ミーターの大冒険 第五部 オーロラ 第10話 Green 夢に向かって
135第10話
ミーターの大冒険
第五部
オーロラ
第10話
Green 夢に向かって
あらすじ
ミーターとイルミナを乗せたファー・スター2世号は、ガイアの軌道上で長老ドムとの交信で、二人が求めている故郷の星の正確な名前が「地球」であることを知る。
人類の歴史消滅がこの時点で歴史復活のフェーズに転換した、瞬間でもあった。
ガイアの誘導で、ファー・スター2世号はオーロラの恒星系に無事にたどり着く。
二人の目の前には、オーロラの揺らめく極光が怪しく波打っていた。
イルミナの検索機能で、手がかりを抽出する。それが、アンテンニン庭園であった。その絵画のルピナスの花園が手がかりとなった。
それとドース・ヴェナビリの出身星のシンナ大学講堂に掲げてあったの絵画、パウロ・ヴェロネーゼの『カナの婚礼』。
そのアンテンニンとカナとの繋がりは何であったのであろうか?
ミーターは、オーロラ地表に降り立ち、アンテンニン庭園を探し当てた。そこには洞窟があって、横穴がずっと奥まで続いていた。洞窟のホールの入り口には鳥居があって、3行文らしい文言が記されてあったが、軌道上にいるファー・スター2世号にいるイルミナにその文言の解読を頼んだ。その文言は、銀河聖語による「ロボット三原則」であった。ミーターはなにやら気がづいて、第1日目の探索を中止した。
ミーターの推測は、『児童のための手引き書』にある不死の従僕の先輩ロボット、ジスカルド・レヴェントロフのことであった。
ミーターは、ジスカルドについての情報をイルミナから聞き取るほかに、以前ジスカルド・ハニスとの会話を思いだし、これから機能停止状態にあるジスカルド・レヴェントロフをハニスに見せたかったと思った。
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ミーター イルミナ、そろそろ、この神殿の中央部分に着く頃だと思う。
イルミナ それにしてもミーターさん、小刻みに震えるあなた様の動きはなんとかなりませんこと?
ミーター 武者震ってことだわ。畏れ多い、銀河古代の超英雄をこれから拝めるわけだからな。
イルミナ この神社というか神殿というか、『児童のための知識の書』に出てくる古代のパルテノン神殿とそっくりだわ。こんな手の込んだ造り、ターミナスにもないわよ。
さあて、ございました。
ジスカルド・レヴェントロフ様
案外、ヒューマンタイプではないけれど、ハンサムだわ!活きているようにしか見えませんね!
ミーター これがジスカルド・レヴェントロフか!
みごとだ!それに黄金というか、緑色に輝いてる!
それもそのはずだわ!彼の手に陽電子が浮かび上がってる。
イルミナ 生命と宇宙の象徴だわ!
生命と宇宙との根源にまで遡れるという。
ミーター その通りだ。かつてハニスさんに話したことがあった。
「どんな素粒子にも、反物質は存在します。特に誰でも知っている雷の中にも対消滅が発生し、ある種のガンマ線が発生するのです。
陽電子とは、電子の『反物質』です。反物質とは、既存の粒子とはほとんど同じ性質を持っているにも関わらず、電気的な性質が逆になっている粒子です。
そして実は、こういった反物質は、通常の物質の時間逆行粒子だと考えられています。つまり、陽電子は、時間をさかのぼっている電子なのです。
エントロピーを増大させることが退廃であり、時間順行だとすれば、反粒子の陽電子によっては時間逆行つまりエントロピーの減少作用を惹き起せます。
つまり陽電子頭脳から過去追慕のメカニズムが働くと思って間違いはないのです。
陽電子から必然的に無機と人間との同調・感応をはじめて見いだしたのは、ジスカルド・レヴェントロフだったのですから」とね。
イルミナ まあ、初耳だわ!ミーター教授、尊敬いたします!
ミーター そんなことより、その台座に書かれてある文を読んでくれるか!
イルミナ 第一文が
第零法則 ロボットは人類に危害を加えてはならない。 またその危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二文が、直感、感応、触れ合い、溶け込み、融合、歓喜、充満、そしてその後の再生。
ミーター なんだと! 第二文は
アルカディア家の呪文じゃないか!!
https://youtu.be/Z455MeSs7A8
yactha john s. 『ミーターの大冒険』オーロラ10 「 Green 夢に向かって 」