8A系初乗車!!
2024年10月7日にデビューした近鉄の通勤電車「8A系」。特急を除けば、24年ぶりのフルモデルチェンジ、「新型やくも」を手がけ、近鉄沿線出身である「川西康之さん」がデザインを担当するなど話題になった。テレビでも多数取材された他、書店に行くとこの車両のドキュメント本も置いてあった。
近鉄沿線に住んでいる僕は5回ぐらい見てきたが、デビューから数週間経っても乗れる機会がなかった。
そんなある日、バイト帰りに自転車を漕いでいると遠目で8A系を目撃。この瞬間こんなことを考えた。
時刻表と位置情報みたら狙って乗れるかも?!
「近鉄アプリ」にある時刻表と列車のリアルタイム位置情報から8A系が「この時間で戻ってくるんじゃないか」という予想をした。時間に合わせて、駅で待ち伏せてみることにした。
桃山御陵前駅
やってきたのは「桃山御陵前駅」。読みが当たれば次発の急行後ろ4両が「8A系」だと見ている。この駅で待ち伏せる。
京都行き急行がやってきた。前方は「8A系」の相方。この後ろにあいつがいるはず…!
8A系降臨!
その後ろから堂々と現れたのが今日の本命「8A系」だ!これに乗ってまずは京都駅まで乗車する。
話題になった京都の地下鉄
京都市営地下鉄と接続する竹田駅。ここでは新型の地下鉄「20系」とご対面する。2022年デビューで近鉄へも乗り入れる。
8A系同様、20系もフルモデルチェンジが久方ぶり(41年ぶり)であることや京都の伝統工芸を取り入れるなどデザインに凝ってる。2年前にかなりの注目を浴び、グッドデザイン賞、ローレル賞などを受賞した。
やさしば
竹田で席がかなり空いた。これをチャンスに「やさしば」という席に座ってみる。
一部の扉付近にある1人用の座席で、ベビーカーを持ってる親御さんやスーツケースを持った旅行客を想定している。このうち、ベビーカー持ってるファミリーが「やさしば」を使っていた。
車輪ストッパーも付いていて、転がる心配もない。30Lサイズなら余裕かもしれないが、外国人のバカでかいやつもいけるんか?
座席はかなりフカフカ。
これ寝てまいそうや
と思うぐらい。
一応だれでも座れることになっているが、躊躇しやすいのだとか。
京都駅
京都駅に着いた。折り返しまで10分以上でかなり時間がある。これをチャンスに写真を撮っていく。
前面
前面はこんな感じ。八角形という奇抜な形状でカクカクした印象。行き先表示は大型化し、日英2言語を常に表示できる。駅のナンバリングも表示できて、橿原神宮前駅を示す「B42」もしっかりある。
両サイドには「標識灯」が付いている。ヘッドライトとは別に、ライトの点灯パターンで急行なのか普通なのかを判別する。近鉄の「急行」は写真の角度で右だけを光らせる。旧型車は下部にあったが、8A系は上部になった。
連結器
連結器を見るとかなりピカピカ。外面ではわからないが、この連結器だけでさまざまな旧型車両と連結できる。
50年ものの旧型も。
近鉄は旧型新型問わず、連結が自由自在に行われる。他社ではブレーキ装置が違うことを理由に連結できないことが多いが、近鉄では連結器に「ブレーキ読み替え装置」を搭載。新型車であっても、旧型のブレーキやアクセル(マスコン)を連動させることができる。
転落防止幌
先頭車両にはJR西日本と同じ形の転落防止幌。翼を授けたようなJRでは馴染みのフォルム。連結が多い近鉄も安全性向上のためこれが採用された。
近鉄の赤と白
カラーデザインは赤と白。今でも多数派の色で「あ、近鉄」とひと目でわかる。イラストや模型で公表された2年前のデザインから一変。シンプルなデザインになった。
赤いのと前面はそのままに疾走感を表した初期デザイン。しかし、検討を重ねていくうちに従来車に近い今のデザインになったものと思われる。
濃いめの新型
よく見ると従来車両よりも濃い目で白も輝いている。白さは新車の輝きだからなのかもしれないけど。
L/Cシート
座席は「L/Cシート」を採用。この状態(ロングシート)を90°右回転させることで2列座席「クロスシート」にもできる。ラッシュの輸送と長距離需要に応える近鉄通勤電車の名物だ。
四半世紀前に初登場し、奈良線、大阪線、名古屋線などに投入。急行や奈良線から阪神電車への直通ではクロスシートに変形する。関東ではクロスシート状態で追加料金を徴収するが、近鉄では追加料金不要だ。
赤とオレンジ
座席の柄は明るい赤色で花柄、優先席も色違いで統一されている。赤い座席もまた近鉄らしさが光る。
一部の近鉄電車ではモノトーンの座席(優先席はオレンジ)に変化したが、新型では原点回帰している。近鉄らしさを本気で考え直した結果なのだろうか。
大型ディスプレイ
扉上には大型ディスプレイ。多言語対応の路線図や映像広告を流せる。かなりの大きさでビビってしまいそう。
扉開閉ボタン
扉右横には「扉開閉ボタン」。滋賀県北部始め、JRのワンマン電車ではよく見られる。近鉄ではたぶん初めてだろうと思われる。これさえあれば猛暑や厳冬でも快適そう。僕の場合は故郷で慣れているが、京都や奈良ではうまくいけそうなのか?
1233系リニューアル車
今回の相方もこれら新型のデザインを踏襲。8A系デビュー1年前から車内や外装デザインは決定していて、それらが反映された。
このデザインに1年ぐらい出会いまくると、真新しいのになんか落ち着く雰囲気。この状態で新型車両がやってくるとなると何ひとつ抵抗感ない。
新型のええとこを味わい尽くしたら、折り返して乗車。このまま大久保まで乗っていく。夕焼けの車窓がきれいだったが、丹波橋から小学生の群れが乗り込んで撮りづらかった。
大久保駅
そんな惜しさとともに大久保駅に到着。「8A系」に別れを告げる。
そのバックの夕焼けが美しい大久保駅。高台かつ高架の駅で夜になると灯りの絶景や「くみやま夢タワー137※」のライトアップも拝める。
見るだけ、撮るだけでもいいが、やっぱり中も楽しみたくて乗りたくなる。今回もまた鉄道ファンの勘が生きて、念願の初乗車が叶った。
インテリアは「川西イズム」と言える数々。鉄道に興味はない人でもアッと言わせられて、「こんなん欲しかってん!」な新機軸も生で体験してみるとすごい。びっくりしても「近鉄らしい」と思わせ安心できる。そんないいとこ取りのような素敵な電車ができあがった。
現状では本数は3本程度。奈良線、京都線、橿原線、天理線のどこかを走ってる。いつ走ってるのかは非公表で、運次第だ。初日以外はリアルタイム情報が少なくわからない。それだけに、出会えたらいいことあるかも。(知らんけど)