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近鉄通勤車エトセトラ

近鉄全線フリーきっぷの3日間で多くの特急に乗ったが、通勤電車もけっこう面白い物揃いだったり、日常を感じさせるシーンもあった。

近鉄の皮を被った新快速

2日目、三重県内のローカル鉄道を巡るべく、宿泊先の名古屋から松阪行き急行に乗り込む。

この日最初の電車は5200系。片側3扉、新快速やJR東海の電車に似たクロスシートを備える、近鉄通勤車の中でかなりの異端児。名古屋線急行をメインに、大阪線方面、さらに貸切電車としても活躍する。

横から見ると窓の寸法が似ていて、どっからどう見ても223系新快速。関西人全員そう思うだろう。実際メーカーも一部がほぼ同じだもの。

ちなみにこの日は三重県北部の大雪で名古屋線の電車は10分遅れ。

名古屋駅に到着した普通電車は雪を大量に連れてきたし、乗っていると三重県内に入った瞬間銀世界だった。東海地方の気象事情は全く分からないが、日本海の冷たい空気が滋賀湖北や伊吹山、関ヶ原を経由して、養老鉄道沿線の地形の隙間風的なものでこんだけ雪が降るのではないだろうか(知らんけど笑)

それはいいとして、後半はけっこう雪が降っていたため、雪の曲をチョイス。湖北ばかりで聴いていたが、遠いところで聴くのはオツなもんだ。

カラフルな名古屋線

名古屋地区の近鉄はラッピング電車やドア横広告がこれでもかと多い。

名古屋駅で見た準急電車は四日市の不動産会社のラッピング。近鉄富田駅で見た急行の前寄りには壇蜜さん扮する「壇蜜斎王」があしらわれた三重県明和町「斎宮」の観光誘致PRの電車。それ以外にも復刻塗装や三重のケーブルテレビのラッピング、鮮魚行商貸切電車※「伊勢志摩お魚図鑑」etc。関西だと阪神や大阪メトロ、京都地下鉄などの他社電車がいるが、それとは違う華やかさだ。

※伊勢志摩で獲れた新鮮な魚を大阪の市場に卸すため、近鉄では長年鮮魚行商向けの貸切電車を運行している。かつては1本の列車として運行されていたが、今は朝の松阪発大阪上本町行き快速急行の最後尾1両を貸し切る形で運行されている。

さらに近鉄の他、名鉄、名古屋地下鉄でよくあるのがこういうドア横広告。特に「メ〜テレ」「東海テレビ」など在名放送局の広告はよく見る。近鉄でもこういうのとか、プロパンガスの広告(写真)などを掲げた通勤電車が多い。新快速や京都地下鉄にもこういうのがいるがせいぜい1、2編成だけ。名古屋ほど多くは見ない。大阪メトロは1両あたり扉1ヶ所ぐらいに「ECC」「マイナビ」などがあるぐらい。関西では見られないし、大阪、奈良方面の近鉄ではまず見られない。

お世話になってます!

近鉄京都線沿線に住んで5年の僕。旅の途中では近所で見られる顔馴染み電車に数々乗って思わずこんな言葉を心の中で叫んでしまう。

京都線の電車は奈良県内や大阪府内ではこれでもかとよく会う。旅してんのか日常なのかという感覚だ。とはいえ、多くて6両の京都線、橿原線に対して奈良線や大阪線では最大10両。組み合わせも多彩で近所では見られない組み合わせも多数見られる。そういうところで言えば非日常とも言える。JRより近鉄の路線網が長く大きい奈良県内では逆に日常ではあるが。そんな近鉄の規模の大きさを物語るような今回の旅のある意味学びだ。

まるで「ハレとケが同居」しているかのような今回の旅。近鉄の広さや路線の性格による車両数、車体の差を垣間見えたよう。他の関西4大私鉄ではなかなかこんなことは見られない。年代ごとの車両のバラエティが豊かでもだいたい車両の規格は統一されていたりする。特急も良いが通勤車両もそんな面白さがあると思う。

ストリートミュージシャンの投げ銭のような感覚でお気軽にどうぞ。