NHK未解決事件「帝銀事件」の感想
年末に録画していたものを観た。今まで観たこのシリーズの中では最低の出来だった。
小説帝銀事件は、昔、読んだような気がするが、松本清張がジャーナリスティックに切り込む切り口は鋭いしおもしろい。しかし、公共放送が、確定判決も出て死刑囚もはるか昔に死んでいる事件を、冤罪ではないかと番組にするなら、もっと確固たる根拠を提示すべきだろう。GHQが731部隊の残党をかばうのに、なぜ帝銀事件の真犯人が出てきてはまずく平沢貞通をスケープゴートに仕立て上げなければならないのか、全く必然性がない。
平沢貞通は、事件後に突如として持ち合わせた大金(帝銀事件で奪われた現金に見合う)の出所を遂に説明できていない。そういう、黒の根拠は多くあるのに、断片的な疑惑的なものをちょこちょこ提示して未解決事件、では、お粗末すぎる。
自分が興味深かったのは、平沢犯人説を否定する生き残りの犠牲者。平沢は死刑執行寸前までいったことがあり、その際、法務大臣が執行に踏み切らなかったのは、その目撃者の存在だったと言われている。番組では、それとおぼしき人物が登場し、興味深かった。
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