地球へ 1️⃣ (第1話~第5話)
地球へ 1️⃣ (第1話~第5話)
143 第1話 ソラリア
144 第2話 ロボットと変異体
145 第3話 両性具有の人間
146 第4話 危険回避 はだかの太陽
147 第5話 三十六計逃げるに如かず
『2万年後の銀河』
第十五部
「地球へ」
前部までのあらすじ
ミーターとイルミナを乗せたファー・スター2世号は、ファウンデーション暦488年1月、カビレ星系目指して、第一回目の探索をおそらく恒星カビレ近くのシリウス星界近くで超新星爆発のガンマ線バーストによって大破し、ミーター・マロウも宇宙空間に放り出された。
そこ近くの領域を航行中のR・レオナルド・エノビアレラに拾われた。R・レオナルド・エノビアレラは、自己修理のため銀河辺境のイオス星というロボット第零法則グループの製造・修理の基地に赴く途中であった。彼はミーターをイオス星につれて行くことにした。
それから4年間、ミーターは独自なリハビリを受ける。ポニェッツ仕様のラヴェンダーのエキスの温泉療養である。
4年が過ぎ、ファウンデーション暦492年、眠りにおちていたミーターは、修理されていたファー・スター2世号の中で、イルミナに起こされた。その時、ファー・スター2世号はシンナ星の軌道上にあった。
彼らは、まず銀河のシンナ星から銀河中心に向かって、ほぼ近くのカルガン星に赴く。
カルガンはミーターも亡きアルカディアと訪れた思い出の星であった。それに何かしらの地球探索への情報を収集できるのではとふんだ。
ベイタとミュールの闘争の歴史的出来事を通しても銀河復興と地球復興の解決のいとぐちを探れると思った。
そこで手に入れた情報から、ハニス、コンパーのゆかりの星コンポレロンを目指す。
コンポレロンでは、地上ではこれといった手がかりは見つけられなかったが、イルミナにある異変(フィードフォワード症候群)が生じ、あとでわかるのだが、不死の従僕の気配を感じられるという。
イルミナの特殊能力で、ヴァジル・テニアドールという懐疑主義の歴史学者の頭脳から二つの情報を手に入れる。
一つは約2万年前の航海日誌に記されてあった周辺の星の座標と故郷の星系カビレの異常さ、つまり、他には珍しい、ガス惑星を取り囲む巨大リングと、他の岩石惑星を回る巨大衛星のこと。
その航海日誌の座標にはない恒星系が前方に存在していて、彼らは突如として、反ミュールで知られていたガイアを発見する。
ガイアの長老ドムとの通信で地球とミュールに纏わる真実を知った。
ガイアの誘導で、ファー・スター2世号はオーロラの恒星系に無事にたどり着く。
二人の目の前には、オーロラの揺らめく極光が怪しく波打っていた。
イルミナの検索機能で、手がかりを抽出する。それが、アンテンニン庭園であった。その絵画のルピナスの花園が手がかりとなった。
それとドース・ヴェナビリの出身星のシンナ大学講堂に掲げてあったの絵画、パウロ・ヴェロネーゼの『カナの婚礼』。
そのアンテンニンとカナとの繋がりは何であったのであろうか?
ミーターは、オーロラ地表に降り立ち、アンテンニン庭園を探し当てた。そこには洞窟があって、横穴がずっと奥まで続いていた。洞窟のホールの入り口には鳥居があって、3行文らしい文言が記されてあったが、軌道上にいるファー・スター2世号にいる イルミナにその文言の解読を頼んだ。
その文言は、銀河聖語による「ロボット三原則」であった。ミーターはなにやら気がづいて、第1日目の探索を中止した。
ミーターの推測は、『児童のための手引き書』にある不死の従僕の先輩ロボット、ジスカルド・レヴェントロフのことであった。
ミーターはかつてハニスにハニスの名前の由来について語ったことを思いだし、その中に「雷放電の中から一種の放射線であるガンマ線が発生することを」語ったことになにやらあることに気がつく。
その際に発生する「対消滅」のことから、ジスカルドの遺産に纏わる「メンタル・フリーズ・アウト」の現実に到達する。
二人は、ジスカルドの台座の裏側にもう一つの刻印を発見する。それは、不死の従僕が二人に残した追伸のようだと、ミーターは考えた。
ファー・スター2世号に戻った二人は、オーロラの次の探索星をソラリアに定める。
ミーターは、例のデニアドールの航海日誌にあった座標を現在時点の時差を考慮して修正して方向をロックした。おそらく例のソラリアであった。
ミーターは日誌にあった、他の二つのスペーサーの星も、その座標には間違わないと確信した。
第1話 ソラリア
143
イルミナ ミーターさん。お見事ですね!
ミーター そんなことはない。すべてお前の特殊能力とファー・スター2世号の手柄さ。
イルミナ よく見えますね。薄い雲を透して、地上の様子が。大きな大洋と大きな陸地。鬱蒼とした緑の森林。ジャングルもあるわね。大型哺乳類もいそうですこと。人類に居住可能な大気がありますね。
ミーター ところが、この星を何度か回って、夜側になると、人類社会の証拠という灯りが全く見えないんだ。
イルミナ 人類はいない?
ミーター 今のところはね。
もう少し、お前の特殊能力で集中して捜査してくなれいか?
きっとグレディアさんは、いるかも知れないからな。
イルミナ まあ、私の言葉の端を捕まえて、なんという皮肉なんでしょうこと!
ミーター ごめん、ごめん。でもグレディアさんはいないかも知れないが、スペーサーの残した何かがあるに違いないという気がする。
実は、オーロラをもう少し滞在して、何かを探し忘れたんだという後悔があった。
おそらくだな、その後悔のおかげでみつかるかも知れない。
イルミナ 探してみますね。探検隊の隊長さん。ちょっとだけ教えてください。その気配のこと?
ミーター 頼むよ。それはだな、ガール・ドーニックの『故郷星探索調査報告書』の写本の一部のことだ。
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