落合洋司

広島県生。修道→早大法1987卒。1986司法試験合格。1989検事。東京地検公安部で…

落合洋司

広島県生。修道→早大法1987卒。1986司法試験合格。1989検事。東京地検公安部でオウム真理教事件も捜査。2000退官→弁護士。Yahoo!Japan→独立。お問い合わせ https://www.secure-cloud.jp/sf/1500798200MpKsRuqw/

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広島・河井派選挙違反事件の公判について(雑感)

東京地裁で、河井夫妻の公判が始まった。100名をはるかに超える証人が尋問され、うち40数名は広島にいるままビデオリンク方式で尋問を受ける見込みと報道されている。 最大の争点は、河井夫婦が渡した金の趣旨になるだろう。投票買収、運動買収といった「選挙に関する」ものなのか、そうではなく、政治活動に関するものでしかないのか。検察と被告人、弁護人は平行線状態で最後まで争うだろう。 ただ、私自身は証拠を見ていないものの、入手できた公訴事実(供与先の一覧表も含め)を見ると、昨年7月の参

    • オウム真理教関連事件に直面した頃4

      平成7年から平成8年当時の、公安部に在籍しオウム真理教の事件を担当している頃の私の生活は、次のようなものであった。 深夜まで仕事をして、帰宅するのは午前1時、2時という状態なので、朝は、何とか午前10時前後に出勤し(午前11時前ということもあった)、出勤すると、午前中は、部屋にあるテレビでニュース等を見ながら、配布されてくる資料(供述調書、捜査報告書、取調べメモ等々)に目を通し検討していた。午後は、割り当てられた参考人の取調べを行ったり、取調べがなければ、夜の被疑者取調べのた

      • オウム真理教関連事件に直面した頃3

        オウム真理教の中に、諜報省(国家の機関を真似た組織になっていた)という機関があり、既に最高裁で死刑判決が確定執行された幹部信者が大臣を務めていたが、私が所属していた公安部では、諜報省関係の事件を手がけることが多かった。 起訴され有罪判決が出ているもので言うと、警察の運転免許試験場にデータを求めて侵入する、自衛隊幹部宅を盗聴する、宗教団体幹部宅を見張るために偽名を使って部屋を借りる等々の、それ自体としては凶悪、重大事件とは言えないものの、教団としての狙い、目的といったことが色

        • オウム真理教関連事件に直面した頃2

          私が、平成7年から平成8年当時に取り調べていたオウム真理教の信者はかなりの数にのぼるが、どちらかと言うと教団の中で末端に近いところにいる信者が多かった。それだけに、取調べはかなり困難なものがあった。 オウムの出家信者は、全財産をお布施して教団に入り、もはや教団外に戻るべき場所はない。情報は、教団内でしか得られず(幹部クラスになるとそうでもなくなるが)、教祖(グル)は絶対的な存在であり、無限の帰依(という言葉が使われていた)の対象であって、疑うこと自体許されない、ということを徹

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          オウム真理教関連事件に直面した頃1

          平成7年4月1日に、名古屋地検で、東京地検への異動を命じる辞令を交付され、あわただしく引越をして、東京地検に着任したのは、4月6日か7日ころであったと記憶している。当時、東京地検公安部には副部長が2名いて、そのうちの1人は、その後、福岡地検次席検事として裁判官の妻の刑事事件につき情報を漏洩したというスキャンダルで失脚した人物であった。 東京地検は、オウム真理教に関する捜査で騒然とした状態になっていて、「戦時」と言っても過言ではない状況にあった。当時の捜査体制は、警視庁が、主に

          オウム真理教関連事件に直面した頃1

          NHK未解決事件「帝銀事件」の感想

          https://www.nhk.or.jp/mikaiketsu/?fbclid=IwAR3IJEBhy3Uyh2KPnJR0yRQy5Vd4ouqUzq70yhKSFZ1Qe_O3djYCJTSB-SE 年末に録画していたものを観た。今まで観たこのシリーズの中では最低の出来だった。 小説帝銀事件は、昔、読んだような気がするが、松本清張がジャーナリスティックに切り込む切り口は鋭いしおもしろい。しかし、公共放送が、確定判決も出て死刑囚もはるか昔に死んでいる事件を、冤罪ではない

          NHK未解決事件「帝銀事件」の感想

          すぐ目の前にあるガダルカナル

          旭川の護国神社にはこれまで何度か参拝したが、敷地内にある一木支隊鎮魂碑には、うかつにも詣でたことがなく、今回、出張の機会に初めて参拝した。 NHKスペシャル「ガダルカナル 悲劇の指揮官」で、一木支隊壊滅の真相が日本全国に知らしめられたのは、良かったと思う。従来の戦記物では、ガダルカナル戦の問題が強く指摘される中で、一木支隊は、米軍の大勢力を見誤り無謀な突撃で壊滅した愚かな将兵たちという扱いだった。しかし、実態はそうではなく、米軍の兵力を上が見誤り、漫然と攻撃を指示し、あるはず

          すぐ目の前にあるガダルカナル

          侮辱罪の法定刑引き上げについて

          私は、検事としても弁護士としても、名誉毀損や侮辱の案件をかなり取り扱ったことがありますが、弁護士として被害者側で誹謗中傷案件を刑事で告訴しようとする場合、侮辱については法定刑が拘留または科料と低いため、最初からそこは狙わず、名誉毀損で狙いを定めていくという手法に依っていました。警察側でも、侮辱では法定刑が軽いため、そこだけで告訴を受けるというスタンスが、そもそもなかったと言ってよいでしょう。 しかし、今後は、法定刑が1年以下の懲役または30万円以下の罰金と、懲役刑が付いたため

          侮辱罪の法定刑引き上げについて

          性犯罪処罰規定の改正・1つの試案

          「性犯罪に関する刑事法検討会」 取りまとめ報告書 https://www.moj.go.jp/content/001348762.pdf を通読してみました。私自身、以前は検事、その後は弁護士として、性犯罪は処罰を求める側、弁護する側の双方で相当数に関与していて(その大部分は前者としてですが)、そのような経験も踏まえつつ、読みながら、いろいろと考えさせられるものがありました。 性犯罪処罰規定の問題点として、おそらく、広く共有されているのは、現行の刑法上の処罰規定が、処罰さ

          性犯罪処罰規定の改正・1つの試案

          私の法律学習(司法試験合格まで)その3

          大学2年生の秋になり、昭和59年度の司法試験最終合格者が発表された。所属していた緑法会でも、先輩合格者の話を聞く機会が複数あったが、その中で、比較的短期(受験3回目程度であったと記憶している)に合格した方から、択一試験の勉強方法についてレクチャーを受ける機会があった。その方は、大学3年生の時から連続して択一試験には合格していた、とのことであった。 その勉強方法は、憲法、民法、刑法の3科目について、基本書、過去問問題集、判例付き六法を使い 1  まず1回目として、範囲を決めて基

          私の法律学習(司法試験合格まで)その3

          私の法律学習(司法試験合格まで)その2

          昭和58年の秋になり、10月末から11月初めにかけて、司法試験最終合格者が発表された。早稲田大学法職課程教室では、例年のように、合格者ゼミを行うということで、12月初め頃からであったと記憶しているが、開始された。民法、刑法について、それぞれ10程度のゼミが設けられ、合格者のレクチャーを受けるという方法で進められた。 私は、民法、刑法双方に登録したが、民法は興味を持てず早々に脱落してしまった。ところが、刑法のほうは、講師である合格者(その後、司法修習を経て検事に任官された)の説

          私の法律学習(司法試験合格まで)その2

          北海道新聞記者・建造物侵入事件への感想

          かつて、公安事件華やかなりし頃、建造物侵入罪とか器物損壊罪は、公安事件で頻発していて、当局が左翼、労働組合を「弾圧」するのによく使われていた。 それらに関わる判例の多くは公安事件に関わるもの。それが、今や、公安事件が皆無になって、そういう事件で鋭く、激しく争われることはなくなってきている。 とはいえ、気に入らない相手を引っ掛けるのには、これらの犯罪、特に建造物侵入罪は使いやすい。入ってはいけないところに入った、というわかりやすさで現行犯逮捕もしやすい。 それだけに、取材対象か

          北海道新聞記者・建造物侵入事件への感想

          広島・河井派選挙違反における「被買収」不起訴について

          少しでも政治活動をやってみるとわかりますが、政治活動にはお金がかかるもので、政治資金規正法等の関係法令も、お金がかかることは前提としつつ、その適正を図ることを目的としています。 選挙があってもなくても、政治活動には一定のお金がかかるもので、選挙がある時にはお金を使ってはいけない、お金をやり取りすれば選挙違反になる、ということになれば、政治活動自体ができなくなります。適法な政治活動費と違法な選挙違反の金の線引は、特に選挙がある際には難しくなりがちでしょう。 検察は、選挙違反

          広島・河井派選挙違反における「被買収」不起訴について

          映画「生きろ 島田叡-戦中最後の沖縄県知事」

          最後の官選沖縄県知事島田叡のドキュメンタリー。島田氏についてはその生涯を紹介する本が複数出ていて、自分も何冊か読んだことがある。本映画では、それらを参考にしつつ、関係者のインタビューもうまく織り込んで、わかりやすい作品に仕上げていた。 特に、大田元知事が、島田氏に対する、軍と一体化して県民を犠牲にしたという批判について、当時の軍部の絶対性や行政の限界を指摘し、当時の実情に照らすと、軍と一体化して県民を犠牲にしたという批判は当たらないし、島田氏は置かれた中でよくやったと評価して

          映画「生きろ 島田叡-戦中最後の沖縄県知事」

          元農水相に係る贈収賄事件について

          元農水相に係る贈収賄事件について、東京地検特捜部が捜査を進めていると報じられ、報道によると、元農水相が受け取った金は総額1000万円を超えているようであるが、贈収賄容疑がかけられているのは、そのうちの500万円のようである。全額が賄賂ではないのかと、疑問を感じている人も少なくないだろう。 こういう、日常的に繰り返し金が渡っているパターンでは、個々の現金供与と賄賂の趣旨が曖昧になりがちである。賄賂ではなく「政治献金」という弁解の排斥が難しくなりやすい。リクルート事件で藤波元官

          元農水相に係る贈収賄事件について

          政治と検察

          昔、まだ検察庁にいた頃、ある地検で、政治家が捜査対象になる事件の捜査陣に加わっていたことがあった。主任検事の部屋にいると、法務省の幹部から主任検事に電話がかかってきて、図らずもそばにいることになってしまった。電話で答えていた主任検事の顔が次第に歪んだものになり、曖昧なことを言って電話を切った。どうしたんですかと聞くと、近く○○党の大会があるから、そこは外して捜査日程を組んでくれと言われた、ということだった。主任検事が、その幹部の名前を繰り返し言いながら、あの人が、こういうこと

          政治と検察