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南海電車思うとこ

大阪ミナミの繁華街なんばを起点に、和歌山市、関西空港、高野山、和泉いずみ中央(泉北せんぼく高速鉄道乗り入れ)などを繋ぐ大手私鉄南海電鉄(南海電車)。大手私鉄の中では非常に老舗で長年南大阪や和歌山県民の足として親しまれている。加えて、JRとともに関西の空の玄関口として20年以上活躍している。
関西私鉄に馴染みが強い僕であるが、五大私鉄の中では乗る機会が大幅に少ない。回数はだいたい両手指に収まる程度。

そんな僕がこないだ南海に乗って感じたことを綴っていく。

訛りの強い放送

ウィキペディアによれば、南海電車の肉声放送は沿線の訛りである河内かわち泉州せんしゅう、あるいは和歌山弁でやっていたことが多かったそう。ただ、空の玄関口としてのふさわしさから関空開業後は正しいアクセントで話すように指導された。それでも、訛りの激しい放送は男性のベテラン車掌さんを中心に一定数いる。帰り道で乗った特急「サザン」の車掌さんも

「と(↑)びらがし(↑)まります」

と訛っていた。関西で列車に乗ると訛って話してる車掌さんは多いものの、指導の効果なのかそこまでキツさは感じない。ただ、南海電車ほど訛りが激しいのはここぐらいなのかも。
とは言っても、旅する人、とりわけ関西以外の人からしてみたら地元を感じられる良い経験なのかもしれないし、クセのある喋りの車掌は耳に残る。個人的には「阪急とかアナウンサーさんみたいに丁寧な方が伝わりやすいと思うけどなぁ。」という惜しさを思ったりするが、ある意味南海らしいし、最近ではタブレットの自動放送を多用しているからなかなか聴けないのかもと思うとちょいと寂しくなる。

昭和漂う特急

南海には関空アクセスの「ラピート」を筆頭に、大阪〜和歌山間の都市間輸送と和歌山〜徳島間の「南海フェリー」への橋渡しを担う「サザン」、「高野山の入口」極楽橋へ直行する「こうや」、高野線沿線の通勤輸送を担う「りんかん」、泉北高速鉄道に乗り入れる「泉北ライナー」と色とりどりの特急がある。ロボットの頭のような前面と楕円の窓がトレードマーク「ラピート」や黄金の見た目が目を惹く「泉北ライナー」といった魅力的な電車が多い中で「こうや」と「サザン」はちょっと気になるところがある。

↑特急「こうや」と「サザン(手前の編成が指定席、奥が追加料金不要の自由席)」

これら2つは1980年代製で内装がリニューアルされたことは一度もなく30年以上活躍。サザン指定席車両の車内にある「自動扉」、「乗務員室」のプレートの字体がレトロを漂わす。そして、先に触れた車掌さんの放送も昔っぽいクセの濃さと訛りだからより際立つ。

車内の雰囲気も色褪せた見た目で、先ごろ引退した近鉄特急『スナックカー』や国鉄の特急のようなノスタルジーも感じられる。「こうや」は今回も乗れていないが、同世代でだいたい似ている。

これとほぼ同世代の電車である京阪8000系は当時の新型同様シックでモダンにリニューアルしたり、「プレミアムカー」などニーズや快適性向上でアップデートしてる印象だが、こちらは真逆。特に新型車「サザンプレミアム※」がデビューしてからは格差が格段に大きい。進化していても、タブレット端末による自動放送ぐらいだろうか?今は高野線の通勤電車の世代交代に力を入れてるそうだから、後回しにはなるであろう。

※「サザン」従来型置き換え用として2011年にデビュー。防犯カメラや客席のコンセントなど時代に合わせて進化している他、鉄道車両初の「プラズマクラスター」による空気清浄機も搭載している。ちなみに、これと同一設計で弟分にあたるのが先に挙げた「泉北ライナー」である。

とはいえ、「スナックカー」が引退して「昭和香る特急」なんてなかなか乗れなくなったし、ましてや南海電車自体乗れる機会が限られるからそれでも良いし、音楽さえ楽しめれば僕はそれで割り切れたりする。プラス、老体に鞭打つような爆走は「レジェンド」と称えたくなったりもするし、今は「HYDEサザン」に出会えるとラッキーだったりも。(でも、「プレミアム」乗ってみたかった🥺)

JRと仲良し

関西私鉄の中で一番JRと仲が良さそうなのは南海電車だと僕は思ってる。他の私鉄同様並行し、しのぎを削っている中で、線路幅がJR在来線と揃ってるという共通点でりんくうタウン駅から同じ線路を共有して関空に渡っているし、遠い昔には和歌山市から当時の国鉄紀勢線を経由し、南海なんばと南紀白浜を乗り換えなしで結んだ優等列車を走らせていたこともあった。そして、並行するライバルであるJR阪和線は南海電車の源流にあたる「南海鉄道」に一時合併していて、いわば「同じ釜の飯を食う仲間」のような関係だったことも。
そして現在、なんばと大阪駅(うめきた地下ホーム)を結ぶ「なにわ筋線」の工事が進められていて、完成の暁には関空同様、この2社が線路を共有して走らせることで「南海長年の悲願」である大阪キタに進出を果たす。
そんな感じで他と同様ライバル同士なのに不思議と仲が良いと感じてしまう。

ということで個人的に感じる南海電車の乗った雰囲気やイメージを綴ってきた。全路線では高野線や汐見橋しおみばし線、高師浜たかしのはま線※1、多奈川たながわ線、和歌山港線、高野山のケーブルカーが未踏でまだ半分は乗れていない。「すみっコラピート」に乗ってみたいし、九度山くどやま駅のおにぎり、「ズームカー※2」のパワーなど体感したい「なんかいい」ことがたくさんある。感染対策万全で徐々に制覇していきたい。

※1…羽衣はごろも駅周辺で高架線路切り替え中のため2024年の完成まではバスが代行中。
※2…急坂、急カーブが連続する山岳区間に対応した高野線の車両。小回りの良い車体の短さ、全車モーター付きというハイパワーが特徴。名前の由来は諸説あるが、「平地でも山岳でも活躍できる性能を画角を自由に変えられるカメラのズームレンズに例えた」という説が有力らしい。

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