ閲覧できる状態を整えることで、スケジュール遅延のリスクを最小限に抑えようと考えました。PHPカンファレンス関西はWebエンジニアのイベントであるため、各スタッフがスマホで内容を確認できるようにする方法も検討しました。しかし、確実性を重視し、当日現場で誰でも手軽に読めるよう紙に印刷して配布することを選択しました。
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こういうときはアナログが強い
準備タスクカードは、各スタッフの行動を細かく指示するものであったため、やり過ぎに感じる部分もあります。また、今回は実行委員長である私が全体を把握できていたからこそ可能だった方法かもしれません。しかし、60分という限られた時間で全ての準備を完了させなければならない状況や、カンファレンスの規模を考えると、事前に細かくタスクを洗い出しておくことが必要でした。後述しますが、結果的に準備は滞りなく進めることができました。(実際に使った人の意見も聞いてみたいので、お待ちしています。)
遊撃班
ここまで準備を整えても、安心はできませんでした。リハーサルなしのぶっつけ本番で、準備が無事に終わるとは到底思えなかったのです。なにしろ、60分以内にすべての準備を完了させる必要がある状況であり、どこに考慮不足が潜んでいるか予測がつきません。そこで、スタッフからの提案を受けて、「遊撃班」を作成することにしました。
「遊撃班」とは、突発的な問題や想定外の状況に対応するためのフレキシブルなチームです。
当日スタッフの中から、他カンファレンスでも経験が多数ある "ベテランスタッフ" を選んでいただき、「とにかく臨機応変に動いてください!」とお願いしました。
正直、私も実行委員メンバもカンファレンス開催経験が少ないので、このような経験豊富な方々に支えていただけたことは本当にありがたかったです。
各作業班の作業内容
準備タスクカードに記載する各作業は、実行委員会の各チームに決めてもらったり、ヒアリングを通じて私が決定したりしていました。(書きながら気づいたのですが、準備タスクカードを私が作成し、担当のメンバに見せることで、認識合わせがやすくなっていたかと思います。)
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60分での機材配置、30分での受付完了というハードスケジュールを攻略する上で、特に活躍していただいたのが「一般参加者チーム」でした。
このチームは、会場との調整を行い、スムーズな機材搬入を実現するとともに、受付までにどこにスタッフを配置すべきか、どのように参加者を誘導するかといった動線計画を徹底的に検討してくれました。
特に、チケットの確認作業に関しては、前日に数人でリハーサルを行い、流れを確認してから本番に臨むという念入りな対応をしていただきました。事前準備のおかげで、当日の進行が非常にスムーズに進んだと感じています。
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チケット確認後には、参加者に首からかけてもらう「名札」や、参加者のTwitterアイコンが印刷された「PHPerシール」の配布が必要でした。この対応は、これらの施策を担当した「特別企画チーム」が事前に検討し、受付後のアテンド方法を計画してくれていました。
(特別企画チームはシールの技術的検討から、名札やパンフレットをはじめとする印刷物の発注まで多岐に渡って活躍していただきました。)
さらに、スポンサーブースと講演を行う各部屋の対応は、「スポンサーチーム」と「採択/登壇者対応チーム」に専属で担当してもらいました。この役割分担により、当日準備を進める他のスタッフは、スポンサーや講演部屋のことを気にせず、自分の作業に集中することができました。スポンサーチームは、実行委員会発足直後からスポンサー様とのやりとりを長い間行っており、ここでのスポンサー担当者様のアテンドが最後の仕事でした。
また、来場時に道に迷った人がTwitterで情報を求める可能性があったため、「メディアチーム」の担当者にTwitterの監視もしていただくことにしました。(考えると、メディアチームにはWebサイトの作成や動画の作成、その場その場のSNS担当など、無茶振りが多かった気がしますね。。。)
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実行委員長は動かない
トラブル発生時の対応を考慮し、実行委員長は当日、極力動かない方針をとりました。
たとえば、何か問題が発生し、実行委員長である私の確認が必要になった場合、会場内のどこにいるのかを探す必要がある状態では、余計な時間がかかってしまいます。そのため、スタッフ控え室で待機することを基本とし、迅速に対応できる体制を整えました。
ただし、準備が順調に進んでいるかの確認も欠かせません。そのため、スタッフ控え室には実行委員のメンバー1人に留守をお願いし、私が不在中に問い合わせがあった場合は、トランシーバーで呼び戻してもらうようにしました。
当日の様子
さて、ここからは、これまで準備を進めてきたカンファレンス当日の様子についてお話しします。実際にどのように運営が行われたのかを振り返ります。といっても、あまりお話しすることはありません。本当になにもおこらなかったのです。
準備/開場フェーズ
朝の準備は、驚くほど順調に進みました。
スタッフ全員がそれぞれのタスクを的確にこなし、余裕を持って受付を開始することができました。
もちろん、私が見ていないところで何かしらの問題が発生していた可能性はあります。しかし、少なくとも現場全体が混乱するような大きなトラブルはありませんでした。事前準備の成果と、スタッフの柔軟な対応力が発揮された瞬間だったと思います。本当にありがとうございます。
受付も非常にスムーズに進んだように感じました。PHPerシールの配布で多少の混乱があるかと思っていましたが、スタッフが的確に誘導してくれたおかげで問題なく進行していました。
私が受付の様子を見に行った時には、参加者の皆さんが名札に名前を書き、好きなシールを貼り、早速スポンサーブースを回り始めていました。(実際には、受付やPHPerシールの配布よりも、名札に好きなシールを貼るためのブースが混雑していたようですね。仕掛け人としては笑いが止まらないです 笑)
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スポンサーブーススペースに設置してたのでそのままブースを見て回れる
トークフェーズ
トークフェーズでも特に問題は発生しませんでした。それどころか、私自身、実行委員長として会場を見て回る余裕さえありました。
スタッフ控え室では、「本当に何も起きませんね…」とスタッフと話しながら、SNSでの投稿や写真のシェア、参加者の反応のチェックなどを行っていました。唯一問題があったとすれば、スポンサーブースでしょうか?トークをぎっしりと詰め込んでしまったため、特に午前中はスポンサーブースの出入りが少ないように感じました。(急いでトークの合間にスポンサーブースの宣伝アナウンスを行いました。)
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LT/懇親会フェーズ
LT/懇親会フェーズでは、つい1週間前ぐらいに決定した「他部屋への同時中継」を行うことになっていました。
この対応は、メイン会場だけでは400人以上の来場者を収容しきれないため、急遽実行委員メンバの提案で取ることになった策でした。
同時中継の運営は、実行委員の中で映像機材に詳しく、かつこうしたイベントに慣れているスタッフに一任しました。そのおかげで、私が直接対応することなく中継を無事成功させることができました。本当に素晴らしいスタッフに恵まれていたと思います。
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このためにゴングをレンタルしていました
懇親会も問題ありませんでした。
懇親会会場は、交流スペースとスポンサーブーススペースを流用する予定でしたが、会場設営の時間を十分に確保できない状況だったため、トーク中から部屋の配置替えを始める必要がありました。
この対応がスムーズに進んだのは、事前にコアスタッフが会場側と交渉を進めてくださっていたおかげです。その結果、時間通りに会場を準備していただくことができました。また、テーブル上にスポンサー様のロゴを掲載するなど、実行委員会が対応する準備作業も多岐にわたりましたが、これらも滞りなく進めていただけていました。
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各企画のふりかえり
全てのスケジュールが滞りなく進行しました。スタッフの協力と事前準備の成果が発揮され、予定通りに全てを終えることができたと感じています。
次は、用意した各企画や施策について、それぞれを振り返ります。この振り返りでは、参加者アンケートの数値を引用しながら、紹介します。
アンケートは参加者431人中152人(35%)に回答いただきました。
回答者の内訳を見ると、44%ほどが「カンファレンス参加回数5回以上」のカンファレンス常連者でした。
PHPカンファレンス関西2024では、「関西PHPエンジニアコミュニティの立ち上げ」を目標に掲げ、その一環として「新たなコミュニティ参画者の発掘」を重視しています。そのため、アンケート結果の分析は、「カンファレンス参加回数」に基づいて分類/集計を行います。
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初参加の割合
参加者のカンファレンス参加回数の分布は以下の通りです。関西からの参加者のうち、半数以上がカンファレンスへの参加が1回目または2回目の方々でした。この結果から、テーマとして掲げた「関西PHPエンジニアコミュニティの立ち上げ」および「新たなコミュニティ参画者の発掘」に一定の貢献ができたと考えています。
一方、他地域からの参加者はカンファレンス参加回数が多い傾向が見受けられました。東北、甲信越/北陸から参加した参加者の回答はありませんでした。
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"お誘いチケット"について
○ お誘いチケットとは
お誘いチケットは、参加者に周囲の人を誘って参加してもらうために企画したものです。一般参加チケットをまとめて購入すると、割引が適用される仕組みになっていました。
○ 結果と所感
一般参加チケットの購入比率は以下の通りです。結果として、全体の3分の1以上の参加者が「お誘いチケット」を利用して参加していたことがわかりました。
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また、カンファレンス参加回数別に「PHPカンファレンスを知った場所」を集計した結果は以下の通りです。
「初参加」および「参加2回目」の方々の約半数が、他の人からの紹介を通じてカンファレンスを知ったことがわかりました。一方で、「参加3回目」以上の常連になると、他の人からの紹介の割合が下がり、Twitter(現X)を通じた認知の割合が増加する傾向が見られました。
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また、カンファレンスを知った場所については、以下のようなコメントも寄せられていました。
アルバイト先から招待されました。
先輩に誘われたため
友達に誘われた
上司からの紹介
友人に誘われたから
この結果から、カンファレンス経験の浅い参加者が他の人の誘いによって参加するケースが多いことがわかります。少なくとも3分の1はお誘いチケットにより誰かと一緒に来場されたことがわかっているので、「初参加」と「参加2回目」である人の参加理由の後押しにはなっているかもしれません。
PHPerシールについて
○ PHPerシールとは
PHPerシールは、全参加者間のコミュニケーションを促進し、コミュニティへの参加ハードルを下げることを目的とした企画です。各参加者には、自身のTwitter(現X)のアカウント名とアイコンが印刷されたシールを数十枚ずつ配り、互いに交換をするよう促しました。
○ 結果と所感
以下はシールの交換枚数に関するデータです。結果として、全体の半数以上の参加者が1枚以上のシールを交換したことがわかります。
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次に、カンファレンス参加回数ごとのPHPerシール交換回数を集計しました。データを見ると、カンファレンスの参加回数が多い人ほど、たくさんのシールを交換している傾向が見られます。一方で、初参加者については、約半数がシールを交換していませんでした。
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また、「PHPerシールをきっかけに初めて会う人と会話ができたか?」との質問に対しては、カンファレンス参加3回目以降の人から割合が増えました。
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PHPerシールについては、以下のようなコメントも寄せられています。
スキルシートやシールなどコミュニケーションの上でとても効果的でした。シール交換が話のきっかけなりました。
名刺シール次回もやってください!
話しかけてもらうきっかけになったので、クイズやシール交換企画はスポンサーブース対応したものとしてはありがたかったです。
PHPerシールとても良かったです
シールの箱な開けにくかった
当然ですが、PHPコミュニティへの参加回数が少ない人ほど、PHPerシールの交換には壁があったように見えます。しかし一方で、「初めて会う人との会話のきっかけ」にはなっていたことが伺えます。(そもそも「初めて会う人との会話」は非常にハードルが高い行動であるため、この結果でも十分な効果があったと考えています。)
アンケート中、いちばん言及が多かったのもこのPHPerシールについてでした。そのため企画自体はユニークでとても印象にのこるものだったかと思います。
これだけでも十分な効果だとは思いますが、もし次回も同じ企画を行う場合、効果を最大化するために初参加者でもより交換しやすくなるような工夫を加えるべきでしょう。たとえば、以下のような。
交換回数によって景品を用意する
配布枚数を増やす(知り合い以外にも配れるように)
常連のPHPerは数枚初参加の人と交換するよう依頼する
初参加の人と交換するといいことがある
トーク診断について
○ トーク診断とは
トーク診断は、初参加者の参加ハードルを下げると同時に、カンファレンス未経験の人にPHPカンファレンス関西を知ってもらうことを目的とした企画です。参加者が事前に簡単なYes/No形式のテストを受けることで、興味がありそうなトークを推薦するWebアプリです。この仕組みにより、参加者が「どのトークを聞きに行けばいいかわからない」という状況を防ぐことを目指しました。
○ 結果と所感
全体の約45%の参加者にご利用いただけたようです。また、メインターゲットである初参加者に限ると、42%の方がトーク診断を利用していました。
また、初参加、参加2回目の人は多くが推薦されたトークを聞きに行っており、一定の成果があったのではと考えます。
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PHPカンファレンス関西2024は成功か?
繰り返しになりますが、PHPカンファレンス関西2024では、掲げたテーマに基づいて企画や運営を行ってきました。このカンファレンスが成功だったかどうかは、それぞれのテーマをどの程度達成できたかを基準に考えるべきでしょう。
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新たなコミュニティ参画者発掘
技術イベント経験がない関西エンジニアに参加/登壇してもらえるイベントを目指します。
こちらは間違いなく達成できたと考えています。
参加者については、前述のアンケート結果から、関西からの来場者の48%がカンファレンス初参加であったことが確認できました。登壇者についても、1トークあたりの時間を短縮し、登壇枠を増やす工夫を行った上で、「初登壇の人」や「関西在住の人」のトークを「優遇テーマ」として採択数を増やす方針を採用しました。この優遇テーマは早い段階で発表し、採択時に考慮することを公表していたため、これらのトークも数多く採択することができました。
関西での技術情報共有の場となる
関西のエンジニアが最新の技術情報に触れることができる機会を創出します。
このテーマも達成できたと考えています。
アンケート結果によると、関西から参加されたエンジニアは全体の65%を占めており、多くの地元エンジニアが集まる場となりました。また、他のカンファレンスでも活躍されている著名なエンジニアに講演いただくことができ、素晴らしいトークが集まりましたし、さらに、Ask the Speaker(登壇者へ直接質問できるコーナー)や懇親会を通じて、エンジニア同士の交流を促進するきっかけを作れたと思います。
これをきっかけに、来年からもPHPカンファレンス関西2024で技術情報の定期的な共有が行われることを期待しています。
持続可能な運営体制
定期的な開催を通じて情報をアップデートするためのイベントとしてあり続けます。
こちらについては、成否の明言は控えようと思います。
というのも、私としては、今後数年にわたってPHPカンファレンス関西が継続的に開催され、その際に「2024年の施策がうまくいった」と感じてもらえればと思うからです。
とはいえ、PHPカンファレンス関西2024でも、このテーマを達成すべく以下のような取り組みを行いました。これらの取り組みにより、ある程度は今後のPHPカンファレンス関西にとって価値ある財産を残せたのではないかと考えています。
持続可能な運営体制への取り組み
Googleドライブの整理/権限管理
作業のドキュメント化
実行委員長の選出方法の策定
また、もちろんですが、このnote記事自体も、私自身がこのテーマを達成するための取り組みの一つです。
メインテーマ:関西PHPエンジニアコミュニティの立ち上げ
他地域に負けないエンジニア文化を作り、技術を高め合える文化/場をつくる
PHPカンファレンス関西2024には、参加者、登壇者、スタッフを含めて合計431人の方々にご参加いただきました。
さらに、アンケート結果からも、多くの新しいコミュニティ参画者が来場されたことがわかり、このテーマに対して大きな成果を上げることができたと考えています。
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また、アンケートからもいくつか嬉しいご意見をいただいています。一部ですが、紹介させていただきます。
開催ありがとうございました。オフラインの楽しさを再認識できた良い会でした。
朝から参加しているひと多くて期待度高かったのがうかがえたし、内容もよかったです。スタッフの皆様ありがとうございました、ぜひ継続して開催してもらえれば嬉しいです。
楽しかったです!来年も楽しみにしています
入館する前からもそうでしたが、とにかくホスピタリティの高さに感動しておりました!
スタッフの皆様、素敵なカンファレンスをご用意いただき本当にありがとうございますmm
なにより嬉しかったのは、PHPカンファレンス関西2024をきっかけに複数の勉強会が立ち上がったことです。これは間違いなく「関西PHPエンジニアコミュニティの立ち上げ」というメインテーマに直結する成果であり、本イベントを開催して本当によかったと心から思えることでした。
(以下に思い当たる勉強会を挙げています。これ以外にもあればぜひご連絡ください!!)
この成果は、今回の開催に関わってくださったスポンサー様やスタッフの皆様をはじめ、コミュニティへの参加を後押ししてくださった所属組織の皆様、そしてこの4年間、PHPコミュニティで私を支えてくださった方々のおかげです。本当にありがとうございました。
今後について
最後に、今後のPHPカンファレンス関西と、私自身の活動について少し触れたいと思います。なお、ここで述べる内容は、あくまで「PHPカンファレンス関西2024の実行委員長」である私個人の意見です。今後の実行委員長や運営チームの行動を制約するものではありません。
次期実行委員長の選出について
テーマの一つにも掲げたように、PHPカンファレンス関西は今後も継続して開催されることを願っています。
2019年にPHPカンファレンス関西が開催されなかった理由の一つとして、メインで動いていたスタッフの不足が挙げられます。このような状況を二度と繰り返さないため、PHPカンファレンス関西では、この2024年から新たに実行委員長の選出ルールを設けることにしました。
PHPカンファレンス関西2024の実行委員長選出ルール
実行委員長を立候補で選出する
実行委員長が副実行委員長を2人選出する
副実行委員長は次年度の実行委員長に立候補する義務を負う
この新しいルールは、PHP自体のリリースマネージャー選出方法から発想を得て策定したものです。このルールにより、今回のように実行委員長1人に依存する体制ではなく、少なくとも2人の副実行委員長と共に運営を行える仕組みとなります。また、副実行委員長2人には、次年度の実行委員長に立候補する義務を課すことで、実行委員長の成り手がいなくなるリスクを軽減します。(なお、このルールだと実行委員長の立候補者が毎回2人以上になるため、実行委員長は立候補者が作成する「開催テーマ」をもとにどちらを次期実行委員長にするかを選出することにしています。)
PHPカンファレンス2025の実行委員長は、2024年の実行委員の中から自主的に立候補いただけたため、無事にお任せすることができました。
また、副実行委員長の2人も、こちらから声をかけることなく、それぞれ私に直接連絡をいただき、立候補という形で就任してくださいました。
ただし、2025年は問題なくても、2026年や2027年に同じように都合よく立候補者が集まるかどうかはわかりません。このルールの真価は、そうした時にこそ発揮されると考えています。
開催地について
昨今、全国で開催されるPHPカンファレンスはますます増加しています。たとえば、2024年12月のPHPカンファレンス(東京)で発表された内容によると、来年には全国で10のPHP系カンファレンスが開催予定です。
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PHPのカンファレンスやイベントが増えること自体は、歓迎されるべきことです。PHPカンファレンス関西のように、身近な場所で開催されるカンファレンスに参加することで、PHPコミュニティへの参加のきっかけとなり、大きな相乗効果が生まれることにつながるからです。
しかし、イベントを無尽蔵に増やすことで、コミュニティ自体が分断されることは避けるべきではないでしょうか?コミュニティは集合知で成り立っており、コミュニティへの参加者が減少すると、集まる知識量も少なくなってしまいます。(けして「イベントを増やすな」ということではありません。)
PHPカンファレンスが大阪、神戸、京都、滋賀、奈良、和歌山で開催される状態ではなく、「関西のPHPerがみんなで集まれる場所」となることが重要であり、勉強会等のイベントは増やしてもコミュニティは分断させないような工夫が必要だと考えています。
そのため、2025年のPHPカンファレンスは、開催場所を大阪から神戸へ移すことにしてもらいました。これは「今後は全て神戸で開催する」というわけではなく、「PHPカンファレンス関西が、関西での大きなPHPコミュニティのハブになる」ためです。
今後のPHPカンファレンス関西は、関西のいたるところで開催し、年に一回関西のPHPerが集まるコミュニティの中心になれればと考えています。まずは神戸、その次は別の関西の都市で開催し、さまざまな人が「近場の人を誘いやすいイベント」であり続け、関西全域にコミュニティの輪を広げていきたいと思っています。
ただし、もちろんこれは私の考えであり、今後のPHPカンファレンス関西の方向性は、その時々の実行委員長に委ねられています。
実行委員長がテーマを設定し、自らの理想を自由に反映したカンファレンスを開催できることこそが、コミュニティとして持続可能なカンファレンスの形だと考えています。
私自身の今後について
私自身が自分が実行委員長になってまでカンファレンスを開催した理由は、第一回の記事でお話しした通り、「周りを巻き込むコミュニティ」を関西で作りたかったからです。これについては、正直にいうと達成できたのかわかりません。
私の周りには、4年前に実行委員長へ就任した時のような熱量はすでに無く、関西での開催に対して、なかなか前向きな雰囲気をつくれませんでした。(数人は初めての参加や登壇をしていただけたのを確認できており、それがせめてもの救いです。)真偽はわかりませんが、私が周囲の文化醸成のために活動していることに対し、自分の知名度のために組織を利用していると噂する人もいたとも聞いています。どうしても本業のエンジニアとしての成果より技術発信関連の成果が目立ってしまう私にとっては色々思うところもありましたし、なにより周囲の文化を変えることの難しさを痛感しました。しかし、PHPカンファレンス関西自体が復活したことは、間違いなく自身の環境によい影響を与えると考えています。これは私が実行委員長を務めたことによるキャリア的メリットでは決してなく、私の周囲の人を連れ出せるカンファレンスができたということです。(私の活動のモチベーションは常にここにあります。)
もともと、私は"カンファレンスの主催"がしたかったのでは無く、周囲と技術の話をしながら仕事ができるような技術力を高めていける環境が必要だと感じたことがきっかけでした。(言い方は悪いですが)カンファレンスはあくまでその環境を作るためのツールの立ち位置でした。
また、私自身は、PHPカンファレンス関西がエンジニアにより主催されるイベントであることと同じように、「イベント屋」ではなく、「エンジニア」であり続けたいと考えています。たしかにイベントの準備や主催は楽しいですが、軸足はエンジニアに置いておきたいと考えています。
そのため、しばらくはここ4年続けていたエンジニアの文化醸成活動より、本当にやりたかった仕事に重点を置こうと思っています。
ただし、もちろんインプットとアウトプットを行う場として、PHP系のカンファレンスは利用させていただきますし、これほど長い間お世話になったPHPコミュニティには恩返しが必要だと感じていますので、カンファレンスへの参加は(頻度は少し下げるかもしれませんが)引き続き継続していくつもりです。
終わりに
簡単な記録を残すつもりが、お堅い文章を長く書いてしまいました…。
私のカンファレンス運営は、4年間2ヶ月前のPHPコミュニティに知り合いがいないところからのスタートでした。(Twitterすら2019年の8月3日に始めたばかりでした。)そこから名ばかりでも就任した実行委員長をやるために、各地のカンファレンスへ参加して色々な人とお話しするようになったため、このような立場にならなかったらこれほどコミュニティの方々と深くつながることもなかったでしょう。そういった意味でも、とても貴重な経験をすることができました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次のカンファレンス会場でお会いできることを楽しみにしています。
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PHPカンファレンス関西は、2025年の開催に向けて、スタッフを募集中です。
詳細な説明は以下動画から!!
https://www.youtube.com/watch?v=qYW9tTvn3Hs
申し込みは、以下のフォームからお願いします!!
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSenjwQIDWyqQMfphURhR0cYNCtq1lWJHTiKPxVUB8w_1UX0ew/viewform