大阪メトロ中央線の新メロディ案を聴き比べ
大阪市内を東西に貫く緑の地下鉄「大阪メトロ中央線」。大阪のベイエリア「コスモスクエア」から中心部のビジネス街「本町」を経て、東大阪市の「長田」へ至る。長田からは近鉄けいはんな線に直通し、生駒や学研奈良登美ヶ丘に乗り入れている。
2025年「大阪・関西万博」の開催に合わせて、コスモスクエアから先が2025年1月に延伸予定。万博会場最寄りで新たな終点「夢洲駅」が誕生する。
これに合わせて、現在使われているメトロ共通の駅メロディを中央線独自のものに変更することになった。導入を前に、3つのメロディ案が公式のホームページで公開。アンケートとして試聴できるようになった。
メロディ案
メロディ案はAからCの3つ。
A案→「終端駅がある場所やその地域の特色を音色で表現」
B案→「終端駅の駅名のイントネーションをメロディに反映」
C案→「大阪発祥の伝統芸能である文楽で使われる三味線の音色をベースに構成」
いずれも「夢洲行き」「長田行き(音源では学研奈良登美ヶ丘行き)」の2種類を用意していて、現行の放送を担当する声優が吹き込んだ新録音声になっている。実際の駅の電車のリアルな音源も入れてあり、雰囲気が感じやすい。
A案
Aは「夢洲行き」と「学研奈良登美ヶ丘行き」で大きく音源が異なる。
A -1の夢洲行きはポップで明るい雰囲気。万博や海遊館へ行く子どもたちが大はしゃぎしそうな光景が見える。
方や、A-2の学研奈良登美ヶ丘行きはかなり古風。東へ向かう多くの列車が行き先にもある「奈良」のイメージを濃ゆくしている。
将来のカジノやIRの開業を見据え、中央線やけいはんな線から「近鉄奈良線」へ直通できる専用車両を開発し、近鉄特急を運行させる計画がある。もし、「夢洲発奈良行き特急」が実現したならば、ぴったりなのは間違いない。
B案
B案は中央線両端駅の読み方を大阪弁アクセントで発音したときの抑揚をアレンジさせてある。B-1は新駅「夢洲」B-2は中央線の東端で近鉄との境界駅「長田」となっている。
中川家が「人の声がする」とモノマネしている大阪メトロ長堀鶴見緑地線限定メロディと同じコンセプト。こちらも開通当初の両端駅「京橋」と「鶴見緑地」の大阪弁アクセントをメロディにしている。
中央線の場合は人のコーラスがなく、どちらもポップな音に仕上がってる。怖いなんて言われることはなくなりそう。
C案
C案は三味線をアレンジした和風のメロディ。大阪生まれの伝統芸能「文楽」に発想を得ている。C-1、C-2とも音色は似ているが、音数で方面が少しわかるようになっている。
大阪環状線で「ホラ貝(大阪城公園駅)」や「和太鼓(芦原橋駅)」といった地域を感じさせる発車メロディを起用させてきた分、いいかもしれないとは思う。外国人に日本の文化や伝統芸能「文楽」を耳から感じてもらいたい思いも感じられるような気がする。「SUSHI」「KARATE」などともに「BUNRAKU」が英語になっているほどだし、外国人ウケは抜群だろう。
全部聴いてみて
個人的にはAとBがなんとなくしっくりくる。Aは行き先によって雰囲気を変えていて、どっちの列車が来たかも分かりやすくて実用的。Bは長堀鶴見緑地線で定着したコンセプトを引き継ぎつつ、ポップにアレンジさせているのが音として良い。Cは外国人ウケが良さそうだが、音色で乗り間違いリスクが高まるし、派手さが物足りない気はする。大阪に来たというよりも京都に来たような感覚にもなってしまう。
京都市営地下鉄など、車両ビジュアルを投票で決めた鉄道事業者は数あれど、駅メロディを投票で決める事例は初めてかもしれない。
こだわりのメロディ
大阪メトロといえば、長年使われる接近や発車のメロディが大阪を象徴させる存在になっている。最低で30年以上も使われ、長堀鶴見緑地線、ニュートラムを除く7路線全駅で聴くことができ、中央線の現行メロディもこちらを使用している。
接近、到着、発車はもちろん、当駅止まりと回送用、終電予告、啓発チャイムというバリエーションもある。
クイズの問題になったり、大阪出身の3人組音楽ユニット「ベリーグッドマン」が曲のイントロに混ぜ込んだり。大阪人の心に残るだけに、音に賭ける気合いとこだわりを感じられる。
万博で盛り上げる新メロディ案。ぜひ聴き比べていただきたい。大阪以外の人なら元の共通メロディや長堀鶴見緑地線のメロディと聴き比べると分かりやすいかもしれない。
一体どれになるのだろうか、僕は投票してとくと待つしよう。