ごまかし

大人になることは段々と自分の限界を知ることなんだと思う。無邪気に夢を語っていた子供が、段々と周りと違うことを知り、自らの努力だけでは決して乗り越えられない溝があることを知る。

無邪気な心はそんな”周り”のご都合はお構いなしに、あれが欲しい、これがしたいと駄々をこねる。そして、そんな自分を抑えるために「ごまかす」ことを覚えるのだ。悲しみを直視しなくていいように、つらいことをつらくないと言い訳するために。無垢な心を鋭利な何かから守るために。そして、何事もないかのように日常を過ごす。

でも、ごまかしてばかりいると、かなしみをかなしくないとうそぶいていると、ごまかしは心の上に澱のように溜まって、本当の心を見えなくする。そして、ときに心は声にならないうめきを上げる。

そんなときは、無邪気な子供に還ればいい。弱さを見せることは決して負けることではない。素直になれば、きっとあなたは少しだけ自由になれる。

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