足関節捻挫を甘く見てはいけない理由 ~慢性化を防ぐためにできること~
足関節捻挫は日常生活やスポーツ関連障害で最も多い疾患です。基本的には足部が過度に内反することにより、受傷することが多いです。約90%で前距腓靭帯(以下:ATFL)が損傷すると報告されています。
また、足関節捻挫はATFL損傷だけではなく、腓骨筋、短趾伸筋、踵腓靭帯、前下脛腓靱帯、二分靱帯などの筋・靱帯損傷なども損傷することがあります。また、腓骨外果や踵骨前方突起の骨折を合併する場合もあります。
足関節捻挫は受傷率が高く、筋肉、靱帯損傷、骨折が伴うことが多いにも関わらず...医療機関を受診する人は少ないのが現状です。
足関節捻挫は軽い外傷と考えられることが多く、医療機関を受診することなく、捻挫受傷後6週間以内に復帰することが多いと報告されています。中には、1週間以内に復帰していると報告しているものもあります。
しかし、足関節捻挫後は早期に復帰できるかもしれませんが、機能回復が伴っていないことも多いです。復帰後、半数以上が疼痛や機能低下を訴え、40%が6ヵ月後も機能障害が残っていると報告しています。
さらに、長期的には74%が1.5~4年後に少なくとも1つの症状(疼痛、腫脹、脱力感、不安定感など)が残存しており、疼痛や腫脹が治まった後も筋力低下、歩行やバランス障害が生じていると報告されています。
足関節捻挫後は短期・長期的な予後を患者に指導し、組織の適切な評価と機能改善を目的とした介入が重要になってきます。今回の記事では、足関節捻挫後に損傷が生じやすいATFLの機能解剖、エコー評価、全身機能評価(下肢筋力、整形外科的検査)について記載していきたいと思います!
1.ATFLの解剖
ATFLは腓骨と距骨を結ぶ靭帯です。ATFLは靭帯として独立しているわけではなく、足関節の前~外側関節包が肥厚したものがATFLです。つまり、ATFL損傷は関節包損傷と解釈することができます。
ATFLは上部線維と下部線維に分けて考えることができ、上部線維は前下脛腓靱帯と下部線維は踵腓靭帯と連続していると報告されています。つまり、ATFL損傷がある場合、踵腓靭帯と前下脛腓靱帯の損傷も考慮する必要があると考えられます。
機能分化については詳しくわかっていませんが、ATFLには4つのバリエーションが存在すると述べられており、線維が1つ、2つ、3つに分かれていると述べられています。今後、研究が進むことで機能について明らかになるかもしれません。
2.ATFLの機能
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