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ミーターの大冒険 第五部 オーロラ 第7話 廃墟のエオス郊外
133第7話廃墟のエオス郊外
ミーターの大冒険
第五部
オーロラ
第7話
廃墟のエオス郊外
あらすじ
ミーターとイルミナを乗せたファー・スター2世号は、ガイアの軌道上で長老ドムとの交信で、二人が求めている故郷の星の正確な名前が「地球」であることを知る。
人類の歴史消滅がこの時点で歴史復活のフェーズに転換した、瞬間でもあった。
ガイアの誘導で、ファー・スター2世号はオーロラの恒星系に無事にたどり着く。
二人の目の前には、オーロラの揺らめく極光が怪しく波打っていた。
イルミナは、膨大なデータを何億回も検索して、様々な手法を試し、ミーターとの会話からもヒントを得て、手がかりを抽出する。それが、アンテンニン庭園であった。
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イルミナ もうひとつあったわよ。「アンテンニンの庭園」。「アンテンニンの庭園」ですね、これって不思議ね、ドースさんの出身星のシンナの町の大学の講堂にあったわよ。あなたの覚えているイメージとソックリだわ!大学の講堂には大型の絵画がもうひとつあったわ。「パウロ・ヴェロネーゼのカナの婚礼」
って書いてあるわ。
ミーター なんだって、それじゃ、イオスの地下温泉の天井画は、ドースさんがシンナのものを模写したというんだな。
イルミナ そうしか、思えないわ。シンナ大学は、ドースさんが歴史学を学んだところでした。
ミーター 若きハリ・セルダンをロボットながら、彼と結婚して、ハリの歴史心理学の完成に手を貸したんだ。
イルミナ そればかりじゃないわね。ハリから続く女系家族を守り続けたんですから。
ミーター う~ん。シンナ星は、イオス星の隣だな!おそらくだな、イオス星はオーロラのエオス由来ということだ。そしてシンナは、ドースさんやレオナルドさん縁(ゆかり)の地球のある地域のことかも知れない。
イルミナ、ますますオーロラの地表のもともとエオスがあった場所に降りることが急務になってきた。そしてもっとも重要な場所はアンテンニンの花園だ。
イルミナ まあ、山の麓のどこを探すおつもりですか?
ミーター そういう質問が来ると思ってた。簡単だよ、植生というのは1万年経とうが、2万年経とうがあまり変わらないと思うよ。
その通り、ルピナスの咲いている山の裾野を探せばいいはずだ。
それはそうと、そのパウロ何某の「カナの~」というもののデータはないのか?
イルミナ そう来ると思って、調べてあるわ。これもシンナ星にしかない資料よ。不思議ね。他の銀河の星には見当たらないのね。
地球の太古の宗教経典にもとずく物語のひとつとして、載ってるわ。人間の形に変身した神が「イエキリ」と名乗って、初めて奇跡を行った場所が、カナというところで行われた婚礼の際であったというの。六つの樽の水を結婚儀礼に必要なワインに変えたというの。
ミーター 水をワインに、ね!
まるで、ポエニッツ仕様のラヴェンダーのエキスと全く同じだな。
う~。シンナはロボットと人間の共存共栄のシンボルか!
う~。ドースさんの理想は、結局、アルカディアと俺に帰結しているという。
う~。ベリスから続くアルカディア家の努力の賜物が地球復興、そして銀河復興のシンボルなんだ、ということか!
イルミナ 降りるぞ!地表に。
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