音楽とともに振り返る列車旅(1日目後半)
関西どこでもきっぷ1日目の後半戦は普通列車から特急、珍しい車両まで数を稼いで乗りまくった。
山陰線から播但線
湯の街城崎を後にして、ここからは兵庫県の真ん中下にある福崎町へ向かうために普通列車が4コンボ。
初めは浜坂方面からの豊岡行きのキハ47の普通列車。富山でも乗った同じ車両で山陰から但馬エリアではお馴染みの顔だ。車窓左手に円山川や玄武岩が形作った美しい大自然を眺めて、のんびりしていると、わずか10分ほどで終着。
豊岡からは福知山行きで和田山を目指す。行きで乗ったのと同じ抹茶色の113系電車だが、窓枠やドアが新しいものに交換されたリニューアル車。湖西線などのは座席が新快速と同じものに交換されていたりするが、こちらはボックスのまんまだ。新しそうでちょっとノスタルジーを感じる。そして、モーターや英語放送も。
和田山からは播但線に乗り換え。乗るのはキハ40(写真右)。先程のと顔が同じだが、1両編成で片開きドアとなっているのが異なる。
「天空の城」の麓、鉱山の面影など多種多様な風景を駆け抜ける。急峻な生野の峠越えは今にも止まりそうなぐらいゆっくりで、「必死のパッチで登っていく」という表現がぴったりハマるシーンだ。
和田山から1時間で寺前に到着。ここから乗り換えるのはえんじ色が鮮やかな103系電車。かつて首都圏各地や大阪環状線などを走った「通勤電車のベストセラー」。数は大幅に減らしたものの、加古川線や神戸の和田岬線など兵庫県南部ではあちらこちらにいる。ちなみに僕のご近所である奈良線でも本来の姿に限りなく近いウグイス色の103系がギリギリ生き残っていて、個人的には毎度お馴染みだ。
播但線のものは2両編成でワンマン仕様。ドアボタンも後付けされ、窓枠やドアも取り替えで新しくなっている。
ディーゼルとは違って加速が良く、平坦な播磨路をガタガタ言わしながら、高速で駆け抜ける。このときは4両に増強されていたのだが、甘地駅に着いたときこうなった理由が分かった。たくさんの高校生が一挙に乗り込んで「ティーンの帰宅ラッシュ」。これは2両ワンマンだと1箇所だけで乗り降りしにくいし、容量もキャパオーバーの恐れ。4両編成がちょうどいい。
そんな電車で揺られて福崎で途中下車。名物の妖怪が出現する水槽でびっくりした後、今度は
特急はまかぜで姫路へ向かう。カニシーズンだからか普段3両であるはまかぜは6両に増強されていた。全車座席指定で柔軟に対応できているから比較的キャパが埋まっていたし、城崎から香美町、新温泉町などの兵庫但馬のカニの名産地に向かうときや播但線のそれぞれ唯一の速達列車だからってこともある。短い間だったが、快適な20分弱だった。
但馬から播磨の燃える色に染まった山々と暖かな陽だまり、スローなペースで音楽も映える。前回のどこでもきっぷは特急と新幹線が中心だったからこれだけ普通列車を満喫できたのはよかった。普通列車と音楽の旅ええもんだ。
新快速Aシート
姫路に着いて、バタバタでモノレールを見学し、その面影を探しに廃線跡沿いを散歩した後は新快速で大阪へ。そんな今回はこのレア車両に乗車する。
有料座席『Aシート』。座席定員制の自由席で空席に座って巡回する車掌さんに現金かカード式の交通系ICで500円を支払う方式で快適に移動できる。ただ、早いもん勝ちというのが難点で指定で乗りたいニーズに応えて運転台側の3分の1程が期間限定で指定席になり何度も延長したことでほぼレギュラー化している。その指定席をきっぷの効果で予約して乗ることにした。
普通車と区別するためにブルーとブラックのカラーリングでロゴマーク付き、灯りも濃い目の暖色。座席は他のJR特急の普通車と同じものでリクライニング付き。コンセントも全ての座席にある。さらに荷物置き場やWi-Fiもあるなどハイグレード。ただ、改造車両故に窓が合わない箇所があり、ドアの跡地の座席は景色が楽しめない。この点は京阪の「プレミアムカー」でも最初こんなんだったし、1から作るよりは改造の方が安く済むからこれを妥協できる人にはいいでしょうし、立ちっぱよりはマシだ。
そんな「Aシート」を始めたは良いが、京阪ほど好調な雰囲気はなく野洲(滋賀)と姫路あるいは網干(兵庫県姫路市網干区)を結ぶ2往復の便に限定されている。(ダイヤ乱れの際は他の路線で500円取らずに営業されることもある。)確かにクオリティは良いが、システム面や車両やりくりの煩雑さがネックかも。とはいえ、2年も現状維持出来ているだけでも、ニーズはつかめているかも。「スーパーはくと」「はまかぜ」なども通勤需要を取り込んで神戸線の停車駅を増やしたし、「らくラクはりま」(姫路〜新大阪)は全席指定で大久保駅※にも止まるようになったから、播磨から阪神エリア間の通勤における相乗効果は絶大だと感じる。
※兵庫県明石市にある全国何ヵ所かある大久保駅の内の1つ。市の子育て施策や都市開発の加速など、普通列車しか停まらない駅ながら多くの利用客で賑わい、朝には神戸方面の始発列車も設定されている。新快速は速達重視なのか停車しない一方で、特急は通勤需要の取り込みで先のように停車するようになった。
新快速ということでスピード感ある選曲。快適さも相まってワンランク上の楽しさ。夜の大阪湾を眺めながらで、いい景色といい音楽を楽しめた。
関空快速+紀州路快速
大阪からゆめ咲線直通電車でちょいと寄り道的に乗った後、西九条から関空快速+紀州路快速に乗り込んで今宵の宿がある熊取へ向かう。
夜のラッシュアワーということもあって、堺市、鳳までは多数の通勤客でごった返すし、西九条からはユニバ帰りもけっこういた。
阪和線内は鶴ヶ丘、上野芝で普通電車を追い抜かし、和泉府中、東岸和田、熊取では普通電車に連絡するなどこれでもかと本数が多い。元から大手私鉄並みの高頻度、多種別運転が特徴的な路線でなかなかJRらしくない路線で、神戸線や京都線などのように複々線、つまり片側2車線になっていない。複線でそこまでやって、捌いているのは流石としか言いようがない。
すぐ先の普通電車に追いついてしまうことも多かったが、熊取に着く終盤はそれなりに飛ばし、選曲した『Highway Cabriolet』は気持ちよかった。
そんな感じで1日目の列車旅がフィニッシュ。2日目は和歌山へ向かうことになるのだが、それは次回以降。今日はここまで。