ただ乗りたいだけの近旅 前編
こないだ、ライブハウススタッフやってる大学の後輩の企画ライブに行ったとき、阪急電車に乗る機会があった。準急電車という名の各駅停車でわずか2駅乗っただけだったが、このときノスタルジーが呼び起こされ、もっと長く乗りたくなった。その翌週末に「ただ、阪急電車に乗るだけの旅」と銘打って、京都河原町から大阪梅田まで往復することにした。
夕暮れの下り※特急
仕事を終えて、一眠りした夕方。自宅を出て、近鉄と京阪を乗り継いで祇園四条へ。そこから鴨川に架かる四条大橋を渡り、花街「先斗町」を超えて木屋町通りに差し掛かったわずか5分で阪急京都河原町駅に行き着く。駅名は違うし、アナウンスはされないが、看板があるほど思ってるより目と鼻の先だったりする。
ちょうど、「四条河原町」界隈によくいる「銅像パフォーマー」に遭遇。そちらにちょっと気になりつつ、阪急電車独特の丸いフォントにも注目。ちっちゃい頃から慣れ親しんだこのフォントを見ると実家に帰ったような安心感を醸し出している。見やすく流行りなのも良いがこういうところも字体が持つ個性なのかもしれない。
地下に降りて1号線に停まっている特急大阪梅田行きに乗る。休日の夕方の車内はすでに満席。僕は扉横の立ち席スペースにもたれ掛かる。
18時10分に京都河原町を発車、地下鉄と接続する烏丸に停まったのち、四条通りの真下を疾走する。ここで掛けた『メトロ』はスピードと相まって非常に楽しい。厳密には「メトロ」ではないが、どちらかと言うと各停より速達列車向け。だからここで聴くのがちょうどいい。
西院を過ぎるとすぐ地上に出て、夕暮れの洛西から天王山麓をトップスピードで駆け抜けつつ、桂、長岡天神の順に主要な街にも停車。
高槻市駅に着くと向かいには当駅始発の普通天下茶屋行き。銀色に茶色とオレンジのツートンが異彩を放つ大阪メトロ堺筋線の所属車両。扉の内側には堺筋線沿線にある「えべっさん」にちなんで鯛の絵があしらわれている。他に天王寺動物園にちなんだトラ柄と動物をあしらったのもある。
茨木市で準急、正雀で普通と立て続けに追い抜かして淡路に停車、そして十三までやってきた。
一旦降りていろいろ撮ったのち特急が追い抜かした準急に乗り込む。
さっきの特急が新しめで新快速っぽさがあったが、今度は乗り慣れた平成初期の旧型電車でさっきとは違うロングシート、薄めの木目調は懐かしさもある。ただモーターは新品でハイトーンの音を奏でる。『pray』を聴き、夕暮れの淀川を見つつ大阪梅田へと着いた。
「日本一」のターミナル
「日本一」と呼ばれる広大なホームと「三大本線」が集結する9本の線路。10分に1回発生する京都線特急、神戸線特急、宝塚線急行の同時発車と十三までの“ダービー”は名物中の名物だ。
阪急でおそばを食す
そんな大阪梅田駅で腹ごしらえ。京都線が出発する1号線の「若菜そば」に立ち寄る。元は「阪急そば」という名で創業。関西私鉄初の駅そばとして長年親しまれたが、阪急系の子会社が手放して、運営と屋号が変わった。「阪急」の名が消えたが、引き続き阪急ユーザーの腹を満たし続けている。ちなみに「若菜」の名の由来は分からない。それはいいとして、店内に入って、食券を買い、店員さんに渡す。
今回は天ぷらそばとおにぎりのセット。おにぎりはおまかせにした結果、梅と昆布のスタンダードなやつ。出汁がしゅんでしなしなになった天ぷらとそばはやっぱりうまい!そして、何より関西出汁のあっさり汁は最高だ。おにぎりは天ぷら同様ふやけたノリが飾らず、ホッとする美味しさだった。
ちなみに十三駅の「若菜そば」ではポテトフライが乗ったその名も「ポテそば」なる変わり種があって、ちょっとした話題となった。「阪急そば」発祥の地でもあるから今度はそっちも行って食べてみたい。
この後少し阪急梅田界隈をぶらりして帰ることになるがこれはまた後編で。
この記事が参加している募集
ストリートミュージシャンの投げ銭のような感覚でお気軽にどうぞ。