来日ミャンマー人にインタビュー「日本に来た理由」 [ミャンマー見聞録①]
こんにちは。ミャンマー生活のZINE作りまっ最中のちーです。
半年ほど前、市で開かれている日本語教室で、ひとりのミャンマー人男性Aくんと知り合いました。技能人実習生として今年日本に来たばかりの若者です。
わたしがミャンマーから帰国して4年。ZINE作りをしていると、自分のメモや記憶に自信がない部分がでてきます。そんなとき、日本語が上手な彼に質問すると、わかりやすく教えてくれるので、非常に助かっています。
先週は日本語教室のあと、そんなAくんが来日した経緯について話を聞く機会がありました。
彼はミャンマー中部の町マグウェの出身。エーヤワディ川のほとりで生まれ育ったそう。2022年、国の情勢により仕事を失ったことがきっかけで、海外で働くことを決めました。
ちー(わたし):
民族のこと、聞いてもいい?
Aくん:
僕はビルマ族です。といっても、母方の祖父がバングラデシュ、父方の祖母がミャンマーのチン族出身だから、便宜上は「ビルマ族」、というべきかな。いろいろ混ざってるけど、ミャンマーの身分証明書では、ビルマ族。
ちー:
信仰も家族でバラバラ?
Aくん:
そうですね。バングラデシュ人の祖父はムスリムだし、チン族の祖母はクリスチャンだった。うちは、みんなそれぞれ自分の信仰があればいいって家庭でした。
ちー:
働く国を日本にしたのはどうして?
Aくん:
海外に行くとすれば、タイ、韓国、日本のどれかだろうって考えてました。韓国と日本で悩み、2つの言葉を同時にYouTubeなどを見ながら独学で学びはじめた。韓国は日本の給料の2倍でしたが、最終的には日本人の人柄に惹かれ、2022年12月には日本に決めました。
わたしが日本で働くには、「技能実習ビザ」か「特定技能実習ビザ」が必要です。技能実習は”習いに行く”ための期間なので、給料はずっと同じ。日本語の資格試験も要りません。
いっぽう特定技能実習は、日本で人材が不足している14分野で働くことができ、昇給やボーナスあり。そのかわり日本語能力試験(JLPT)N4の取得と、14分野のいずれかの特定技能資格証明の取得が必要です。
ちー:
日本語は、ずっと独学で?
Aくん:
日本に住んでいるミャンマー人に、オンラインで教えてもらったこともありました。2023年9月に日本語のN 4を取得したあと、外食産業の資格をネットで勉強して取得。
この2つが揃ったところで、マグエから車で10時間ほどかけてヤンゴンへ行き、日本への人材派遣を行う組合をいくつも訪ねたんです。働ければ、日本ならどこでもよかった。たまたま熊本の会社とご縁があり、3回の面接を経て採用されました。私のほかにもミャンマー人が8人採用され、2024年1月、タイのバンコク経由で福岡空港に到着し、熊本へやってきました。
ちー:
まだ熊本に来て1年経ってないんだね。こちらの印象はどう?
Aくん:
わたしのふるさとは、とても田舎なんです。レストランなんてありませんし、行ったことすらなかった。働くために頑張って外食産業の資格を取ったものの、そんな自分が海外の飲食店で働くことができるのだろうかという不安はありました。
熊本は、ミャンマーでいちばん大きな都市のヤンゴンよりも都会だと思いました。わたしが暮らしている熊本市内からも、山がよく見えるのが好きです。ヤンゴンは、山は見えません。わたしの故郷は山に囲まれていますので、山が見られるのはうれしいです。
ちー:
いまは会社の寮に住んでいるのかな?
Aくん:
はい。部屋はひとり部屋ですが、同じ時に来日したミャンマー人の同僚がおなじアパートにいるから心強い。冷蔵庫の上には小さな仏壇を作りました。自分で作ったごはんとお水、100円ショップで買った花を供えています。忙しいときはごはんを供えるのを忘れてしまうんですが、手を合わせてお経を唱えるのが日課です。
熊本で会う人は、みんなとても良い人。会社の社長さん、一緒に働くみなさん、日本語を学んでいる日本語教室で出会うみなさん。
2024年9月現在、ミャンマー国内は未だ治安が不安定で、わたしのふるさとも危険な状況。実家に母が1人で心配ですが、すぐ近所に親せきや姉たちがいるのが救いです。
この先もミャンマーには帰らず、わたしが国外で永住ビザを取り、母親と一緒に暮らせるのが夢。母のほうは、故郷から離れたくないようですが。