見出し画像

武満徹さん編曲の「シークレット・ラヴ」

この曲の楽譜を手に入れたのは20年ぐらい前? いや30年近く前かもしれません。武満さんの編曲による「ギターのための12の歌」は、現在一冊にまとめられて出版されていますが、当時は一曲ずつ分売されていて、私は時々行く楽器店の楽譜コーナーでこの曲「シークレット・ラヴ」の楽譜に出会いました。値段が安かったのと表紙の和田誠さんのイラスト、そして裏に記されていた武満さんのメッセージに心惹かれたのを覚えています。当時は武満さんの事はあまり知らなかったのですが、この曲を切っ掛けに次第に聴くようになりました。そしてこの方が、どれほど凄い音楽家であったのかということに気づいたのは、随分後のことでした。

私には武満さんの音楽を語る力はありませんが、一つだけ触れておきたいことがあります。
武満さんの楽譜は、五線上の音符だけではなく、緩急、強弱、表情などの細やかな書き込みと音符とが一体化しており、そこに音楽の響きと律動性が現れ、まるで楽譜そのものが音楽だと私には感じられます。さらに不思議な事には、その細やかな指定は、それに縛られて不自由になるのではなく、逆にそれを通して自由になってゆく体験を私に与えてくれるのです。
「ギターのための12の歌」の楽譜は技術的に難しく、とても手に負えそうにないものもありますが、焦らず何年も掛けて楽譜を手にしつつ試行錯誤すれば良い、私はそのように感じています。

※拙い私の演奏ですが、一応貼っときます。↓

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?