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4回見に行ったヨルシカ『前世』2024(セトリ編)
ヨルシカ「LIVE TOUR 2024『前世』」。
Aichi Sky Expo(愛知県常滑市)
大阪城ホール
ぴあアリーナMM(横浜市みなとみらい)
の3ヶ所で行われる、いわゆる「東名阪」やそれらに近い地域に絞られたヨルシカのワンマンライブだ。
2023年も同名のツアーがあって、朗読劇の世界観はそのまま。ただ、セットリストなどを一部変更し、2024年verとして披露されることになった。また、起立や手拍子などがOKになるなど制限も緩和された。
2023年verと何が違うのか、人生初の遠征したくなったのも込みで合計4回も見てきた。ネタバレ禁止令やセトリが3ヶ所共通だったので、愛知と大阪で4回分まとめて見た感想を綴る。ここではセトリについて詳しくまとめる。
開演前
開演時刻になるとどこかで耳慣れた優しい声が聞こえてきた。
本日はヨルシカ「LIVE TOUR 2024『前世』」にお越しいただきまして、誠にありがとうございます。
ヨルシカのsuisです。
数回の注意喚起アナウンスのうち、開演直前の最後のみボーカル「suis」さんが担当する。
久々の制限なしでのライブに
楽しみにしております!
など生らしい意気込みもあり、ワクワクしてくる。生らしく、
「あれ2回も同じこと言うてない?」
というミスっぽいのもあったが、気のせいかと思わせるぐらい滞りなかった。WebCMでナレーターやってるだけある。
まもなく開演します。
お席についてお待ちください。
ヨルシカ、suisでした。
という締めのあいさつとともに劇場でよく聴く始まりのブザーが鳴る。
最初の朗読
n-bunaさんがステージ上手のベンチに腰かける。スクリーンには
Written by n-buna
と映し出され、直後に「緑道」が映し出される。
朗読は「緑道の散歩道」での風景。久々に男女が出会う姿から物語は幕を開ける。かすれた声で淡々と語るn-bunaさんの姿に、オーディエンス皆が息を殺す静けさ。フェスであってもそんな感じだった。
負け犬にアンコールはいらない
スクリーンに「前世」という文字が踊ると、ギターの音、赤い光線とともに「負け犬にアンコールはいらない」が始まる。演者上には歌詞が入ったアニメーションも一緒に映し出される。
大阪のフェスではめちゃめちゃ盛り上がる曲だった反面、ガチのヨルシカ好きはみんな大人しかった。
5,4,3,2 HOWL!(HOWL→ワオーーン!!と鳴く)
で指を作ったが、フェスのようにはいかなかった。そもそも東京と大阪の年末フェスにしかヨルシカが出てなかったわけだし。
言って。
続けて「言って。」。ここではsuisさんがクラップで盛り上げにかかる。suisさんに合わせるかのようにみんなのクラップが響く。ステージの左右を移動しながらにステップしてるsuisさんのダンスも印象的だった。
靴と花火
スクリーンに映し出される夕暮れ空や明石海峡大橋っぽい夜のつり橋を飛ぶ夜鷹が美しい。個人的には赤い列車が田園や橋をゴトゴト走る画が好き。僕のふるさと「北陸線」を彷彿とさせる。(赤いのは昔の話だが。)
ヒッチコック
ひらがなや歌詞が激しく踊る映像が特徴のリズミカルな曲。n-bunaさんのギターソロにしびれる。表情ひとつ変えずにカッコよく、毎回毎回違うソロを披露するのはn-bunaさんの技量の高さが窺える。
ただ君に晴れ
『ただ君に晴れ』と言えば、サビで鳴らすクラップ連打。2023年は誰1人やらず、心のクラップだけだった。起立OKとなった2024年は1万人近い人たちがクラップした。
ルバート
朗読からの『ルバート』。2024年リリースの最新曲で2023年verからの1つ目の変更点だ。曲が始まると歌詞にある『楽しい!楽しい!楽しい!』そのものだった。
suisさんが腰でタンバリンを叩く姿や最後のサビで
「ん?」
と左へ振り向く仕草は遠くから見ても可愛らしかった。
このパートからはサックスとトランペットが追加。両者のソロパートもなんとも楽しそう。
雨とカプチーノ
『ルバート』の最後にレコードプレイヤーが映し出される。その終わりそうなとこで180°反転するとカプチーノが出現。このタイミングで会場が大いに盛り上がる。
ルバートから引き続いてサックスとトランペットも加わる。原曲にはない『前世』限定スペシャルバージョンだ。
原曲とは違うアレンジで涙が溢れる。
スクリーンがステージ前に降りて、「雨の日の緑道」と「海底」を描いた朗読。この間にセットチェンジがされ、「ウィーン」と何かが降りてくるような音もする。
嘘月
セットチェンジが完了し、スクリーンが開帳。明転すると大きな月をバックに『嘘月』が始まる。suisさんの衣装もチェンジし、白いレースのドレスになった。このパートでサックスとトランペットは降壇、代わってバイオリン、チェロ、ビオラが加わる。
愛知Day1は全員起立。同Day2は1度は起立したものの、ウェーブのように前から着席しだした。
バラードで「あ、なんかちゃう」と思ったのだろう。それを見た僕は
「いや、立つんか思ったら立たへんのかい!!」
とよしもと新喜劇的にツッコみたくなってしまった。
忘れてください
ルバートと同じく2024年verで加わった『忘れてください』。日テレ系ドラマ『GO HOME〜警視庁身元不明人相談室〜』のエンディングで、耳にした人は多いことだろう。
ここではMVに沿ってみんなクラップ。愛知2日目の着席クラップはちょっと違和感あったが、大阪ではこれがしっくりくる。
花に亡霊
この公演で1番待ってたと言えるこの曲が来た。MVの舞台になっている常滑でこの曲聴けるのは「待ってた」とみんな思ったことだろう
花に亡霊の演奏映像には「山中」と書いているバス停や赤と白の駅舎が映る。バス会社や駅の雰囲気から場所は千葉県房総半島、鉄道は「小湊鐵道」ではないかと推定した。しかし、調べたら、バス停はすでに路線とともに廃止になっていて撤去されてるかも?ただ、駅だけでも行ってみたいと思う。
晴る
こちらも2024年verで追加された『晴る』。スクリーンに映るシロクマが飛んでいる様子が疾走感と晴れ晴れしさでかっこいい。なんといっても、
この歌よ凪げ
という歌詞の後にアカペラで歌うsuisさんは安定感と表現が豊か。こういうところを聴くとsuisさんの声がいかに美しいかわかると思う。
冬眠
ストリングスが心地よく響き、ギターの単音のスピードが速くてバイブスが上がる。曲終盤ではsuisさんが曲にちなんで演技。ソファに腰掛け、左手を180°弧を描きながらクッションに横たわり毛布をかけて眠りにつく。曲にちなんだこの演出は大阪で見るまで一切気が付かなかった。
詩書きとコーヒー
北欧の街並みにちなんだ朗読の後はこの曲。スウェーデン・ストックホルムの旧市街「ガムラスタン」の街がジャケットにある『だから僕は音楽を辞めた』の収録曲だ。
個人的には関西、北陸などいろんな特急、新快速などで聴きまくってる曲だが、ライブとなると刺激が違うし、ストリングスという追加要素もさらに刺激的だ。
パレード
この曲最初のリフレインから嬉しくて涙が止まらない。2023年以前の曲だが、2023年の『前世』では選ばれず、『声』だった部分だ。入れ替わった曲同士は、対になっていて、リフレインの一部が共通している。
個人的にはピアノやリフレインが気に入っていて毎年「Apple Musicリプレイ」で年間1位を獲っている。
城崎温泉の帰り道ではダイヤ乱れという過酷な中、帰りの目処が立った城崎温泉駅発車後のタイミングでこの曲を流して涙した思い出もある。綴ってるだけでも思い出とともに涙が出てくる。
だから僕は音楽を辞めた
このパートの最後を〆るのはアルバム表題曲。力強く歌うこの曲もsuisさんの歌唱力を垣間見える。映像には北欧の街並みや『世界の車窓から』で出てきそうなモダンな郊外列車が映る。海外旅行行くとしたらここも行ってみたい。
左右盲
「私は犬だ」と気付かされる朗読の後は『左右盲』。
「上手く思い出せないみたい」
「忘れる」
など物語の真髄がこの歌詞でよく見える。suisさんの歌声、サポートベース「キタニタツヤ」さんのコーラスが合わさると物語に出てくる男女と重ね合わせたくなる。
春泥棒
サポートドラム「Massack(マサック)」さんのドラムソロからラストは『春泥棒』だ。一部曲は変えても、屋台骨でクライマックスの部分は変えない。ラストのサビでは花吹雪が発射。舞い散る花吹雪にステージの百日紅。この美しさはヨルシカ以外に誰も真似できない。そう感じるとまた涙腺を緩めずにいられない。
大阪1日目では曲終わりに「ありがとーー!!!」という女性の声援も聴こえた。口には出さないが僕も同じ気持ちだ。
最後の朗読
最後の朗読では「犬になった彼女」の悲痛な叫びが描かれている。このときのn-bunaさんは感情剥き出しで、口に出せない悲しみや彼にわかってもらえない心情を繊細に表現していた。男性的ながなる感じではなく、か細く泣き叫ぶ感じだった。そういう想像力もn-bunaさんの凄さだと思う。
朗読を終えて、n-bunaさんが中央へ移動し、下手からやってきたsuisさんとともに一礼し、幕を下ろした。
4回見て
愛知2Days、大阪2Daysと4回も見に行ったヨルシカ「前世」。他のどのバンドとも比べがたい唯一無二のスタイルは1度だけしか見に行かないのはもったいない。「ミルクボーイ」風に言えば
こんなんなんぼ見てもいいですからねぇ。
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これをヨルシカ愛知2日目、大阪1日目でお供させた。
ヨルシカではよく涙を流す僕だが、1回見るだけで年間量は軽く越えたのかもしれない。愛知2日目で「名鉄ハンカチ」を買い、大阪でも1日目で使用した。ここでも好きをミックスさせた。
制限撤廃され、どことなく立っていいか、座った方がいいかわからない人が多かった。中には目立つぐらいに動いたり立ったりする人がいて、集中できないという怒り声もXで目にした。僕自身もたまに周りを伺って見ていた感じだったし、どう思われてるか気になった。座るの忘れたり、動いてる雰囲気とか。
それでも、4回とも集中できて泣くことができたのは僕は幸いだった。1番好きなバンドは人目をはばからずボロ泣きせずにいられない。今回もまたいいライブだった。
ありがとうヨルシカ。
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