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18きっぷとローカル鉄道@福井
2023夏の「青春18きっぷ」は4回目。今回は福井へ行ってきた。訪れたい駅があるのが理由だが、その前にローカル私鉄も堪能してきた。
新快速で北上
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京都から湖西線の新快速に乗って敦賀へ。
北陸線へ乗り換え
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そこから北陸線の普通列車で北上していく。
もうすぐ開通&ポップな新会社
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車窓には何度か北陸新幹線が見えてくる。線路などは完成していて、JR東日本の検測車両「East i」による試運転がもうすぐ始まる段階。
JR西日本のプレスリリースで「北陸新幹線の運行計画」も発表され、カウントダウンが短くなってるのを窺える。
一方、現行の北陸線のうち、敦賀〜金沢間は並行在来線となり、JRから第三セクターへ移管。
敦賀〜大聖寺間は「ハピラインふくい」
大聖寺〜金沢間は「IRいしかわ鉄道」
が運営することになる。
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今乗ってる車両も「ハピライン」か「IRいしかわ鉄道」いずれかに移籍。
「IRいしかわ鉄道」は水色、「ハピライン」はピンクをベースに花びらをあしらう。特に後者は、「ド派手やないか」
消えゆく特急
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今庄駅では列車の通過待ち。特急「サンダーバード」が通過していった。「運行計画」によればこの区間は廃止されることになっていて、この光景を見られるのは1年もない。
マイブームとプレイリスト
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田んぼと夏の風景を見ながら北上。ここで聴いているマイブームソングがある。
「神聖かまってちゃん」の『フロントメモリー』。川本真琴さんをゲストボーカルに迎えた曲で、今年になって新バージョンがリリース。
「ずっと真夜中でいいのに。(ずとまよ)」の「ACAね」さんが参加していて、特に気に入っている。夜に聴く機会がほとんどの「ずとまよ」だが、これだけは昼間でもガンガン聴いている。
その他プレイリストはこんな感じ。ちなみに『フロントメモリー』を歌う川本さんは福井市出身。福井に行くときはたくさん聴こう。
武生駅で乗り換え
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約30分で武生駅に到着。
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上の電光掲示板には「サンダーバード」「しらさぎ」と2つの特急が連続。さらに頭上の乗車位置札には
ビジネスサンダーバード※1
おはようエクスプレス※2
※1 大阪→金沢間を走った特急列車。始発の「サンダーバード」より30分早く発車し、毎週月曜(祝日の場合は火曜)にだけ週1で運行されていた派生型だった。コロナ禍以降は運転されていない。
※2 敦賀→金沢間を走る通勤系特急。名前の通り平日朝のみ運転されている。来年春に廃止予定。
という特急の文字も。「特急街道」という異名もあったこの光景も1年後は消え去ることに。
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ここでJRから離れて「福井鉄道(福鉄)」へ乗り換える。
たけふ新駅と越前たけふ駅
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福鉄の最南のターミナル「たけふ新」駅。「新」が尾に付いている珍しい駅だが、かつては他にも「福井新」「岡本新」など、福鉄ではよく見る「表現技法」だった。
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しかし、前者は「赤十字前」に改称、後者は路線自体の廃止でいずれも消滅した。
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実は「たけふ新」も2023年までの13年間は「越前武生」を名乗っていた。これは「武生市」が合併で「越前市」に変わったことによる合成となった。
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しかし、越前市内にできる北陸新幹線の駅が「越前たけふ」を名乗ることが決まり、譲り渡した。そのため再改名で公募され、1番人気も相まって復活することになった。ちなみにかつては「武生新」とすべて漢字表記。初見では読みづらい。
きっぷを買って電車へ。
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駅名の歴史はそんなところで、きっぷを買っていく。交通系IC非対応だが、主要駅では「クレジット」「コード決済」できっぷを買える。フリーきっぷもあるが、土日祝日、年末年始限定。今日は買えない。
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改札を受けて、ホームに止まってる「田原町行き」に乗り込む。
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車両は「880形」。「名鉄美濃町線※」で活躍した路面電車で、福鉄では2006年から走っている。名鉄のアイデンティティ「スカーレット」だった塗装も福鉄オリジナルカラーに変更された。
※徹明町(岐阜市)から新関(岐阜県関市)を経て美濃(同県美濃町→美濃市)を結んだ路面電車。2001年に新関〜美濃間、2005年に残りの全線が廃止された。
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実は名鉄在籍時に「電車でGO名古屋鉄道編」にも登場している車両。分かる人には「変わらないなぁ」と呟いてしまいそう。
電車の水浴びと発車
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外ではホースを使って、前面窓を水洗い。真夏日だからか、電車が気持ちよさそうに見える。
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「たけふ新」を出ると最初は「専用軌道」。普通の鉄道のような線路を走る。路地裏のような場所をグネグネ。
寄り道
北府駅で途中下車。大正時代の駅舎や同じく車両工場が現役。さらにかつてシンボルだった「200形」も保存されている。少し寄り道したのち、次は一気に乗り通す。
かわいい黄色の路面電車
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やってきたのは、「キーボ」という車両。黄色く愛らしい見た目が特徴的で、超低床構造のバリアフリー仕様。いわゆる「LRT(次世代型路面電車)」だ。
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車両は「福鉄」ではなく「えちぜん鉄道」所属の乗り入れ列車。「福鉄」北の終点である田原町駅から「えちぜん鉄道」に直通し、鷲塚針原駅まで運転。2社の車両が相互乗り入れを行う。
明るく涼しい
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車内はモダンで明るい雰囲気。冷房も付いていて、かなり涼しい。
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当たり前のことではあるが、実はさっき乗った「880形」は冷房の代わりにサーキュレーターが付いている。そのせいか段違いで涼しい。
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座席をよく見ると「SEIREN」の文字。座席を手掛けたのが福井発祥の繊維メーカー「セーレン」。ご当地愛が溢れる。
高速路面電車
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路面電車は「40km」が基本だが、福井鉄道の「鉄道線(道路が絡まない区間)」では「70㎞/h」まで加速する。「急行」だからか体感がさらに早く感じられるし、台車が真ん中だからか、かなり揺れる。
路面区間と昔
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「赤十字前」を過ぎると途端に速度が遅くなり、路面電車区間へと入っていく。
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「キーボ」のような姿はらしい光景だが、2000年代までは高床の電車がほとんど。その存在感は大きかったことだろう。
福鉄のヒゲ
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福井城址大名町駅からは「福井駅」へ向かう分岐線(通称「ヒゲ線」)が伸びる。
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普通列車の大半は“福井駅前へ寄り道”した上で「田原町〜たけふ新」を往復する。線路配置ゆえの独特な走り方だ。ただし、「えちぜん鉄道直通」は“寄り道”せずに直進する。
えちぜん鉄道へ
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田原町駅までやってきた。ここから先はえちぜん鉄道へ入る。
隣には「えちぜん鉄道」の高床ホーム。本来は「普通鉄道」であるが、「交通ネットワーク充実」を目的に、2016年から乗り入れがスタートした。「キーボ」もその際にデビューした。
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それとは裏腹に、車内を見ると全員降りてしまって僕1人。乗り換えなしとはいえ、「坂井市」「あわら市」方面へはどこかで1回乗り換えが必須になる。たぶんそのせいだろう。
フクラム
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福大前西福井では「フクラム」とすれ違い。こちらは福井鉄道所属で、グリーン、オレンジ、ブルー、ピンクの4色がいる。また、「キーボ」より1両多い3両編成を組んでいる。
低床ホーム
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乗り入れ区間では低床のホームを新たに整備。前後で異なる駅だと停車位置が変わる。
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「キーボ」から高床ホームを見てみる。湘南新宿ラインや京阪電車「赤い特急」の2階建て車両の1階にいるときに見上げる感覚によく似てる。
中角駅
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しかし、中角駅だけは低床ホームが無く、「キーボ」「フクラム」は全て通過。
乗降人員を見ると他の駅は200人以上に対して、こちらは100人すら超えない。そりゃ通過するわけだ。
ドライブな気分とプレイリスト
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この辺りで再びトップスピードまで加速。車高が低いからクルマでドライブしている感覚。
そんなこの場所だと『神様のダンス』のような軽快な曲を聴くとけっこう合う。一方で路面区間は『おっぱい』のような「どスロー」なのが合う。両方味わえるのは「福鉄」ならでは。
鷲塚針原駅
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武生から1時間で、鷲塚針原駅に到着。「キーボ」「フクラム」はこの駅止まり。
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特に何があるわけではなく、田んぼや集落が点在するのみ。家族の迎えを待ったり、自転車を置くだけの最低限ができる感じ。「クルマ社会の駅」の典型例で、僕が育った滋賀湖北にも似てる。
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ただ、この駅は「登録有形文化財」指定。昭和3年(1928年)の開通当時から変わらない貴重な駅舎が現役だ。ただ正直言うと、言われないと気づかない。
年代物の「えち鉄」
ここから先には進まず、「えちぜん鉄道」に乗って福井駅へ折り返す。
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約30分待って、「福井」行きに乗り込む。やってきたのは「6101形」という1両の電車。
元は「愛知環状鉄道」から譲り受けたもの。通勤通学輸送に活躍した他、引退直前には「愛・地球博(愛知万博)」の多客輸送に貢献した。
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比較的古い車両で扇風機付き。さらに、車両のモーターも半世紀以上使ってる年代物。
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列車によっては自転車を畳まず乗車可能な「サイクルトレイン」を行っていて、それ用のロープもある。
あのアテンダント
乗っていると、突然声をかけられた。その人というのが
えちぜん鉄道のアテンダント
昼間の一部列車に乗務している「客室乗務員」だ。バスガイドを彷彿させる濃紺の衣装。夏服はチェック柄がトレードマークだ。主な仕事として
きっぷの精算
車内放送
身体が不自由な人、子どもなどの乗降車補助
など。他にも臨機応変に困り事を対処するために、テープなどの小道具をバッグに入れているという。
「アテンダント」の奮闘ぶりをまとめた書籍が発売された他、横澤夏子さん主演で映画化もされた。
その他『ガイアの夜明け』などテレビ取材も多数あって、「ローカル線起死回生」のヒントとして全国的に注目されている。
で、このとき声をかけられた理由は
きっぷの拝見
乗り込んだ「鷲塚針原」はきっぷが買えないので、整理券だけ見せた。すると、「アテンダント」自ら車内精算してくれることに。
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その際に引き換えてもらった補充券。「最長片道切符の旅」ではこういうのが見られるが、かなりレア。持って帰りたくなったが、「アテンダント」の指示通り、福井駅で降りた際にきっちり駅員に渡した。
起死回生な車内
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地元住民の他、学生も多く賑わってる印象。「起死回生」とはこういうことを言うのだろうか。
車庫にいた話題の電車
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北陸新幹線の高架を過ぎると右手に車庫が見えてくる。
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その一角には「恐竜列車」の姿も。勝山市にある「恐竜博物館」のリニューアルに合わせてデビューした観光仕様の列車。車両は「静岡鉄道」の中古車で、ニュースで見る限りかなり大改造している。それでも、運転台の形状やライトはそのまま。
福井口駅
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福井口駅では「勝山永平寺線」が合流。次はこちらも乗ってみたい。
高架線
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福井口駅から福井駅までは高架区間。隣に新幹線がへばりつく。
かつては、高架工事の仮線として「新幹線の路盤を借りる」という大胆なこともしていた。個人的にはこっちも見たかった。
福井駅
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福井駅に到着。完全に行き止まりではなく、ぽっかり空いていて、線路を延ばせそうな構造。
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横の窓からは新幹線のホームもちらり。サイン類の整備も終わり、いつでも迎え撃てるかのよう。
苦難を越えて
福井鉄道、えちぜん鉄道ともに苦難はありつつも、地元に定着している感覚はある。
特にえちぜん鉄道は「事実上廃止」だった過去も経験して今に至っているというエピソードがある。
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えちぜん鉄道は2001年までは「京福電鉄福井鉄道部」が運営。京都の路面電車「嵐電」と同じ会社の離れ小島のような路線だった。
しかし、2000年と2001年に列車同士の衝突事故が発生。これをきっかけに全線を休止し、バスが代行することに。「京福」自身の慢性的な赤字も相まって廃止せざるを得ない状況まで追い込まれた。
それでも、廃止を逃れた原因は「鉄道がない不便さ」。マイカーが増え、道路渋滞が悪化。その上、豪雪では大規模な交通麻痺を起こした。福井の交通は大混乱を招くことになった。
こうして、復活を求める声が高まって、2003年に第三セクター「えちぜん鉄道」が発足。3路線中2路線が復活して、今に至る。
この話を知ってる僕にとっては、今の姿を見るだけで感慨深いものを感じる。
結局、鉄道は生活の必要最低限なんだと。
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