Sever病を考える
みなさんこんにちは!理学療法士のYoshiki(@PtGekikara)です。
今回の記事では小児の骨端症であるSever’s Disease(セーバー病)について記載していきたいと思います。
成長期や運動を頻繁に行っているお子さんに
「運動したら踵が痛い」「歩くと踵が痛くなる」
という訴えを聞いたことはありませんか?もしかすると、踵に炎症が起きている痛みかもしれません。
踵にはアキレス腱・足底腱膜が付着しているので、まだ成長して切っていない骨(骨端核)に持続的な牽引力や圧縮力が加わることで、微細な損傷+炎症が生じ、踵の痛みが生じると考えられます。
子供の成長期に踵が痛くなる骨端症をSever病と言われています。Sever’s Disease(以下:セーバー病)といって、あまり聞きなれないかもしれませんが、疫学・症状・原因や治療について考えていきたいと思います!
1.セーバー病の疫学
セーバー病は平均10~12歳の男児に多く(一般に男児では7歳から15歳、女児では5歳から13歳の間に発症)、よく運動をする子供に高い割合で発症します。子供の筋骨格障害の2%~16%の発生率があると報告されています¹⁾。
2.セーバー病の症状
セーバー病の症状として
・運動時、運動後に生じる踵周囲の疼痛
・アキレス腱の圧痛
・踵周囲の疼痛(Squeeze)
・足関節背屈制限
上記の症状が中心となりますが、私が経験した症例は「学校の登下校で痛い」という症例もありました。疼痛は片方または両方の踵に出現する場合があります。
3.セーバー病の原因
踵骨の骨端には成長軟骨が存在し、アキレス腱が付着しています。このアキレス腱が骨端核を牽引しストレスを生じさせることや踵骨と骨端核の摩擦ストレスを生じさせ、炎症が発生し疼痛が生じると考えらています。
ストレスの原因としてはスポーツシーズンの始め(運動量の増大)、身長の急激な増加、不適合な靴などが考えられています。
また、MicheliとIrelandは85人のセーバー病患者の29%がサッカーに関与していると報告して、バスケットボール、ランニングもセーバー病の発症に関与するスポーツであること報告しています。これを考えると陸上で走行距離が長いスポーツに従事していることもセーバー病の1つの要因として考えることが出来ます。
その他に「アキレス腱の硬さ」「体重」「足部の影響」などが原因として挙げられています。
成長とアキレス腱の硬さ
この考え方が一般的に浸透しています。筋肉の発達は骨の発達よりも遅れると考えられており、身長が急激に増大すると、筋肉が成長に追いつかず硬くて柔軟性が低いままとなります。
そして、下腿三頭筋がアキレス腱を介して、踵骨の筋腱付着部骨端核(apophysis)に過大な張力(メカニカルストレス)を生じることが原因として共通の解釈となっています。
私も上記の様に考えていたのですが、症状のある被験者と無症候性の被験者の間で下腿三頭筋のタイトネスを比較した研究は現在見当たらないため、あくまでも可能性の範疇となります。
体重
セーバー病の症例は過体重であると報告されています。過体重になると、歩行や運動時に体を持ちあげる必要があるため、アキレス腱の牽引力が増大します。また、体重が増大することで踵に加わる衝撃力も増大することも考えられます。相反する報告もあるため確立された原因ではありません。
足部の影響
セーバー病の症例の95%が前足部または後足部の回内が生じており、運動力学の変化が指摘されています。また偏平足、ハイアーチ、過回内がセーバー病のリスクと報告されています。
4.セーバー病の評価
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