鉄道だけでは世界が狭い。
久々に「情熱大陸」を見てみたくなる機会があった。この日の主人公は「モビリティー建築家」の川西康之さん。2024年4月にデビューした特急「やくも」の新車両をデザインした話題の人。観光列車、船、駅など乗り物のデザインをはじめ、内装リノベーションなどにも携わっている「匠」だ。
そんな川西さんがデザイン事務所のスタッフたちとのランチでのこと。スタッフ皆が鉄オタではないことに対して、川西さんはこんなことを言っていた。
(スタッフで)電車マニア来られても困るもんな、はっきり言って。
普通のお客様の感覚がないとダメですから
お客さんの代表を演じてもらわなあかんので。
幼い頃の列車旅から鉄道に魅了され、水戸岡鋭治さんが手がけた鉄道車両が原点と語ってる川西さんにしては意外とも言える。昔見られた復刻カラーの要望が事務所に届いたときもこうボヤいた。
いや知らんがなぁ。
なんでウチにそんな要望が来んねん笑笑
鉄道に携わっていることが多い川西さん。しかし、それだけではこんな大物にはなっていない。裏を返せば、鉄道にしか興味ないというのは世界が狭い話だ。
僕自身も「鉄道ファン歴四半世紀」を豪語している根っからのやつ。しかし、鉄道好きだけではどこか生きづらさを感じることもある。鉄道を僕ほど好きな人間なんていないし、外で見た鉄道ファンはどこか近寄り難い雰囲気。ファンからかけられた言葉で腹が立つ瞬間もあった。
鉄道のコアな動画を見たり、いろんな情報を得たりしているが、鉄道だけ好きだと分かりづらいし、コテコテのファンの僕でも「くだらん」と言いたくなるのをたくさん見てきた。
結果的に、音楽、ラジオ、料理と好きを増やしたり、ラジオをやってきた、弓道経験アリと言ったこともあってか、僕の中では世界が広がった感もある。鉄道では分かり合えなくてもいいやと思える。鉄道だけじゃなくても楽しいことはたくさんあるし、井の中の蛙で満足はできない。
川西さんは建築を学んで、いろんな人、モノを観察し、対話することで形にしている。結果、世界的に評価されるぐらいになっている。仕事仲間に鉄道ファンがいないほうがいろんな感性や視点を集められるし、100人いても80人ぐらいは鉄道に関心を示さない。その80人にも振り向いてもらうようにつくるのが川西さんなのだと思う。
鉄道好きで分かり合えても、視点は広い方がいいと思うし、たくさんの話題があったり、人に興味を持てた方がいい。興味を持てば世界は広がる。アイデアや結果も出しやすくなる。
僕の鉄道愛は衰えさせるつもりはないが、いろんなことや人に興味を持ってみたい。鉄道に関しても話を聞いて面白いと思ってもらえるような表現にこだわりたいし、見た目の良さや匂いも気にして印象よく持たれたい。そのためには井の中の蛙ではもったいない。