【中学受験】学習方法の考え方・6年春期編

最難関中を目指すにあたり、6年春休み(春期講習)中の学習において注意すべき点、意識しておきたい点をまとめました。2~7月の前期の中で、春休みが持つ意味は非常に大きなものがあります。間違えないように、春休みに突入したいところです。

1.入試までの1年間を5段階に区切ると

①前期…立ち上がり期
②春期…立て直し期
③夏期…成長期
④後期…成熟期
⑤冬期・入試直前期

大きくは5つに分けられると思います。そのそれぞれにおいて、6年生(受験生)の学習スケジュールの立て方は異なってくると思います。②が今回の内容です。以下、この春期における学習方法の要点をまとめたいと思います。③~⑤についてはまたそれぞれの時期に書きたいと思います。

①の「6年前期編」をお読みでない場合は、春休みも前期の一部ですので、ぜひ下のリンクからお読みください。

2.2月・3月の消化不良を取り返したい

おそらく6年生のカリキュラムが始まった2月・3月は、子ども自身も気持ちが高まっているので、「しっかりやるぞ」という思いでスタートしたと思います。しかし半面、5年時よりも6年で扱う問題の量ははるかに多くなり、これをすべて消化しきれないままにこの2か月を過ごしてきた人が多いのではないでしょうか。

春休み期間というのは、6年カリキュラムが始まって初めてやってくる「まとまった自由時間」というイメージを持つ人も多く、復習(=同じ問題の解き直し)に時間をかけたくなる気持ちはわかります。ただ、①の「6年前期編」でも書いたように、子どもは同じ問題を単純に解き直すのはとても嫌がります。単なる作業はさせない方がよいと、私も思います。見た目は新しい問題をやらせながら、2月・3月の消化不良をうまく解消していくことを目標に、今回は書いてみたいと思います。

3.次の「まとまった自由時間」はいつか~スケジュールを逆算する

次のまとめて取れる自由時間は5月の「ゴールデンウィーク」です。春休みが終わり、小学校でもいよいよ6年生として扱われるようになり、新しい生活が始まってちょうど1か月のところで、まとまった自由時間がとれる、ということになります。

塾で2月から新しいカリキュラムが始まり、5年時とは異なる動きを強いられるのと同様、4月も今度は小学校で新しい時間割、スケジュールの中で動くことになりますから、この時点でも1週間のスケジュール、1日のスケジュールの微修正が必要になります。

4月の1か月で大事なことは、2月・3月でうまくできなかったことを春休みの間に修正をかけ、それが4月にしっかり軌道に乗せることができるかどうか、という点にあります。その微修正がうまくいかなくても、まあゴールデンウィークのところで再修正がきく、というくらいに考えて進めていけばよいでしょう。5年時に歩んできた学習スケジュールが国道だとしたら、いよいよ6年生は高速道路、といったところでしょうか。高速道路への合流は本当にスムーズに入らないと、事故につながりかねませんね。

4.春休み、春期講習の獲得目標とは

①親が塾に丸投げではダメ

塾の講習というのは、やれ金儲けのためで無駄なものだ、それまでにやったことの復習だから自宅でできる、という意見もあります。そういうスタンスの塾もあるかもしれませんが、せっかくやっているものを上手に活用する、という観点からいくと、あながち無駄にはならない教材構成の塾もあります。大事なことは、単に塾で長時間預かってくれるからすべてお任せ、とするのではなく、その講習にはどのような意味があって、我が子にとってそれはどうプラスに作用するのか、を親の側が見極め、計画を立て、講習の授業を受けさせる必要があります。

②生活リズムのペースメーカーとしての「塾の講習」

ただ、では親がすべて学習内容から何からすべてを管理しろ、ということではありません。しっかり意義を見極めて、意味があるなと思ったらそれをお子様に伝え、「あなたはこういうことで春期講習を受ける」という目的を明確にしてあげてください。やるのは子ども本人です。

6年になると、塾の講習はほぼ毎日あると思います。春休みは小学校がない分、塾の講習が日々の生活リズム、ひいては学習の良いペースメーカーとなります。学習習慣づけのために非常に大事なことは、毎日決まった時間に決まったことをやる、ということです。例えば計算練習を、ある日は朝やり、また別の日には学校帰りにやり、というのではなく、毎日「寝る前」というように固定して実施する、という姿勢が必要です。2月・3月に日々の学習が回らなかったという人も、いつも同じ時間帯に同じことができていたか、という点をしっかり振り返ってみてください。

③単なる復習をしても子どもはつまらない

2月・3月と同じ問題というよりは、「テーマは同じだが、その問題を解くには2月・3月に学習した内容がしっかり身についていないと解けない」というような問題に当たることができると、子どもも飽きることなく取り組むことができ、理想的です。こういう問題を親自身で用意できない場合は、通っている塾の講習教材を確認してください。これが上記のような理想的な問題を多く演習するようであれば、普通に春期講習に通わせたらよいと思いますし、そうではなく単なる反復になってしまっているようであれば、子どもと相談して、自分でできるようなら講習は受講しない、自分でできないようなら講習は受講する、というように判断すればよいと思います。(親としては自分でやってくれた方が経済的には助かると思いますが…自分でできないようであれば強制力を働かせてでもやるしかありません)

④ペースをつかみ、自信を持って4月の春休み明けを迎えることが重要

春休みの獲得目標は、「一度失ってしまった自信を取りもどすこと」にあります。2月・3月は怒涛のような6年生の学習スケジュールをこなし、どうなることかと思ったけれど、春休みで一定のペースで2週間ほど過ごすことで、体制を整え、安定して4月を迎えることができた・・・そんな状態をつくりたいところです。自信をもって4月を迎え、さあやるぞ!という気持ちで1か月やりきったところでGWのお休みにまた入ることで、「まだまだやれるぞ」という自信にもつながっていきます。

GWを終えたところから夏休みまでの2か月間は、休日などもなくほぼ同じペースで過ごすことになります。ここでまた学習スケジュールがつまづくようだと、残念ながら最難関中を目指すための夏休みの飛躍は望み薄、という状態に陥っていきます。

ただ、注意していただきたいのは、親から見て、完璧な状態で4月を迎える必要はないということです。大事なことは、子どもが「よし、やれる!」と思える状態で4月を迎えることです。そういう思いで取り組めれば、いま直面している課題、今後直面することになる課題、弱点分野の克服、そういったことにもしっかり向き合っていくことができます。自信を持てない状態で4月(もしくはGW明けの5月)に入ってしまうと、それどころではなくなっていきます。ただでさえ反抗期が入ってくる6年生のこれからの時期(場合によってはもう親の手ではコントロールしきれない、という時期に入ってきていると思いますが)、いかに本人にやらせるか、やらなければならないと納得させるかが重要です。

⑤最難関中受験生としてのメンタルを整えていく

最難関中受験、それは子どもにとっては正直、過負荷との闘いであるという一面があります。しんどい思いを小学生のうちからさせて遊ぶ時間もなくなってかわいそう――世間からはそう見る向きもあります。しかし、最難関中受験で子どもが体験しているのは、単なる「苦行」ではありません。何事も上手くできない自分、他人と比較して優劣等意識を持ってしまいそうになる自分、苦しくて負けそうになる自分。どれも同じ自分であり、1人の人間なのだけれども、その自分という人間としっかり向き合うこと。これが最難関中受験で得られる大きな収穫の1つだと思っています。自分としっかり向き合えるようになるからこそ、他人の思い・立場も少しは理解できる人間に成長していく。自分自身の限界を見る中で、人間の弱さを知り、それを受け止めていく器を作ること。これが最難関中受験生を見てきて強く感じる、最難関中受験の意義の1つであると感じています。

目指す学校が難しければ難しいほど、我が子には難しいのではないか、小学生の間から不合格という挫折を味わわせたくない、というのも、親心の1つではあります。ただ、大人から見て我が子が失敗しないように、失敗しないように、と手を差し伸べるばかりでなく、子ども自身の足で力強く歩む、その手助けをぜひしていただけたら、子どもは思っている以上の成長を見せてくれるものです。

今回はこれで以上です。記事をお読みいただきましてありがとうございました。何かご質問がございましたらコメントでお知らせください。

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