ミーターの大冒険 第5部 オーロラ 第13話 メンタル・フリーズ・アウト
139第13話メンタル・フリーズ・アウト
ミーターの大冒険
第5部
オーロラ
第13話
メンタル・フリーズ・アウト
あらすじ
ミーターとイルミナを乗せたファー・スター2世号は、ガイアの軌道上で長老ドムとの交信で、二人が求めている故郷の星の正確な名前が「地球」であることを知る。
人類の歴史消滅がこの時点で歴史復活のフェーズに転換した、瞬間でもあった。
ガイアの誘導で、ファー・スター2世号はオーロラの恒星系に無事にたどり着く。
二人の目の前には、オーロラの揺らめく極光が怪しく波打っていた。
イルミナの検索機能で、手がかりを抽出する。それが、アンテンニン庭園であった。その絵画のルピナスの花園が手がかりとなった。
それとドース・ヴェナビリの出身星のシンナ大学講堂に掲げてあったの絵画、パウロ・ヴェロネーゼの『カナの婚礼』。
そのアンテンニンとカナとの繋がりは何であったのであろうか?
ミーターは、オーロラ地表に降り立ち、アンテンニン庭園を探し当てた。そこには洞窟があって、横穴がずっと奥まで続いていた。洞窟のホールの入り口には鳥居があって、3行文らしい文言が記されてあったが、軌道上にいるファー・スター2世号にいるイルミナにその文言の解読を頼んだ。その文言は、銀河聖語による「ロボット三原則」であった。ミーターはなにやら気がづいて、第1日目の探索を中止した。
ミーターの推測は、『児童のための手引き書』にある不死の従僕の先輩ロボット、ジスカルド・レヴェントロフのことであった。
ミーターは、ジスカルドについての情報をイルミナから聞き取るほかに、以前ジスカルド・ハニスとの会話を思いだし、これから機能停止状態にあるジスカルド・レヴェントロフをハニスに見せたかったと思った。
ミーターはかつてハニスにハニスの名前の由来について語ったことを思いだし、その中に「雷放電の中から一種の放射線であるガンマ線が発生することを」語ったことになにやらあることに気がつく。
その際に発生する「対消滅」のことから、ジスカルドの遺産に纏わる「メンタル・フリーズ・アウト」の現実に到達する。
なんと、それはロボットばかりでなく、有機体の存在としての人間にも適用されると、二人は、結論した。
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ミーター きっとオリンサスさんが出会った極素輻射体と同じ機能をもつ技術を教わった友人とは不死の従僕その人だったとしか思えないね。
例えばドースさんも何度もロボット三原則や、第零の法則の規定を越えて、機能停止に陥ったんだ。そして何度もイオス星で抜本的修理に入った。
レオナルドさん然りだ。ガイアという星を造るのに、本来何億年かかるのを、何百年に短縮させる。それじゃ、いくら頑丈に造られたロボットだって、耐えられないよな!
イルミナ じゃあ、このジスカルドさんもイオス星に運べば、いいじゃないですか?
ミーター ところがジスカルド・レヴェントロフだけはそうはいかない。
イルミナ どういうわけで?
ミーター それが、不死の従僕さんが不死になった理由なんだ。不死の従僕さんがずっと不死を続ける理由はそこなんだ。もし不死の従僕さんが、その不死を止めるとしたら、そのことが可能かも知れないがねぇ!
イルミナ ふ~ん。そのそういう機能停止って、心理歴史学の文献で、なんとか言ったわよね。ボー・アルーリンの項で、なんでしたっけ?
ミーター 「メンタル・フリーズ・アウト」じゃ、なかったかな!「メンタル・フリーズ・アウト」というのはロボットが三原則の板ばさみになって陽電子頭脳が焼き切れてしまう。たとえば自分がAを選択しても非Aを選択しても人間を傷つけてしまう、逃げ道はない、というような状況で起きる。物理的でいう「対消滅」ということか!
イルミナ そうよ、確か。
そういうことか!フムフム!
ミーター 勿体ぶらないで、どういうこと?
イルミナ ミーターさんの場合も同じだったんだわ!あなたの場合は、仕方なく、物理的にガンマ線バーストのメンタル・フリーズ・アウトを受けたんだということかしら。
そして、不死の従僕さんは、オリンサスさんの寿命を予め予測して難事業に取り組まさせたんだわ。有機体の人間でも起こり得ることですもの。
そしてオリンサスさんはもう一人のジスカルドの役を演じたんだわ。後継者のために。
その後継者というのが、あなた、ミーター・マロウ。
ミーター 他にもいるぜ、イルミナ!
イルミナ、お前もだ。そしてコンパーさん。そしてハニスさんもだ。
う~。宇宙は広い。深淵で謎めいている!!
イルミナ どっかで聞いたセリフだわ!
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