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お魚電車を捕まえた。

近鉄全線2日間フリーきっぷを使って近鉄のいろんなところを旅してきた。

  • 近鉄全線が乗り降り自由

  • 葛城山ロープウェイ割引券付き

で「3000円」というお得さ。近鉄自体、京都、大阪、奈良、三重、愛知で500㎞の路線があるのでかなり元は取れそう。特急券を払えばそれも可能なのでいろんなところに行ける。

まずは5時に起きて大和西大寺から大阪難波まで「ひのとり」で「コーヒータイム」。そこから「大阪上本町うえほんまち」に移動してある電車を狙うために待つことに。

フツーの近鉄電車?

フツーの近鉄電車

1時間近く待ってようやくきた。

こちらは“新快速もどき”なクロスシート。

一見するとフツーの近鉄電車。真ん中もちょっと珍しいが、一番後ろにその答えが。

お魚図鑑と鮮魚電車

1両だけなんかちゃう。

何やら色が全く違う電車が連結。白地に魚のイラストがある。これが狙っていた、いや“捕まえたかった”電車

伊勢志摩お魚図鑑

ただ見た目が違うだけではなく、この電車にはある役割がある。それが

行商人専用電車

2680系鮮魚電車(真ん中)。
3両編成でマルーンに白帯、行き先が「鮮魚」という独特さだった。
2020年に引退。

伊勢志摩で水揚げされた新鮮な魚介を大阪の市場や鮮魚店で売り捌きに行く足として「専用貸切電車」が登場。以来、半世紀以上にわたって「鮮魚電車」として親しまれた近鉄名物だった。

しかし、行商人の担い手不足や車両の老朽化などで、2020年3月に「専用貸切電車」としての運転が終了。電車も引退した。

伊勢海老、カツオ、タイなどが描かれる。

その跡を継いだ「お魚図鑑」はこれまでと形態が違う。一般車両1編成の片方をラッピングされた上で「行商人専用車両」に改造。

  • 松阪6:44発名張行き急行→名張から大阪上本町行き快速急行

  • 大阪上本町8:45発松阪行き快速急行

の平日1往復の1両に設定。大阪方面を先頭にした場合、最後尾が「専用車両」になるよう固定されている。

一般車両から専用車両を見渡す。
トレーが置いていたり、ロープが張られていたり。

一般の列車に混じるようになった今でも1両が「貸切」なのは変わらない。ロープや注意ステッカーが貼られ

一番後ろ(前)の車両は貸切です。
一般のお客様はご乗車にならないようお願いします。

とアナウンスされている。

乗っていく

今回は「お魚図鑑」真後ろの一般車両に乗車。「専用車両」を窺いつつ伊勢中川まで乗っていく。

生野の低層ビル群。ザ・下町。

大阪上本町から布施にかけてはビルが多い。ただ、いずれも低いからかなり眺めはいい。

高安の車庫

高安検修センター
ひのとりもいる。

高安検修センターが見えてきた。ひのとりや団体専用車両「楽」(茶色い電車)などがいる。大阪側の拠点車庫で、折り返しや車庫の出し入れによる「高安行き」が頻繁にある。

6年前の思い出

「青の交響曲」塗装を塗られた通勤車
サンプルで塗って、見栄えを確認する。
18400系「ミニスナックカー」運転台
狭幅車体のスリムな電車だった。

「きんてつ鉄道まつり」で一度内部に入ったことがあって、いろんな「お宝」を見れた。

おまけに、お笑いコンビ「笑い飯」が漫才していた。近鉄のPR動画に出演していたご縁だが、全く無縁の「行列」がテーマのネタをしていた。とはいえ、貴重な生漫才だった。

奈良県へ

思い出はその辺で。高安を過ぎると生駒山地が迫る。

河内山本を過ぎてから並行していたJR大和路線とクロスし、近鉄が南へ直線的に下る一方で、大和路線は過酷な渓谷をグネグネし、王寺方面へ。

大阪教育大前駅。
駅が山に迫り、すぐトンネルへ。
奈良県へ突入。

さらに、大阪教育大前駅を過ぎるとトンネルを貫き、奈良県へ突入。

五位堂

山を下って、「五位堂検修車庫」が見えてきた。

青い謎の車両。
どうも、車庫の入れ替え車両らしい。

ちなみに紹介した鮮魚電車の写真はこの場所での「きんてつ鉄道まつり」で自分で撮ったもの。あるだけでも貴重だ。

8000系が検査中。
本来大阪線は走らない電車。

奈良線、京都線の電車が検査中。他にも「名古屋線」を始め、近鉄の中枢となる車両工場だ。

五位堂で検査中の「けいはんな線」
左の3つが「近鉄の牽引電車三銃士」。
右は「はかるくん」という「近鉄版ドクターイエロー」

また、線路幅が違う「南大阪線」、架線で集電しない「けいはんな線」といった車両も台車を履き替え、専用牽引車に「エスコート」されてこの場所にやってくる。効率のためとはいえ、壁を越えるとは恐るべし。

五位堂駅

車庫の直後に「五位堂駅」に到着。鶴橋を出た快速急行は26㎞をノンストップで走る。料金不要でここまでショートカットはすごい。

ひのとりに抜かれる

大和八木駅。
フロント部分はタイが目立つ。

大和高田を経て、大和八木へ到着。

ひのとりに“どうぞどうぞ”

この駅では「ひのとり」に連絡。「ひのとり」は次の停車駅が三重県の「津」。快速急行でも「王者」には叶わぬ。

山岳地帯、三重県へ

桜井を過ぎると標高を上げ、山岳地帯へ入っていく。

室生口大野(むろうぐちおおの)駅

坂やカーブの連続だが、ドル箱ルートゆえにスピードの出しやすい整った環境。坂道性能も合わせて峠に挑む。

名張駅

名張駅で切り離し。

奈良県から三重県へ。やってきたのは名張なばり駅。ここまで10両でやってきたが、この駅で大阪寄りの4両を切り離す。車庫もあるためここで連結切り離しは多い。

伊勢志摩ライナーにも抜かれた。

その隙に「伊勢志摩ライナー」に追い抜かれる。切り離しは成功し、発車する。

伊賀市に入って伊賀神戸いがかんべ駅。この駅では伊賀鉄道に接続する。
「忍者列車」が有名だが、そこにいたのはフクロウをモチーフにしたラッピング電車だった。

青山の峠越え

新青山トンネルを貫く。

青山町を越えると再び峠越え。新青山トンネルに入っていく。大手私鉄では最も長い山岳トンネルだ。

トンネル完成前は、別の線路を走っていた。今より過酷な上に悲惨な事故も起こっている。それぐらいの難所だ。

東青山の「四季のさと」

東青山を通過。「四季のさと」という公園が広がる。

「青山」というワードと相まって「メナード青山リゾート」を想起させたが、本当は東青山からは南に離れた別の場所にある。

プレイリスト

最近ハマってる『ひとりごつ』『フロントメモリー』を始め、たくさんの曲を聴いた。速度も安定感があって楽しい。

伊勢中川駅

中川連絡線

峠を越えて、伊勢中川駅へ。「大阪線」「名古屋線」「中川連絡線※」で構成される「中川デルタ」はファンにとっては名所の1つ。

※大阪線と名古屋線を繋ぐショートカット線。名古屋〜大阪間の特急「ひのとり」「アーバンライナー」が使用していて、伊勢中川での方向転換無しで直通ができる。

中央付近の緑の看板が「スーツ」さん

「デルタ」の内側にはYouTuber「スーツ」さんによる三角柱の宣伝看板もある。方角もわかりやすく書かれている。

「お魚図鑑」と名古屋からの急行。
この駅では「急行」が先発する逆転現象が起きた。

駅は両側ホーム。大阪線と名古屋線で乗り換えが可能だ。そんな僕は「津ぎょうざ」が食べたくなって乗り換えた。

行きはどない?

「お魚図鑑」の車内はというと、乗り込む人も勘違いしている一般客もおらず。大阪上本町到着時点でも少し積荷を下ろしているような気がしたが、塗装でわかりづらかった。行きがどうなのか曜日で違うのか見てみたい。

ストリートミュージシャンの投げ銭のような感覚でお気軽にどうぞ。