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MPFLは膝蓋骨の安定性にどの程度寄与するのか? ~内側広筋と中間広筋との繋がりも考える~
膝関節の靭帯といえば
・前-後十字靭帯
・内-外側側副靭帯
・脛骨大腿靭帯
・内-外側膝蓋大腿靭帯
など多くの靭帯があります。前十字靭帯や内-外側側副靱帯は損傷することが多いため、着目されることが多いです。一方、内-外側膝蓋大腿靭帯についてはあまり着目されることがなく、解剖や機能についてもあまり詳しく知らない方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回の記事では「内側膝蓋大腿靭帯(MPFL)の解剖や機能、損傷した際にどんな評価-介入を実施するのか?」について記載していきます!
1.MPFLの解剖と機能
MPFLは大腿骨の内側上顆から膝蓋骨に向かって走行する靱帯になります。システマテックレビューでも、MPFLは内側上顆~膝蓋骨に付着すると記載してあります。(二重線維や扇状に走行しているとも記載してあります)
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MPFLの主な役割として、膝蓋骨内側の主要な静的安定化構造と考えられており、膝蓋骨内側安定化の寄与率は60%と報告されています。そのため、MPFLは膝蓋骨の安定性においてかなり重要な組織であることがわかります。
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また、MPFLは内側広筋斜頭や中間広筋と遠位で連続し、大腿骨と膝蓋骨内側を接続する複合膜を形成しています。そのため、MPFL単独でも膝蓋骨内側の安定性に寄与しますが、内側広筋斜頭や中間広筋と協調して膝蓋骨内側の安定性に寄与すると考えられます。
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ここで少し、膝関節伸展時の中間広筋と内側広筋の筋活動を見ていきます。膝関節伸展時、内側広筋の筋活動が高いと考えている方も多いかもしれません。しかし、実際は中間広筋が膝伸展に最も寄与すると述べられています。
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また、中間広筋は膝関節伸展だけでなく、膝蓋骨を内側に牽引し、膝伸展中の膝蓋骨内側の移動を制動する役割があります。つまり、MPFLは静的な膝蓋骨の安定性に寄与し、中間広筋は動的な膝蓋骨の安定性に寄与します。
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そして、MPFLと中間広筋は連続しているため、膝関節伸展時、中間広筋の収縮はMPFLの張力を高め、より強力に膝蓋骨内側の安定性を高める可能性があります。
また、MPFLと中間広筋は膝関節伸展における膝蓋骨内側の安定性に寄与するだけでなく、膝関節屈曲30°~70°の間で膝蓋骨の外側移動を制動すると報告されています。
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このように、MPFLは中間広筋と連続し、共同して作用するため、膝蓋骨の静的・動的な安定性に寄与しています。
ここまでをまとめると
・MPFLは膝蓋骨の内側安定性に重要な組織
・MPFLは中間広筋や内側広筋と連続する
・MPFLは膝関節伸展-屈曲どちらでも膝蓋骨内側の安定性に寄与する
2.MPFLが損傷する原因
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