記事まとめ ~ オープンバンキング
出典
<https://news.yahoo.co.jp/articles/46507842b7d9349bf8cf52677822d1372dea42c6>
要点まとめ
・2013年ごろから、日本でも、クラウド会計ソフトや家計簿アプリが登場した。 これらは、銀行のシステムにアクセスして、銀行口座の入出金情報を取り出す仕組みになっている
・これらのアプリでは、サービスを提供するIT企業が顧客からIDとパスワードの提供を受け、顧客に代わって銀行のシステムにアクセスし、必要な口座情報を取得していた。この手法は、「スクレイピング」と呼ばれる
・口座名義人ではない企業がアクセスするのは、望ましいことではない。また、セキュリティーの面でも問題があった
・そこで、「オープンAPI (APIを公開すること)」が登場した。APIとは、あるアプリケーションの機能や管理するデータなどを、他のアプリケーションから呼び出して利用するための接続仕様のこと
・システムへの接続仕様を公開し、契約を結んだうえでアクセスを認めることによって、安全にデータ連携ができる。これによって、ある企業のデータを他の企業が利用できるようになる
・オープンAPIによるデータ連携では、ログインIDやパスワードをサービス提供事業者に預けることなく、利用者自身が銀行のシステムを通して、利用したいサービスに対してデータ連携に関する許可を与えるため、安全で正確なデータ連携が可能になる
APIの歴史
・APIは、2000年代から、セールスフォース・ドットコム、イーベイなどを中心に利用が広がった。Uberは、配車のための地図情報や、コミュニケーション機能、決済機能には複数の API を利用し、 自身は乗客と車のマッチング機能の開発に専念している。最近では、WEBAPIと呼ばれる仕組みが多くのサービスに組み込まれている
・数年前から、金融機関でもこれを積極的に進めようとする動きが広がってきた。これが、「オープン・バンキング」と呼ばれる動きだ
・イギリスでは、2014年から政府の主導でオープン・バンキングの試みが推進されている。2018年1月には、大手銀行9行に、「オープンAPI」が義務づけられた
・EUでは、2018年1月にPSD2(第2次決済サービス指令)の運用が開始された。これによって、顧客から同意を得られれば、決済業者は金融機関等が保有する個人の口座情報や取引情報などのデータにアクセスできるようになった。そして、銀行にAPI接続を義務付け、新規参入による競争促進を図った
日本の現状
・日本でも、銀行API公開への動きが進められた。銀行法等の改正によって、金融機関が第三者に顧客情報を提供する際の条件が緩和された
・2018年6月の施行後、銀行にAPI接続の努力義務を課した。そして、開放するか否かを判断する猶予期間を2年間設けていたが、想定していたほど契約締結は進まなかった
・最大の原因は、銀行ネットワークへの接続時に、API利用企業(IT企業)が銀行に支払う手数料だ
・銀行側からみれば、長年にわたって莫大なシステム投資を実施してきたコストを回収したい。また、API接続への対応に伴う設備投資も発生している
・一方、API利用企業からすれば、これまで無料だった接続料が有料になり、顧客から徴収する料金にどこまで転嫁できるか難しい。
・金融庁が金融機関とIT企業の間に入って契約締結を促進したり、公正取引委員会が文書を発表したりして、契約を促した。猶予期間も2020年9月まで延長された
API利用によるサービスの未来
・第1は、中小零細企業などが自社の状況をリアルタイムで自動的に把握できるサービスだ。企業の経理・会計部門は、インターネットバンキングを使って業務を行っている。しかし、それらのほとんどは手作業で行われており、人的コストや操作ミスという問題がある
・オープンバンキングでは、企業のシステムと銀行システムとが直接接続されることになり、さまざまな業務の自動化が可能となる
・第2は、信用スコアリングだ。銀行の取引履歴データを活用して、リスクレベルを定量的に評価することができる。
・オープンバンキングは、日本の銀行が閉塞状態から抜け出すきっかけとなる可能性を秘めている
事例
・中国のアリババグループのアントなどが行なっている信用スコアリングと上記は同じ仕組みだ。ローン事業者は、このスコアを参照して、これまでは貸し出しせなかった個人や零細企業企業にも貸し出しできる
・イギリスでは、中小企業向け融資機関iwocaがロイズ銀行と連携して、融資業務の新システムを開発した
・API経由で得た過去5年の取引データを分析して、融資を決定する。申請情報を銀行に提供してから審査完了までわずか60秒しかかからない
・これまで融資を受けられなかった個人や企業が融資を受けられるようになることは「金融包摂」と言われる
・上記のようなサービスがリーズナブルな価格で提供できるようになれば、銀行にとっても、システム開発企業にとっても、そして利用者にとっても、望ましい状況がもたらされるだろう
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