金色の特急に乗って
日曜日の夕方から夜にかけて時々、「大回り乗車」という手法を使って、関西エリアのJRに乗っていることが多い僕。
ただ、前の日曜は大阪吹田市内で見つかった不発弾の処理があり、警戒範囲内に含まれるJR京都線とおおさか東線の一部区間が運休。特に新快速は米原〜姫路間で昼から夕方にかけて全面運休し、「京阪神の大動脈」に影響を与えた。
こういう事情なら、家に引きこもるってこともできるが、行動しないと“止まったマグロ”のようにへたってしまう僕はある特急に思い付きで乗りにいくことにし、ネット予約で座席指定を取った。
なんばから金の特急で
京都から京阪に乗って淀屋橋、そこから御堂筋線でなんばへ。改札から急ぎ足で向かうは南海電車。
右側に止まっている白と金色のラインが目を惹くこちらは特急「泉北ライナー」。ここから大阪南部に位置する和泉市「泉北ニュータウン」方面を結び、速達性アップや着席通勤ニーズに応えるため、2015年から運行している。2種類いるうちの「11000系」にまずは乗る。
紅白と金の電車
元々は高野線橋本行きの特急「りんかん」用で「こうや」と同じ色合いだったが、「泉北ライナー」に移籍してしばらくして、このあと乗るド派手な車両に合わせて金帯に青と黒のアクセントが加えられた。ただし「こうや」検査中は金帯を赤に“着替えた”上で特急「りんかん」として走り、抜けた穴には南海本線「サザンプレミアム」が入る。予備がいないため、けっこうやりくりが複雑。そりゃ「こうや」の脱線でロングシートの急行電車をピンチランナーに送り込むわけだ。
昭和な車内
と、うんちくはその辺にして、車内を見てみることに。
以前乗った「サザン」よりちょっと弟みたいな世代のため、それと同じ色の座席。折戸を含めて、ちょっとだけ古めかしさがある。他にもフットレストや自販機など最低限快適設備を搭載している。
夏の夕暮れを見ながら
17時44分になんばを発車。夕暮れを見ながら、和泉中央を目指す。
西成の下町から帝塚山を経て、堺市内の住宅街を縫うように高野線を駆け抜ける。
高野線から泉北高速へ
御堂筋線の終点中百舌鳥(なかもず)を過ぎると高野線から地下を潜り泉北高速鉄道へ。会社が変わるが、「区間急行」共々「なかもず」で乗務員交代はせずにスルーして、引き続き南海電車所属の運転士と同じく特急電車専門のアテンダント車掌のペアが担当する。こういう扱いも速達性の高い理由なのかも。
すぐに地上に出ると高架線を駆け抜ける。泉ヶ丘付近からは片側2車線の「泉北1号線」こと「府道堺狭山線」の中央分離帯に割り込む形で並走していく。
こういう光景は「新御堂筋」に「御堂筋線」と「北大阪急行」が挟まれる光景にも良く似ていて、懐かしさがある。そして、ニュータウンを見下ろす光景は大津市内の湖西線や大阪北部を彷彿とさせる。
なんばから29分で和泉中央駅に到着。プレイリストでもその時間の短さが感じられるだろう。短距離ながらも準急のちょうどええ退避や大阪市内と「泉北高速」の主要駅に絞った停車駅設定でこの速達性はなかなかのもんで、「赤い公園」や「KANA-BOON」が楽しいわけだ。
和泉中央ぶらり
折り返しの「泉北ライナー」は2種類目を狙うために、1時間暇を潰して夕焼けの街を歩く。僕が育った大阪北部や滋賀の風景が1つにまとまってるようで見ていてテンションが上がる。
金色が過ぎる特急
ショッピングモールで「やよい軒」を見つけてたらふく食べるといい時間になった。復路の「泉北ライナー」はインパクトあるビジュアルが目立つ凄い車両を狙って座席指定した。ネット上ではシートマップが見れて、一部配置が違っているから、2種類とも狙って乗ることができる。
引き上げ線からやってきたのは「12000系」 2017年に「泉北ライナー」増発に合わせてデビューした南海特急では1番新しい車両だ。金色のボディとギラついたライトが目を惹くが車内はさらに凄い。
真っ金金
中までとことん「金」にこだわった内装で座席の色も号車によって変えている。バリアフリーや防犯カメラといったなくてはならないものから「プラズマクラスター」コンセント、フットレストなど短距離ながら、設備面も豪華絢爛だ。
見えにくい窓
19時39分に発車し、夜の帳が下りた和泉からなんばへ向かう。窓を含めた全面ラッピングで少々見えづらいが、「マジックミラー」のように外からは見えづらく、プライバシー性が高い。10年ちょっと前に「ユニバ(USJ)」へ行くときに乗った「スパイダーマン」のラッピングも窓含めてのラッピングでこちらも見えづらかった。それをちょっと思い出した感じだったし、窓を丸ごとラッピングするのはなかなかレアだ。
行きではトップスピードだったのに対して、なんば行きは準急のすぐ後を続くため、所要時間が5分長め。そんなわけでスローな選曲をした他、乗る直前に通りかかった「カキ小屋」で「サイサイ」が聴こえてきたのに触発されて、そちらも選曲した。
なんばで観察してみると
行きよりちょっと長めの33分でなんばに到着。
降りて、車体を観察すると、遠目だと車内が全く見えず、近くで見ても誰がいるかはハッキリわからないぐらいなのがよく分かる。YouTuberが鬼ごっこでこれをカムフラージュにして逃走し、追い手を欺くというシーンで見ていたが、これならさすがにバレにくいわけだ。まぁ「泉北高速」的にはこんな使われ方は想定してないだろうが苦笑
乗ってみて
今回は、「泉北ライナー」に2種類乗ってきたが、やっぱり「12000系」はインパクトが凄まじい。金色のビジュアルについて泉北高速曰く、「和泉市や沿線に『ゴールドラッシュ』のようにたくさん人が来て欲しい」という願いが込められているそう。たしかに注目度高いし、規模の小さな「泉北高速」ながら、ここまで本気を出すわけだ。「密回避」も相まっていい感じ。ただ、毎日走っていても朝晩のみだからか、行き帰りで見ていると座席指定を知らずに乗り込んでくる人が多い。ライブで言うところの「前売り」と「当日」のように値段が変わるわけではないが、「知名度まだまだやなぁ」なんて思ったりもする。ちなみに京阪電車の全席指定列車「ライナー」でも同様のことがよくあって、僕が指定した席に違う人が座ってたりもしたほどだから、ここに限ったことではない。
一度だけ「サザンプレミアム」とトレードした「金のサザン」として和歌山へ出張させたこともあったが、また同じイベントやってほしいし、こっちもいつか乗れたらなぁ。
実は影響受けた?
帰り道の京阪電車では「プレミアムカー」に乗ったが、デビューが「泉北ライナー」の後だから、参考の1つにしたのだとか(?)たしかに金をアクセントにしていたり、空気清浄を設置してるところはよく似ている。朝から晩までいつでも乗れるからかすっかり定着していて、休日帰宅ラッシュや新快速運休もあってかこの日は「満席御礼」にも見えた。