京とれいんに乗って。
インスタグラムを見ていると、フェスのボランティアで知り合ったヨルシカ好きの女の子が阪急の「京とれいん」という電車に乗っているのをストーリーに上げていた。それに触発された僕はちょっと乗りに行くことにした。
台風からの湿り気のせいだろうかこの日は家でも2度ぐらい土砂降りの雷雨に見舞われる「激おこ」のような空模様。四条大橋渡るときにはかなりの雨量になっていた。そんな中をなんとか抜けて駅は入り、改札、ホームへ。
2号線ホームに既に来ていた「京とれいん」こないだ乗った嵐山線のとほぼ同じ“デヴィッド・ボウイゆかりの特急電車”。
扇子のイラストがドデカく描かれていて、車両のデザインも相まって、“阪急の異端児”を際立たせる。
大阪側1、2号車と京都側の5、6号車はクロスシートが並ぶ。以前の状態そのままに柄や内装だけを変えている。また、日除けは鎧戸のままで、淡路や大阪梅田でこの車両を見ていた小学生当時を思い出す。
真ん中の2両(3、4号車)は大きくリノベーションが施され、畳敷きに座布団を乗せたボックスシートになっている。観光列車というだけにここで変化をつけてきたという格好。4人がけ2列と2人がけ1列でかなり広々している。
その他、特急電車に欠かせないWi-Fiが「通常」「会員向け」「訪日向け」の3つを備え、ガイドブックも3カ国対応も置いてある。訪日向けで言えば、自動放送が阪急初採用で日英中韓対応している。「インバウンド全盛期」デビュー故に“ガチな優しさ”ばかり。
そんな通常の列車と大きく異なる観光列車でここまで本気を見せながら、実は乗車券だけで乗れる。京都河原町から大阪梅田までフルに乗っても400円しかかからない。見た目で伝統を重んじる阪急としてはギリッギリまで大胆さを出してきている。さらに全車最低1ヶ所「優先座席」を設置しているのも。
河原町駅に入るときの大雨も地下から出てくると京都市内から西側は晴れ間が広がって、逆に南側が暗雲立ち込めていた。とはいえ、雨を期待していた僕にとっては図らずも晴れ男パワーが出てしまって若干期待外れだった。
さらに速度も先の特急と1分差で追いかけていて、停車駅も烏丸、桂と来て次の駅が、高槻市、茨木市を飛び越えて淡路までノンストップ。という感じで基本的にすぐに追いついてしまうという弱点もあって、なかなか思ったようにはいかない。でも、こういうダイヤ編成が観光列車特有のゆったり旅を演出する仕掛けとも取れるし、キャパが少ないからこの方がちょうどええってのもある。
淡路に止まって、十三で珍現象を目撃した後、大阪梅田に到着。
というわけで、1時間弱の長いようであっちゅう間な旅。なかなかの派手さでやっぱりボックス席はスーツケースを持ったグループ客でごった返していた。とはいえ、この列車に乗れるのもそう長くはない。
阪急電車が来年からの値上げを発表したときに、バリアフリー対策で
を明言。こうなると現役車両や直通する大阪メトロ、山陽電車のとは異なるドア位置である「京とれいん」や嵐山線の6300系は設置の障壁となってしまう。「ハブ空港」と例えられる十三の「通過扱い」や途中駅を3駅のみに絞ったことでギリ生かせられることにはなったが、淡路駅の高架化や設置計画によっては数年で引退というのは考えられる。そもそも、車両が古いというのもあるが。
やっぱり、乗りたい列車は今の内に乗っといた方がいいし、記録もごった返す前がストレスが少なくて良い。どんな列車にも言えるが、それを実感する旅でもあった。