見出し画像

金メダル、防衛したのにバッシング?!

 連日パリ五輪でアスリート達の熱い闘いが繰り広げられていましたが、それも間もなく幕を閉じようとしています。

香港は前回の東京五輪から政府がオリンピックの放送権を購入して、多くのチャンネルで違う種目を思う存分見られるようになりましたが、今回の五輪でも香港勢頑張りました。


香港は金メダル2個、銅メダル2個。
日本は後半の追い上げが本当に神がかっていました。最後4位にまで浮上したなんて、やっぱり日本のアスリート達はすさまじい!!!

いやいや、過去の実績から考えると、香港は東京オリンピックから正に破竹の勢いで、メダルには届かなくても色んな種目で色んな選手が台頭してきているのが見てわかりました。

 今回はテレビ放送だけでなく、たくさんのショッピングモールで、特設観覧席が設けられ、たくさんの人が足を止めて超大画面で繰り広げられる闘いを固唾をのんで見守ったり、大声で歓声を上げたりしながら楽しんでいる姿が見受けられました。

香港の人は元々、クーラー代節約の為にショッピングモールに来る人も多いので、ここに来ればクーラーがガンガンに効いた快適空間でオリンピックが楽しめますから。
こんなに大きなハイビジョンでオリンピックが見られたら迫力が違いますわね。
特設観覧席には子供達が楽しめるキッズスペースがあるところも。これはお母さん達も安心して大画面を楽しめますね。

 前回の東京五輪で金メダルを獲ったフェンシング男子の王者、張家朗(エドガー・チュン)は今回見事に金メダルを防衛し、王座をキープしました。
 フェンシングは男子のみならず女子も、江旻憓(ヴィヴィアン・ゴン)も金メダルを獲得!

男女揃って香港がダブルで金メダルゲットの快挙に全香港が沸きました。

 ところで香港では競馬が庶民の生活に結構根付いており、そのギャンブルによる収益が香港の財政を大きく支えています。毎週二回の競馬の日になると、各地区のジョッキークラブ前には競馬新聞片手に賭け馬を検討する人達で埋め尽くされます。
そして競馬を運営するジョッキークラブが、事前事業の一環としてオリンピックの賞金も出しています。

金メダルは今回増額されて600万香港ドル(約1億1200万円)(以前は500万香港ドル日本円にして約9400万円←でも東京五輪の時とはレートが全然違うけど)、銀メダルは300万香港ドル(約5600万円)、銅メダルは150万香港ドル(約2800万円)、4位は75万香港ドル(約1400万円)、5位〜8位は37.5万香港ドル(約700万円)、と入賞者には結構手厚い報奨金が授与されます。

また、このフェンシング男子のエドガー・チュンについては、自身の母校(中学校)も、独自の運動選手奨励金という基金でジョッキークラブの報奨金の半分に当たる300万香港ドルを贈るということなので、少なくとも900万香港ドル、他に色々テレビCMとかしている企業スポンサーもいますから、それだけにはとどまらないでしょう。

ところが今回、同じく同じ種目で金メダルを獲った女子、ヴィヴィアン・ゴンが、ある発表をしました。

記者たちに囲まれるフェンシング女子の金メダルヴィヴィアン・ゴン

勝利インタビューで、「運よく優勝できたのも、たくさんの人、たくさんの団体が支えてくれたおかげです。」そう言って、自身のFacebookでも、報奨金を元に慈善事業団体を起ち上げて、子供達がスポーツの楽しさを知る応援したい、と発表すると同時に自身の引退も表明したのでした。

30歳のヴィヴィアン・ゴンは、これまでに膝の靭帯を三回も切ったりしながらフェンシングを続け、とうとうその努力が結実する日を迎えられたのです。
 たくさんのスポーツ選手の中でも、こうして努力が実る人より実らないままその選手生涯を終えていく選手が多い中、彼女には勝利の女神が微笑みました。

なんて鮮やかな引き際!!✨


そして、彼女もこのパリ五輪の金を以て、自分の20年に渡るフェンシング人生の幕引きとし、新たな事業を起ち上げる夢を抱え、その再就職先に
こうした慈善事業を数多く手掛けるジョッキークラブを選びました。

「共創明Teen計画」未来あるTeens達を応援する慈善事業のプレートを掲げて
これまで私は全身全霊でフェンシングに没頭してきましたが、「現在全職馬會」今からはジョッキークラブの一員として頑張ります、と。

金メダル王者なのに、絶えず屈託のない笑顔を浮かべ、無邪気な表情で
インタビューの途中にもファンの声援に応えて「ン~アっ、ン~アっ」と声に出して投げキッスを飛ばす「The天真爛漫」を具現化したような、ゆるキャラ風の善良過ぎる人柄に心を掴まれた香港の人たちも多くいたようです。

そんな中、先日急ぎの用事でタクシーに乗った私。
タクシーに乗った瞬間、タクシー運転手はブリブリとエラい剣幕で怒っていました。

「考えてもみな!こんなデカい報奨金をポンともらって、そのまま貰いっぱなしってのはねえだろ?!な、そうだろ?!」

オリンピックのラジオ番組を聞きながら、その運ちゃんは、女子の金メダリスト ヴィヴィアン・ゴンが報奨金を社会の為に、子供達の未来の為に使いたいと言ったのに対して、その倍以上の報奨金を手にするエドガー・チュンが何も発表しないことに、怒りを感じていたようでした。

「お前も自分一人の力で、今日の地位に辿り着けたわけでもないんだから、
この香港に少しは恩返ししようと思っても罰は当たらねえだろ?そうだろ?!」

結構な圧で、同意を求めて来る運ちゃん。

そのラジオを聞くのと、自分の怒りをぶちまけるのに夢中になって、超安全運転(めっちゃノロノロ運転💢)な運ちゃんに、

「タクシーに乗るって事は、ASAPで目的地に着きたいからだろ?!そうだろ?
運転手よ、頼むからお前こそタクシー運転手の本分を果たせよ!

と別の怒りを覚えつつ言いました。

「ヴィヴィアン・ゴンは若いのにホント偉大の一言ですよね。
こんな事はお金があるからと言って誰もが出来る事じゃあありませんよ。
大したもんだと心から感服はするけども、なかなかここまで出来るモンじゃない。
ヴィヴィアンがイイ人過ぎるんであって、エドガーは普通の人ってだけじゃないでしょうか?
こういうアスリートの人たちだって、メダルが獲る為に、日夜自分の命を削って努力して、出費もバカでかいでしょうから。」

このメダルが渇望されていた香港に金(←しかも金)メダルをもたらし、その王座を見事防衛するという(この香港では)前人未到の快挙を果たしたアスリートが、こんな身勝手な怒りを買うなんて、お門違いもいいところ。

自分がつかみ取った賞金は、どういう使い方をしようと本人の自由。
どこに、誰に恩返しをするか、またそれを公表するかしないかも他人がとやかく言える事ではないと思います。

世の中ホントに色んな人がいるもんだな~と思いつつ、私は待ち合わせの時間に10分も遅刻し、相手に平謝りするのでした。


いいなと思ったら応援しよう!

ハザカイユウ
サポートしていただけるとありがたいです。