藍よしのがわトロッコと鬼滅人気
徳島からはるばる京都鉄道博物館に「藍よしのがわトロッコ」という車両が期間限定でやって来たということで今回も行ってきた。そこには所属先のJR四国と走行区域の徳島県の熱い想いが垣間見えた。
藍よしのがわトロッコとは
2020年10月から徳島線の徳島〜阿波池田間を運行している観光列車。徳島線に並行する吉野川という大河の美しい景観を見ながら乗れて、2両のうちの片方は窓無しで空気や風と共に直に風景を堪能できる。車体は沿線で盛んな藍染めをモチーフにしていて、白い布がすくも(藍染めの原料)によって藍に染まっていく様をグラデーションで表現している。
そこまでやるか!?
京都鉄博には、JR京都線や嵯峨野線などに繋がっている線路から運び込める展示スペースを使用し、現役の車両を随時展示することがある。過去に様々な「ゲスト」が京都鉄博に違った彩りを添えてくれる。しかし、今回はいつもと違う雰囲気があった。車両の周囲にはJR四国や徳島県をアピールするポスターや幟が何十ヶ所にも掲示され、パンフレットを置いた特設ブースも設けられ、車両のそばには車両の名が書かれた停止目標、運転台にはJR四国のマスコット「すまいるえきちゃん」が飾られている。
↑「すまいるえきちゃん」とオリジナル停止目標
さらに、展示初日の週末にはJR四国のグッズや徳島県の名産品も販売された。それだけではなく、この展示をアピールすべく、JR四国の快速マリンライナーや近鉄、京阪に中吊り広告を出稿するまでしていた。
過去に類を見ないレベルの気合いと熱意の入れようには「そこまでやるか!?」と突っ込んでしまいそうなほど。しかし、コロナ禍でなかなか来れない今、こうやってアピールして名産品を買ってその土地の列車を見るだけでも、徳島に来た気分を味わってほしい。そして、収まったらまた現地に来て欲しい。そんな両者の総意によるアツい想いが根強く感じられた。徳島は関西からも高速道路やフェリーで繋がってるなどでそれほど距離感を感じない場所。是非とも一度行ってみたくなるそんな熱意を僕は受け取ることができた。
衰えることを知らない
↑「リアル無限列車」こと8630形「スチーム号」
そんな京都鉄博では、東映太秦映画村と共に「鬼滅の刃」のタイアップ企画「京ノ御仕事 弍」というイベントを開催している。エントランス横に展示されているC62蒸気機関車にはイベントキービジュアルのヘッドマークが飾られ、この2両目に連結されている客車の車内には善逸や禰󠄀豆子などの主要キャラのパネルが飾られている。食堂では「鬼滅の刃」の弁当やスイーツが数量限定で登場。さらに、館内を走る「スチーム号」を牽引する蒸気機関車8630形(通称ハチロク)が映画版の「無限列車」に限りなく似ていて、映画と同じ大正生まれであることから、ナンバープレートが「無限」に取り替えられ、「スチーム号」車内では竈門炭治郎役の花江夏樹さんによる特別アナウンスが流れる。
館内を周っていると、煉獄杏寿郎や禰󠄀豆子、鬼殺隊のコスプレをしている子どもたちがいて、鬼滅人気が衰えないことを実感する。続編アニメの制作も決定するなど、一過性となることなく、今年も人気は続いていくことでしょう。
ストリートミュージシャンの投げ銭のような感覚でお気軽にどうぞ。