『回来的女儿』 中国ドラマ 鑑賞記録
怖かったです!
愛奇芸のサスペンスシリーズ『迷霧劇場』の最新作。この作品群はいくつか観て面白かったのと、何となくサスペンスが観たい気分だったのとで、予備知識ゼロで鑑賞し始めました。
ちょっとハードそうな雰囲気漂うせいか視聴している人が心持ち少なめで、口コミが目に入って来ず、どの位怖いのかが分からない怖さ。まさに底なし沼を覗くような感じが作品自体のドキドキ感と相まって、序盤はとにかく怖くて怖くて、口元を押さえながら観たものです(笑)
2022年12月の配信を AI 字幕でリアタイ視聴。年末には観終わっていたのですが、題材的に年始早々の note 更新にはちょっと向かないなと思ったので、しばらく寝かせてました。
テーマがテーマなので究極の秘密は暴露しませんがストーリー上のネタバレはあると思います。未鑑賞の方はご注意くださいませ。
戻ってきた娘は戻ってきてない
舞台は1900年代の小さな町、潭岭。
主人公は 张子枫演じる 陈佑希。孤児。孤児院を出て失踪した親友 小秀を探すため孤児院を抜け出す。小秀が身を置いていた李家でひょんなことからこの家の行方不明になっている李文文に成りすますことになる。
解せないのは、長年行方不明(ということになっている)とはいえ李家の父母が陈佑希をすんなり娘として受け入れるということだ。いくら何でも顔形や雰囲気で自分の娘かどうか分るでしょう?と思うのだが…
実はそこがミソ。
この家の娘の失踪にも秘密があるのだ。
このドラマ、どこもかしこも秘密だらけ、隠し事だらけなのである。
さすがに「ちょっとおかしい?」と疑問を持った夫婦は陈佑希のDNA鑑定に踏み切るのだが、なんと判定が「適合」と出るのだ。
そんな訳ないでしょ!(笑)
このエピソードは本作の謎の序の口。あとからあとから通常の思考回路では理解できない謎がぐるぐるトグロを巻いている。詳しくは書かないが。
主軸は2人の女の子の失踪。
親子、友達、男女、兄弟、色んな関係の愛憎が核となり、その周りをウソや憎悪や利己主義が折り重なり、事件が雪だるまのように肥大化していく物語だ。
取り巻く人々
文文の父母は王砚辉 演じる 李承天と梅婷 演じる 廖穗芳。
兄、李文卓は幼少期に高熱を出した後遺症で脳に障害を負ってしまっている。幼い子供がそのまま大きくなったような感じだが、ふとした瞬間に鋭敏な感覚を表すことがある。このことが物語をより深く謎に導き、同時に温かさも醸し出していて、とてもよい人物像だったなと思う。
母役、廖穗芳については言わぬが花だが、謎(というより秘密)の中心的存在を 梅婷が鬼気迫る演技で見せて作品に陰影を添えている。
本作視聴中同時に観ていた『鳳凰の飛翔』では皇帝の愛妃を演じていたが、本作の方がこの女優さんの力量が発揮されていたのではないだろうか。
失踪した小秀に思いを寄せ、陈佑希と組んで行方を探ることになるのは 程威。小さな町でこぢんまりと粋がってる青年だが、根は優しくてイザとなったら信頼できるタイプ。
どこかで見た俳優さんと思ったらなんと 郭丞くん!『陳情令』の蓝景仪ではないの! 姑蘇藍氏 わが最愛の含光君(王一博)の愛弟子を即座に認識できなかったなんて不覚の至り。懺悔!!
そしてその小威 の従兄が 程旭。演じるのは『无证之罪』バーニングアイスでの演技が光っていた代旭だ。この時の役柄が強烈に上手すぎて、本作でも真っ先に「怪しい!」と思ったのはこの人だった。疑ってごめんなさい。
事件の影にうごめく秘密を察知して解明に乗り出す若手警察官。90年代の警官の制服がよく似合う。
程旭&程威、程家はイケメンの家系なのね。画面的に地味な本作にあって、この二人が行動する時だけは個人的に盛り上がったなー!
その他、李家の向かいに住む 高梅。委員会の主任で、夜カーラーを巻いたまま外に出てきたり、色んな所に首を突っ込みたがる女性なのだが、時代感があってよかった。
健康食品をチェーン展開している会社オーナーは王重江。この人は複数の人間関係で本筋に絡んでくる。
怖さの本質
このドラマ、後半から恐怖の種類が変化する。
序盤の得体のしれない恐怖が徐々に姿を変え、終盤に向かうに従って、知っていると思い込んでいたものが実はそうではなかったというようなゾワゾワ感が忍び寄ってくる。
本当に怖いのは、本当の悪とは…… そういうことなのね、というような。
上手い脚本だと思った。
キャストもそれぞれ感情をじっくり引き出す演技がよかった。特に主役の 张子枫は華奢で線が細いけど、その個性を活かしたお芝居が素晴らしい。
思えば『チイファの手紙』でも印象深かったものね。本作でも好演。
色んな役柄をこなせそうで今後が楽しみな女優さんだ。
疑問を一つだけ。
それはちょっとなーと感じたのは、あの人への刑の重さだ。あれは正当防衛じゃない? 殺意はなかったようにみえたけど?
でももしかすると彼の国では、例えそうだとしてもあの程度の刑が課されるのかもしれない。
と思うとそれも別の意味で怖いが。
この『迷霧劇場』、気になって調べてみた。
これが11作目で、次作はまもなくクランクインらしい。まだ観てないものも観てみたいな、赵丽颖の谁是凶手とか。
以下、リストアップしたのでご参考まで(百度百科より)
最近、中国映像配信プラットフォームの愛奇芸国際版は、中国配信と同時にAI字幕を付けて配信してくれるものが多くてありがたいです。
AIながら日本語字幕はやっぱり楽なのでついそれを観てしまうのですが、中国語学習的にはやはり中国語字幕で視聴するのが一番。話数が進むにつれて耳が慣れて、理解が早くなるのを実感できます。
海外旅行で帰る頃には現地の言葉が少し聞き取れるようになってくるのと同じですね!
なので今年は同時平行して視聴するドラマのうち最低1本は、原語で観ていきたいと思っています。中国語リスニング、頑張れわたし(笑)
久し振りにコッワ~~!!っと思うサスペンスを観ました。時々無性に観たくなるサスペンス。またよい作品に出会いたいです。
お付き合いいただいてありがとうございましたー。