京都出町の餃子定食とおっちゃん
京阪電車に乗って「出町柳駅」にやってきた。京阪電車の京都側ターミナル、かつ鞍馬、比叡山方面「叡山電車」への乗り換え駅でもある。そんなこの駅で降りて行ってみたかった中華屋さんの餃子をいただく。
「鴨川デルタ」を挟んで向こう岸、駅名の先頭にもなっている「出町桝形商店街」にある「いのうえの餃子」。餃子を売りにする小さな中華屋さんでは、太っ腹過ぎるサービスと人情味あふれる店主がメディアで話題にされる。
「出町のおっちゃん」こと、店主「井上定博さん」。約40年前に「餃子の王将」のフランチャイズ店として始めて以来、腹ペコでお金に困る学生を救いたいというの熱い思いから
「お金に困ってる人は皿洗い30分で無料」
という独自サービスをやっている。採算度外視ながら、京都大学が近い学生街らしい粋な取り組みはテレビでよく紹介される。
2020年10月、高齢を理由に「餃子の王将」を閉店したものの、その3年後に独立再オープン。お金のない学生たちの腹を満たすべく、「出町のおっちゃん」が厨房に帰ってきた。
餃子定食を注文。これもまた「おっちゃん」の信念が込められた5品が並ぶ。
餃子6個
唐揚げ4個
冷やっこ
タレかけキャベツ
ご飯(大・中・小)
これだけで「750円」。さらに「お金に苦労してる」と言って、皿を洗うだけで無料にもなるというのだから。
餃子や唐揚げの味は本家「王将」のまま。王将だと800円以上(2024年9月現在)するし、唐揚げを加えたら1000円は下らない。しかも、本家にはない「冷やっこ」もある。これだけのボリュームと変わらないおいしさを懐に優しい額で提供してくれる「おっちゃん」はすごい人だ。
「おっちゃん」の声かけもなんか印象に残る。
「今日は何しましょ?」
「おおきに!」
など下町らしく、ほんわかな言葉遣い。
お会計するとフーセンガムまでいただいた。
出町のおっちゃん、どこまで太っ腹やねん笑
と僕は心の中で呟く。正直なところ、稼ぎには困ってはいるが、一見さんが言うことじゃないし、まずは黙って食べてみたほうがいいし。
薄利を厭わず、未来ある若者のために信念を貫く「出町のおっちゃん」。一度やめても復活するという燃えたぎる心とおいしい餃子をこれからも絶やさず続けてほしいもんだ。
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