外側上顆炎の基礎から ~予後を考える3つのポイント~
肘外側の痛みは「テニス肘」として有名ですが、手をよく使う仕事に従事している方にも多く生じる印象があります。例えば、「良く文字を書く仕事(書記)」「デスクワーク」「解体業」などが多いです。
”痛みが酷くなると顔が洗えない、肘の曲げ伸ばしがつらい、朝は肘を動かせない”など様々な症状が出現します。つまり、外側上顆炎は日常生活に与える影響が大きい疾患と考えられます。
今回の記事では日常生活にも与える影響が大きい、外側上顆炎(テニス肘)の基礎的な内容についてまとめていきたいと思います。
1.外側上顆炎の疫学
外側上顆炎の疫学においては様々な報告がありますが、一般成人、スポーツに従事している方どちらも発症は40~60歳代に多い傾向にあります。
一般的に外側上顆炎は過剰使用が原因と考えられていますが、60代に多く発症することを考えると、組織の退行変性も関与していると考えることもできます。
2.外側上顆炎の病態
外側上顆炎はEnthesopathyと記載されます。Enthesopathyは、腱・靱帯・関節包の骨付着部、滑液包や筋膜、脂肪体なども含める概念とされており、私は外側上顆炎を考えるうえで適切な用語は「Enthesopathy」ではないかと考えています。
基本的な病態として、前腕の伸筋群(短橈側手根伸筋や総指伸筋)の変性に伴う腱線維の微小断裂、部分断裂、付着部の石灰化などの腱病変が中心です。エコーで撮像すると、様々な所見が確認できます!
また、私の経験ですが、伸筋腱に低エコー像が縦走している、明らかな組織変性がわかる場合は難治例になることが多い印象です。理由はよくわかっていませんが、裂離・剪断ストレスによる損傷は筋腱の修復力が追い付かないのかなって思っています。
回外筋の最深部の線維は滑膜ひだが存在し、腕頭関節内の滑膜ヒダの陥頓などの関節内病変が存在する場合もあります。
3.外側上顆炎のリスクファクター
外側上顆炎のリスクファクターとして多くの要因が挙げられています。
なかでも、③上肢の筋骨格系疾患の既往、④労働環境、⑤その他の原因は予後にも関与する情報なので、必ず確認するようにしています。
リスクファクターとしてエビデンスがあるものは上記の5つになります。ですが、私の経験上、短橈側手根伸筋の短縮や回外筋の圧痛、僧帽筋機能低下も外側上顆炎のリスクファクターになりうると考えています。
4.外側上顆炎の症状
外側上顆炎の症状は安静、運動時どちらも出現します。肘関節外側を擦るような痛みの訴え方(パルマーサイン)は外側上顆炎の特徴と考えています。
外側上顆炎の疫学、病態、リスク、症状について記載しました。ここで一度、記事の小まとめをしたいと思います。
外側上顆炎の病態、リスク、症状がわかったところで、どのように評価を進めていくのかを記載していきます。
5.外側上顆炎の評価
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