甲陽学院中受験者の併願校候補一覧【5日目以降】

甲陽受験者の併願校候補を記事にする最終回です。近年の関西中学受験は日程前倒しが大きな流れになっており、この10年の間に4日目以降に入試を行う学校はかなり少なくなってきました。5日目以降は特に限られた学校のみになりますが、ご紹介していきます。

1.滝川第二中学校【5日目午後】

神戸市西区の共学校です。A日程、B日程、C日程と3回の入試があり、この5日目午後が「C日程」で最終回となります。

高校野球のイメージがありますが、中学入学組、特に最上位クラスのプログレッシブ特進コースは勉強面で力を入れており、特に甲陽受験生の中でも神戸より西に住んでいる場合は選択肢になり得ます。下位クラスとして「特進コース」がありますので、回し合格がありますから、平均的な甲陽学院中受験生としてはほぼ確実に進学先を確保することができます。

昨年度までは、白陵中後期日程を午前から受験し、その足で滝川第二中の午後入試にかけこむ、ということも選択肢として可能でしたが、今年は白陵中が1日前倒しとなりましたので、午前中はまず気持ちを落ち着けて、午後の入試にのぞむ、ということが可能になりました。

前日の白陵中後期日程を受験していた場合は、合格発表がこの5日目の12:30からですので、結果を見て、滝川第二中のC日程入試を受験するかどうかを決めることも可能です。ただ、白陵中の合否が仮に残念な結果だったとすると、その後の滝川第二中の入試に正常な精神状態でのぞむことが難しくなる可能性が極めて高いです。4日目白陵中⇒5日目滝川第二中、という流れで併願を組む場合は、あらかじめ「白陵中の結果は滝川第二中の入試が終わった後で伝えるからね」と子どもには約束しておくことが無難です。

2.洛星中学校【6日目】

個人的にはぜひおすすめしたい学校の1つです。京都・北野白梅町の近くに位置する男子校です。最寄り駅はJR嵯峨野線の円町駅で、そこから徒歩15分です。甲陽学院中受験生の大半は阪神間にお住まいという方が多いと思いますが、そのエリアから京都まで、というのは正直遠いと感じられると思います。

遠いにも関わらず選択肢として毎年組み込むご家庭が出てきます。中1、2段階で課題が多く出される、自由を尊重する校風、受験する大学を誘導しない等、甲陽学院中と指導方針が似ている部分があるということが大きいと思います。これ以外にも遠さを上回る「洛星に行かせる価値」を説明会などで感じられた場合は、ぜひ受験校に組み込むとよいと思います。遠さが気にならなければ、個人的にはぜひおすすめしたい学校です(阪神間からいずれ京都大学に進学するという前提で考えると、距離はさほど変わりませんし、何より実際に学校に行くのは子ども本人であり、親ではない、と割り切ってしまうのも1つです)。下に紹介記事を2つほど載せておきますので、ご参考になさってください。

前期日程と後期日程の2回の機会のうち、後者が「6日目」に設定されています。洛南高附属中同様、第一志望として出願する「専願」と、第二志望以下として出願する「併願」の2種類の出願方法があります。ただし、洛南高附属中とは違って、試験後に併願から専願に変更はできません。

注意すべきなのは、4日目神戸大附属中⇒6日目洛星中、というかたちで受験している場合です。洛星中後期日程入試の6日目の時点では、まだ神戸大附属中の入試結果は出ていません(洛星中後期日程受験の翌日、7日目です)。そして洛星中後期日程の合否はさらにその翌日、8日目に出てきますので、神戸大附属中と洛星中、どちらが志望順位が上かというのは、神戸大附属中の出願が始まる12月頭には家族会議で確定させておかなければなりません。阪神間から受験する場合は、やはり「距離」が大きな決定要素になると思いますので、よく話し合って決めていってください。

3.大阪教育大学附属池田中学校【8日目】

国立の中学校(以下「池附」)で、住所による受験制限があります。関西統一入試日からちょうど1週間後、8日目から試験が始まります。試験は2回、「第1次選考」と、第1次選考に合格した受験生を対象に行われる「第2次選考」を経て合格者が決まります。

「第1次選考」は国語と算数の2科目、「第2次選考」は理科か社会のうち1科目と、実技(音楽、図工、体育、家庭)のうち1科目の計2科目の試験があります。入試問題は、甲陽学院中受験準備をしてきた受験生にとっては、非常に平易な問題が並びます。平易なだけに、高得点勝負になるということを意識して受験準備をしてください。これは甲陽学院とは合格への点の取り方などがだいぶ変わりますから、問題が簡単だからと侮らず、きちんと取ることを強く意識してください。

池附の試験日程は、
「第1次選考」試験(8日目)⇒合格発表(10日目)
「第2次選考」試験(11日目)⇒合格発表(13日目)
というように、池附の合否が出るまで、甲陽学院中の入試が始まってから実に2週間がたつことになります。担当先生方のフォローが適切になされていれば、この頃には子どもももう落ち着いているのですが、そうは言ってもこれだけ長い期間を走り切るのは、子どもにとっては相当精神的にきついことでもあります。

他の記事でも書きましたが、「不合格」というのは、12歳の子どもにとってはとてもショッキングな体験です。自分自身を、そして歩んできた一生を、否定されたような気持ちになるからです。そんな中を、2週間もの間がんばりぬくだけでも本当にたいしたものなのです。長期戦をやりぬく我が子に成長を感じ、そしてそれだけの頑張りができる息子を育てた親である父・母ご自身ともに、施してきた子育てが間違っていなかったことを、ぜひ感じていただけたらと思います。

4.終わりに~併願校を絞り込むスケジュール

練習受験から記してきた、甲陽学院中を受験する場合の併願校候補は以上でおおよそ挙げきりました。可能であれば、これらの記事で取り上げた学校群については、校風、我が子に合うかどうか、距離、学費といった面で、ご家庭の教育方針に沿っているか沿っていないかはしっかり判別しておいていただくと、夏を過ぎてからの志望校の絞り込みが非常に容易になると思います。

併願校の絞り込みは、早すぎても遅すぎてもダメです。早すぎるとその固定概念のまま他の選択肢を柔軟にチョイスできなくなってしまいますし、遅すぎると本当にその併願でよいのか、自信を持つことができないまま受験が始まってしまう、ということがあるためです。前期のうちは、我が子の成績は関係なく、上から下まで視野に入れてください。特に「おさえ校」はしっかり見て、これは併願校に組み込むもの、というくらいの認識を持っておいてください。そして夏期のうちに選定に入り、後期が始まる頃には絞り込みの作業にとりかかれる、というペースが理想的かと思います。

2021年度入試に向けては、また日程変更が判明次第修正したいと思います。もし日程が変わる、という情報をいち早く入手される方がいらっしゃいましたら、お知らせいただけましたら幸いです。2021年度向けの併願戦略について、またあらためて記事にしてお読みいただけるようにしたいと思います。

今回もお読みいただきましてありがとうございました。ご質問やこういうテーマで書いてほしい、というご相談ごとがございましたら、コメントでお知らせください。

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