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アート思考×デザイン思考×ロジカル思考で新規ビジネスを開発するための思考のフレームワーク
※2025年2月に担当した書籍『クリエイティブ・マネジメント』(柴田由一郎、フォレスト出版)の紹介文です。
■ビジネスに「創造性」が求められる時代
2022年にダボス会議が発表した「世界が求めるビジネススキルトップ10」で「創造性」が3位になったように、「正解が見えない時代」と言われる今、ビジネスの現場において創造性(クリエイティビティ)が求められています。
これまでの「良いモノ」を作れば売れた「生産性」の時代から、「新しい価値」の提供が求められる「創造性」の時代へとシフトが始まっています。
そして実際に、今多くの企業が新規事業開発に力を入れています。
とはいえ、大半の企業が新規事業の開発に苦労しているのが現実です。
「アイデア出しの会議をしたり、社内でアイデアを公募してもアイデアが集まらない」
「そもそもどんなビジネスを開発すればよいのか、これからどんなビジネスが成功するのか、アイデアがまったく思い浮かばない」
「とりあえず社員からアイデアを集めてみたが、そもそもビジネスとして成立するか判断できない、どうビジネス化したらよいかわからない」
「“新規事業を開発するぞ!”というかけ声ばかりで、誰もが目先に仕事に忙しく、積極的に取り組んでいないので、まったく新規ビジネスが生まれる気配がない」
さまざまな理由があるでしょうが、要は「新規事業のアイデアを創出して、それをビジネスに育てるノウハウがない」ということです。
新規事業を開発するにあたっては、単に「優れたアイデア」を出すだけではなく、それを現実的なビジネスとして成立させるための多くのプロセスが求められます。
たとえば、事業化に向けたスケジュール管理、コスト調整、人材の配置・育成、アイデアを多産し、仮説を立てて検証し、事業計画を立てるところまで、幅広い業務に対応しなければなりません。
こうした新規事業開発の一連のプロセスをノウハウ化できている企業はほとんどないでしょう。
それを解決するためのフレームワークが本書で解説する「クリエイティブ・マネジメント」です。
■新規事業はアート思考×デザイン思考×ロジカル思考のかけ算から生まれる
本書で解説する、新規ビジネスを開発するためのフレームワーク「クリエイティブ・マネジメント」は、次の3つの思考をマネジメントすることを意味します。
・アート思考:創造するスキルと自分起点の内発的なマインド
・デザイン思考:他人(顧客)の思いや行動に共感と洞察を重ねた課題解決
・ロジカル思考:事実にもとづき客観性を持った論理的な思考
まず、アート思考では、経験や多くの知識の蓄積から生まれる「ひらめき」や「直感」を駆使して、今までにない新しいアイデアを創造します。
次に、デザイン思考では、「そのアイデアが本当に世の中から必要とされているかどうか」を顧客の立場に寄り添って想像し、ニーズを深く観察・洞察・検証します。
そして最後に、ロジカル思考では、客観的かつ論理的な思考により、アイデアを具体的なビジネスにしていきます。
この3つの思考を行ったり来たりしながらアイデアをビジネスに育て上げるまでのプロセスが「クリエイティブ・マネジメント」です。
■20年以上の現場での実践から生まれた思考のフレームワーク
「クリエイティブ・マネジメント」は、トヨタ自動車のメタバース「メタポリス」や内閣府の「地域経済分析システム(RESAS)」など、多数の新規事業のクリエイティブ・マネージャーを担当してきた著者の柴田さんが、20年以上にわたって現場で実践したきた経験を型化したフレームワークです。
具体的には、新規事業開発チームが全員で新規ビジネスのアイデアの「種」を蓄積し、アイデアを生み出すところから、ニーズ検証、経営陣の承認を得て世に出すまでの一連の流れを型化しています。
そして、それは次の5つのプロセスから成り立っています。
①情報の集積
②アイデアを妄想
③ひらめき
④ニーズ検証
⑤事業計画
①~⑤の各フェーズにおいて、アート思考、デザイン思考、ロジカル思考を駆使しながら、徐々に新規ビジネスを開発していきます。
本書では、「クリエイティブ・マネジメント」の基本的な考え方と実践方法を具体例を交えながらわかりやすく解説します。
新規事業開発に積極的に取り組みたい方、自分で新しいビジネスを立ち上げたい方、そしてビジネスをもっとクリエイティブにしたい方というは、ぜひ本書をご一読ください。