遅れ理由3点セット
ある日にフラっと列車に乗っていたら、各々3つの理由で遅延が発生。詳しくないと「なんでこうなんねん!」と思うところだが、個人的にはまたも裏側を知る良いきっかけとなった。
車内非常ボタン取り扱い
大阪から新快速に乗って、音楽を聴いていると、不自然なタイミングでかなり強いブレーキが掛かった。察した僕は再生を止めて、イヤホンをぶち抜いて、放送に耳を傾けた。
「急停車します。ご注意下さい」というアナウンスの後、強い衝撃とともに、淀川の鉄橋上に停車して車掌が放送。
ただ今、車内の非常ボタンが取り扱われましたため、確認しております。
とのこと、心配で個人的に前後キョロキョロ見つつ待ってたら、確認が終わり、運転再開。そして放送で明かされたその理由は。
体調の優れないお客様がいらっしゃいましたため、次の新大阪駅で救護を行います。
とのことで、新大阪駅で数分間、急病の方を救護。「新快速列車車掌、救護完了です」という合図で4分ほど遅れて発車した。
大事件ではなくてホッとした上、「大寒」後の強い寒さだから自分の体を労わらないと、とも思った。ちなみにこの直前、「ウコンの力」で電車で酔った体を労った。
車両の確認
奈良線に乗り換えた京都駅。発車直前になって、車掌が口にした「お知らせとお詫び」というワードと落ち着かない様子の運転士。
車両の確認のため、発車を見合わせます。
とのこと。運転士は「業務用ガラケー」で「運転指令(?)」と会話しながら、iPadも開いていた。その後、行ったり来たりした後、放送で「パンタグラフの異常」の解消が知らされて、運転士がブザーで車掌に合図し、結果報告。何事もなかったように列車は遅れて発車した。
放送でよく耳にする理由の一つだが、現場を見たことが人生でほぼ初めて。「車両点検」など会社により、表現がばらつくが「こういうときだいたいこんな風にしてんねや」と気づいた。
黄→赤信号、そして鳴るアレ
パンタグラフを確認し、列車が走行していると、ふと先の信号機が「黄色く」光ってるのを発見。単線行き違いでこうなることもあるが、複線でこうなってることは「先の列車でなんかあった?」と疑った。停車するや否や「防犯ブザー」を彷彿させる大きな警告音が聴こえてきた。「防護無線」別名「列車を緊急に止める信号」によるブザーだ。言うなれば「近くの列車がSOSを発信」していて、決められた半径内全ての列車を緊急停止、あるいは最寄りの駅に停めるように信号を急変させ、衝突事故などの二次災害を食い止めている。「列車とお客様が接触」「踏切でクルマや人が立ち往生」「線路内人立ち入り」などの考えられる理由は多々あるが、今回は
前を走る列車が踏切の遮断棒が折れているのを発見し、状況を確認しております。
とのこと。琵琶湖線などでこういう事象は駅員のアルバイトで経験済みだが、「防護無線」が飛ぶことはほとんどなかった。おそらく、単線区間が絡むという性格上によるものだとも思え、そうしないと列車との接触が考えられるとなると、うなづける。でも、初めての経験だ。
その後、安全を確かめて、決められた対応と指示が通達され、列車は運転を再開。
当の踏切に差し掛かると列車は長めの警笛を吹き鳴らして警告し、速度を落とししながら通過。遮断棒がそもそもない「第4種踏切」と一緒の対応だ。運転台手元には即席で作ったプリントも置いてある。パンタグラフのときなのかそれともさっき送信されて受け取ったものかどうかは見えなかったが、何かしら列車ダイヤの回復を段取りしているのだろう。そういえば言われた「段取りせなあかんねん」って。そんなこんなで目的駅で下車し帰宅した。
「車内非常ボタン取り扱い」「車両の確認」「踏切の遮断棒が折れたことによる確認」という遅れ理由でよくある「3点セット」を1つの行程で経験してきた。「もー最悪やん!」「○にてぇ」などと詳しくないと運が悪いせいにして文句を垂れ流しているのをSNSで目にするが、こう言ってる人にこそ現場を思い知らせたいと思う。ファンであったり、鉄道の現場を見てきた自分にとってみれば、自然災害やシステムトラブル以外よくあるやつはだいたい不安なく待てるもんだから、こういう思考になりやすかったり逆に裏側を見られることにワクワクする。大都市圏だと容易に迂回を考えたりもできる。もちろん、現場は慌ててるし、放送聞いてたらその勢いでボリュームが上がって「うるさい〜😖音量下げるか、マイク離してぇ〜」と思うことはここに現れていたりする。ホントに大変なもの。お疲れ様です。
そういう裏側を分かって鉄道を使ったら何かあったときの心持ちや見方が変わるのかも。
ストリートミュージシャンの投げ銭のような感覚でお気軽にどうぞ。