
甲陽学院中受験者の併願校候補一覧【4日目】
近年の関西中学受験は日程前倒しが大きな流れになっており、この10年の間に4日目以降に入試を行う学校はかなり少なくなってきました。今回は関西統一入試日から4日目以降で甲陽学院中受験者が併願校に組み込むことの多い学校をご紹介していきます。
0-1.甲陽学院中受験者にとっての「4日目以降」とは
統一入試日を含む最初の2日間が甲陽学院中の入試日となります。翌3日目の夕方4時~5時に甲陽学院中の合格発表があり、そして4日目を迎えることになります。3日目の夕方に甲陽学院中の合否を目の当たりにし、そして不合格だった場合は子どものショックも大きいと思いますが、そのわずか「半日後」には、翌朝4日目の試験に向かうべく起床、となるわけです。
甲陽学院中受験者にとっての「4日目以降」。それは、甲陽学院中を不合格になった、という現実を受け止めながら(または受けとめきれないまま)、また別の中学校の試験に向かうという、精神的には非常にハードな受験となります。「不合格」というのは、特に12歳の男の子にとっては、「自分自身を否定された」と受け止めてしまいがちです。普段の実力を出せば合格するであろう学校も、本当に自信を持って受験を続けることが難しくなります。
0-2.親にとっての「4日目以降」
そうであればこそ、4日目以降の併願校というのは、各塾の偏差値表に踊らされることなく、慎重には慎重を重ねて検討していく必要があります。子どもは甲陽学院中合格のために頑張っていますから、その他の学校について眼中にありません。この学校はどう?あの学校はどう?と子どもに聞いても、あまり参考になる答えが返ってくることはないと思っておいてください。特に4日目以降の併願校は、親が慎重に選ぶしかないのです。その慎重な検討の中で、どういう学校がなぜ選ばれているのかについて、少しでも参考になる情報を提供できればと思います。
ここは親にとっても正念場です。我が子を信じ、「大丈夫!がんばっておいで!」と心から試験会場に送り出してあげることができるかどうか。これはその場でいくら取り繕っても、子どもは親の本心はまず見抜いてしまうと思ってください。つまり、入試に向かうまでのもうすでに今の段階から、我が子との信頼関係をしっかり築いていけるかどうか、「入試は始まっている」のです。
1.六甲学院中学校
最寄り駅は阪急六甲駅です。設立80年をこえる男子の伝統校です。4年前に学校名が「六甲中学校」から「六甲学院中学校」に変更されました。阪神エリアでは「六中(ろくちゅう)」という通称で親しまれています。中間体操やトイレ掃除が目立ってしまう印象があり、子どもにとってはそこが好き嫌いが分かれるところでもあります。親として六甲学院中が気に入った場合は、子どもどう紹介するかで受験してくれるかしてくれないかが決まってきてしまうので注意してください。(駅から学校までの心臓破りの坂も、親は耐えられませんが子どもなら大丈夫です)
入試は2回、A日程(甲陽第一日と重なります)とB日程があり、このうちB日程を甲陽学院中受験生は受験することができます。平均的な甲陽学院中受験生にとっては、合格できる可能性は高いですが、おさえ校ほど確実というわけではありません。「甲陽⇒六甲B」だけ、という受験パターンを組むご家庭もありますが、そもそも甲陽学院中の合格可能性が十分高い場合以外は、避けた方がよいです。
2.白陵中学校
最寄り駅はJR曽根駅です。平坦な道を学校まで15分ほど歩きます。こちらも間もなく設立60年を迎える学校です。阪神間ではまだ後発と言われてきた設立当初から、指導面では特に東大を目指す進路指導方針でビシビシやってきた面倒見のよい共学校です。大学合格実績はすでに十分認知されており、神戸より西になってくると、灘や甲陽学院に合格する学力がある子でも、白陵を目指す子が多くなってくるほどです。
入試は2回、前期日程(甲陽第一日と重なっています)と後期日程があり、このうち後期日程を甲陽学院中受験生は受験することができます。2019年度入試まではこの後期日程は「5日目」に実施されていたため、4日目に六甲学院B日程、そして5日目に白陵後期日程、というような併願パターンを組むことができましたが、2020年度入試では「4日目」に前倒しとなり、六甲か白陵か、という選択をすることとなりました。
六甲学院中と入試日程が重なることで、上位の受験生が分散されるか、という予測もありましたが、結果としては白陵については変わらず厳しい後期日程の入試であった、と言えると思います。灘中が残念だった受験生、甲陽学院中が残念だった受験生、白陵中前期日程が残念だった受験生の主戦場となりますが、甲陽学院中受験者にとっては、いかに灘中を受験した生徒と戦えるだけの学力をつけてこの白陵中後期日程を受験するか、というのが合否のポイントです。平均的な甲陽学院中受験生では残念ながら可能性がやや薄い、ということになりますので、白陵中が志望順位の上位に来ない限り、他の中学校を選択肢に入れていくのが現実的、ということになると思います。
3.清風中学校
【3日目】の記事でもご紹介した清風中学校ですが、全4回入試があるうち、この4日目に実施する「プレミアム最終選抜」が、まさに最終回ということになります。おさえの位置づけが強くなりますが、しかし面倒見については定評があるため、この4日目で受験日程に組み込むご家庭も少なくありません。大阪の学校ではありますが、大阪エリアの最上位生は統一入試日の午後に設定されている回であらかた受験しているので、競合する受験生も厳しくないことから、併願校に選ばれています。
ただし注意点としては、この日程は「プレミアム理Ⅲコース」と「理Ⅲコース」の合格しか出さない、ということです。最初に触れたように、「4日目」というのは気力充実した受験、というわけにはいかないため、実力を発揮しきれないこともあります。「3日目」の受験であれば、「理Ⅲコース」のさらに下位にあたる「理Ⅱコース」への回し合格がありますが、この「4日目」はそこまでの回し合格はありません。「理Ⅲコース」でも十分おさえになると思いますが、甲陽学院中をチャレンジで受験するような場合は、「4日目」ではなく「3日目」に受験することを強くおすすめします。
その他の3日目の併願校についての記事は、以下をご参照ください。
4.大阪桐蔭中学校
こちらも【3日目】の記事でもご紹介した大阪桐蔭中学校ですが、この4日目に実施する「L特別入試」が最終回です。国語と算数の2科目入試です。上位クラスの「英数選抜コース」から「英数コース」への回し合格がある点も変わりありません。
この「4日目」の日程で受験するメリットは、L特別入試は「午後入試」である点です。午前中は六甲学院や白陵など他の学校(おそらく志望順位が高い学校)を受験し、その後大阪桐蔭の受験にのぞむことができる、しかも平均的な甲陽学院中受験生であれば、合格の可能性も十分、ということで、併願校に組み込む可能性が高い日程です。
5.神戸大附属中等教育学校
国立大附属の共学校で、最寄り駅は阪急御影駅です。国立なので授業料が安いことから、予備校に通わせる前提で併願校に組み込むケースもあります。国立ということで、男女の人数は均等になるように歩留まりを読むことになるのですが、特に附属小学校からの女子の内進生が多いことから、女子については例年非常に厳しい入試となります。神戸女学院中に合格していても、神戸大附属は不合格、というケースもままあります。男子はそこまでではありませんが、近年は灘中受験者の併願先として認知されてきたことから、甲陽学院中受験者レベルでも年々厳しい入試となってきています。
ただ、甲陽学院中に行きたい、という子は理系科目が好き、という子が多いのですが、この神戸大附属中等教育学校はスーパーグローバルハイスクールにしていされていることからもわかるように、(あえて言えば)英語や文系志向ということもあり、選択肢にはあまり入ってくることはあまりないようです。選択肢には入ってこないのですが、それでも一定数の併願はありますので、ここでも挙げさせていただきました。
入試問題傾向も甲陽学院中はじめその他の併願候補校とはだいぶ異なるということもあり、少し対策しただけでは合格可能性を上げることが難しい学校です。よほど学校を気に入って、志望順位が甲陽の次、というくらいになるのでなければ、合格可能性を高めることが難しいことからも、まず他の学校を併願することを検討したいところです。
4日目については大きくは以上となります。あと5日目以降でもう一記事書くと、併願校候補の記事もひと段落となります。お読みいただきましてありがとうございました。ご質問やこういうテーマで書いてほしい、というご相談ごとがございましたら、コメントでお知らせください。