九州の普通列車たち その2
ちょっと書ききれずに「その2」ここでは、国鉄生まれの電車と地下鉄で見られる「水戸岡デザイン」の電車について。
415系
九州の現役電車では唯一「国鉄生まれ」どことなく名古屋や静岡で見たのと似てるが、交流と直流を行き来できる「交直流電車」として一部アレンジされ、別形式となっている。北部九州を中心に、交流と直流の切り替わり区間である門司〜下関間はこの電車が専用で担っている。10年ぐらい前までは常磐線、水戸線で紺色を纏ったのもあって、東京から茨城での地域輸送、さらには福島浜通りで被災地の足を支えた。
ちょっと前まではビジュアルが全く違う「415系0番台」という白いのも走り、1500番台との連結もあった。ただ、新型投入が進んだことで西九州新幹線開業という節目で引退。その後九州北部の車庫で仮置きされていて、それを僕は何度も見かけた。また一つ国鉄世代が減ってしまったわけだが、「交直流電車」はコストが高くて、新型は交流オンリー。まだまだ、長生きしそうだ。
懐かしのセクション
交流と直流の境目「デッドセクション」では惰性走行させながら一旦停電させて電気の切り替えを行う。これによって電気は非常用の灯り以外10秒前後停電する。門司駅から本州方面に発車して少し進んだ地点にあって、ここからトンネル側が直流になる。切り替え作業は1つ間違えると電気系統の大事故になる恐れがあるから、目立つ看板で知らせ、発車前には正確に切り替わるかチェックもしている。
この作業で人によってはびっくりするかもしれないが、僕にとっては幼き日に地元でよく見た光景。特に夜行列車を改造した普通列車がオレンジの常夜灯だけになる光景は「夜汽車」や家の寝室のようなエモい風景だった。
門司を出るとすぐに「セクション」を低速で通過、程なくしてトンネルに潜り、海底へ。列車はみるみる速度を上げて、轟音を立てまくる。僕は列車で海底を潜るのは初めてではあるが、どこかそんな雰囲気はなくて普通に地下鉄かJR琵琶湖線で府県境を越えてるよう。
余談だが「海底」と聞くとヨルシカの『海底、月明かり』という曲を思い出すが、ちょっとそんな世界とは程遠い。
何はともあれ、そんな珍し体験もわずか5分ちょっとでフィニッシュ。地上へ出て、下関の車庫を横目に山口下関に辿り着いた。
九州×瀬戸内
隣には山陽で見慣れた黄色い電車が待機。多くの人が乗り換えて行った。県境、海を越えたとはいえ、対岸はすぐそこで結び付きが強く、4両編成の席が埋まるほど。JR西日本管理で駅名看板もそれ仕様だが県内東部からはICOCA未対応、九州からはSUGOCA対応、改札も後者のロゴという逆転現象も起きている。さらに駅名看板には九州の「JA53」というナンバリングが付与されている。連絡船時代からの関門間の結びつきの強さを感じられる。
地下鉄×水戸岡デザイン
福岡天神から博多まで福岡市地下鉄にも乗車したのだが、ちょうどそこで水戸岡デザインの列車に出会った。
どこかさっきの電車にも通づるようなこれらはJR所属の乗り入れ列車。唐津から博多まであった筑肥線の姪浜〜博多間に地下鉄が通って部分廃止。線路を直接繋ぎ、国鉄時代に対応車両を用意して福岡市地下鉄に乗り入れるようになった。また、福岡市地下鉄所属も筑前前原or筑前深江まで乗り入れていて、両者の共演が見られる。
そのうちの「305系」に乗る。中はもちろんらしさ際立つスタイル。前に来たときは地下鉄所属と乗り比べてみたが、やっぱり「水戸岡デザイン」は際立つ。モノトーンな上に「CT」ロゴがブラックでアーバンな雰囲気の地下鉄にマッチする。その反面で木材の座席やラウンド状のつり革、車両によってはフローリング、JR九州のマスコット「あそくろえもん(KURO)」が扉にあしらわれているなどがホッとする雰囲気。その上、床が「QR」模様なのが奇抜でスタイリッシュだ。
ちょっとおまけ
そんなこんなでJR九州には「水戸岡デザイン」の普通列車にはたくさんのスタイリッシュな車両がいるし、国鉄生まれや地下鉄などの変わり種など種類が多い。その他にもディーゼル車やハイブリッド車などにも「水戸岡デザイン」や国鉄生まれ、路線オリジナルのカラーなどもいる。まだまだ楽しめそうだ。