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香港の洗礼を受ける
こんにちは。先日、広州から香港の異動記事を書いた際「香港で受けた洗礼①」としながら①だけで力尽きて終わってしまいました。今日はその続きです。
《香港の洗礼》
②触れ合う手と手
香港の地下鉄では礼儀正しく降りる人を待ったりは致しません。
扉が開いたその瞬間、(主に大陸の中国人が)ダッシュで座席を確保。
(そういう一部の人以外は何となくおおまかな順番は守ります。)
日本人らしく降りるお客さんを待ってたりすると、 (コイツ、ドア開いてんのに何で乗らねんだよ?)的な不穏オーラを一身に浴びてみたり。そういうワケでお客さんが降り切ってから乗車すると、既に座席は満員御礼。
しかも日本の電車のように、そ~~っと発車してそ~~っと停車してくれるわけではないので停車の衝撃は勿論、発車の衝撃も結構デカい!でもつり革が少ないので、皆が摑まるのはポール。
地下鉄は結構一日中混雑しているのですが、乗ってくる人が一本の同じポールにどんどん際限なく摑まってきます。
それはあたかも一本の蜘蛛の糸に群がる亡者のように、我も我もとポールを求める手、手、手。一本のポールに10人くらい群がる事もザラ。
特に夏は最悪で、色んな人の汗ばんだ手と密着しながら地下鉄は進んでいきます。
摑まるところのないドアから遠目の空間はガラ空きでポールの周りだけ高密度。ポールは写真のように結構たくさんあるのですが、人が群がるのはドア周辺のポールのみ。何故なら中に入り込むと乗降車が面倒だから。
誰かの指がちょこっとでも触れるとピクっと手を痙攣させて反応してみせるものの、そんな事を気にするような繊細な人はオリマセン。ポールをロクに見もせずに手を伸ばしてくるので軽く手を握られる事も。
(いやいやいや!さすがにそれは有り得ないっしょ💢!)
怒りのガン見をしてみるものの、その位置に摑まりたい相手は、むしろ、そこを気持ちよく摑めない事に腑に落ちない怪訝な顔。
(いやいやいや、何「アレ?」みたいな顔しちゃってんだよ。私の手があるんだからアンタは他の場所握りなさいよ!)
と、目で訴えてはみるものの相手は全く意に介しちゃいないのでアイ・コンタクト通用せず。
私がこれ見よがしに手を振り切って他の部分に摑まり直しても「これで気兼ねなく自分が欲しかった高さの摑まり位置ゲット♪」とご満悦。
人の手と重なることが苦痛だとも悪い事だとも思ってない(?)ので、触れ合って気持ち悪い方が割を食う世界。
そこは、礼儀作法も先にいるというアドバンテージも日本的な常識も、触れ合う手と手を恥じらう気持ちも嫌がる気持ちも、何も通じない無法地帯。
日本人お得意の、視線やオーラで「空気読め」攻撃なんぞ、どこ吹く風ですわ。文字通り「かすり傷を与える事さえできやしない。」
私は電車のポールの一件で、海外は「自分の思っている事は、言葉にして表現しないと相手には伝わらない」という事を強く強く心に刻んだのでした。
日本に帰ってきて、電車のポールが一人一本状態なのを見ると日本人は皆奥ゆかしいな~と思ってしまう私です。
③香港人のお仕事スタイル
何より一番手痛い洗礼は、もちろん一番がっつりと時間を共にする会社の中。香港人の会社、仕事に向き合う姿勢。それは驚きの連続、闘いの日々でした。
9時から始まるうちの会社。ロコ達は毎日9:10頃に涼しい顔でご出勤。そこから出前を注文して10:00くらいまで朝ご飯タイム。
(いやいやいやいや・・「日本で9時から」と言えば、9時から業務をスタートさせるんだよ!)
そして死刑執行人のように「タイムカード設置」という本社の決定を実行した私。
「あのね~香港はね、そういうスタイルじゃないです。私達10分遅く来たら10分遅く帰りますから。」
(いやいやいやいや、アンタたち10分遅れで会社に着いたって、それから電話で朝ごはん注文して、それをのんびり食べてる10時までの時間は?10分だけ遅く帰ってもらったって全く元取れてませんが?)
まるで尤もらしいかのような丁寧な説明を受け萎え果てたあの頃・・。
また、ある時は新しいお客さんとの決済のやり方で一部米ドル、一部香港ドルという特殊な支払い体制。
会社で使っているプログラムは、会社データ登録時に支払い貨幣を登録する箇所はあるものの、入力は注文ごとの登録なので、その都度そのオーダーが米ドルか香港ドルかさえ確認して手動で入力してくれれば何も問題はない、という代物。
「そこだけ注意してね~」と申し送りすると、「無理。だってそれじゃ処理の時に私が自分で覚えておいたり、頭使って考えたりしなくちゃいけなくなるじゃない。そういう苦しい仕事のやり方は駄目!会社名入力で、後は全てコンピュータの自動入力という形じゃないとできません。」
(・・ え?仕事って、その状況その事情その相手に応じて臨機応変に頭使ってやっていくものでは・・?)
そんな会話に衝撃を受けていたあの頃・・。
またある時、出勤したらアレ?パソコンが起動しない! 総務のスタッフに修理を頼んだら、バックアップサーバーの方から拾えるデーターを全部拾って、リセットして初期化。
ロコ:「直りました!」
私:「や。・・直りましたって・・・直してはいないよね? それ、リセットして工場出荷の状態に戻しただけでしょ?何の問題?」 ロコ「・・・さ~あ?」
そこは、原因を探して問題を明確化し、根本からの解決を図るという意志はなく、表面上の解決のみの世界・・。
そして、そんな彼女らが「ハザカイさん♡」と猫なで声で話しかけてくる時。聞くと、本社との貿易書類のやり取りに双方の言い分、真っ二つ。
その時だけミニマムチャージを単価に上乗せしたのが、香港ではプログラムで自動入力だから単価が元に戻ってしまっていたというもの。
確かに誰かが作業ミスをしたわけではないけど、ちゃんと変えた単価で注文来てるんだから、確認漏れという意味ではぶっちゃけ香港の手落ち。
それに対して、ロコの関心事はたったひと~つ。
「だ~か~ら、これは私達の入力ミスじゃありませんね。」
や・・・入力ミスじゃないかもしれないけど、自動入力まかせで何一つ確認しないアンタたちの落ち度でしょうよ。
「本社は私達の言うこと信じませんから、ハザカイさん、私達が間違っていないということを本社に説明してくださ~い♡」
(イヤイヤイヤ、普段「お前は日本からの回し者」みたいに相容れないのに、何でこんな時だけ「ハザカイさん香港代表」みたいな扱い?!)
「No」と言えない日本人なら「Sorry」と言わない香港人。
今後、同じミスが起こらないようにどうやって進めていくか、とかじゃなくて、誰のミスではありませんとか、わざわざ第三者の口を借りてまで証明したいプライドの高さよ・・。
日本の常識は世界の非常識。向き合い方が違うもの同士が一つの利益を求めて一緒にやってくというのは、なかなか簡単な事ではありません。
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