『長相思 』(第一季) 中国ドラマ 鑑賞記録
今回の記事で noteの投稿が 60週間連続になります。だから何?って話ですが(笑)ここまで継続してこられたのは noteの運営さんがメダルというご褒美で釣ってくださるのと、読みに来てくださる皆様方のお陰と深く感謝申し上げます。
ここ最近は映画祭で映画を観てきたので珍しく書くネタが多く、記念すべき(?)60週目はどの記事にしようかと考えましたが、今年 自分的没入度 ナンバーワン! のこちらといたしました。
面白かった作品は他にもありましたが、視聴時間以外の脳内占有率は本作が一番。
好きが高じて、生まれて初めて中国語の原作本に手を出すという暴挙にも出ています(笑) 近頃は日本語の本さえろくに読まないというのに…
知らない語句を調べながらの読書ですからまだ序盤。先は長いですが、だんだん慣れてきて少し速く読めるようになってきました。
めっちゃ面白かった作品なので長めになってしまうと思いますが、よろしければお付き合いくださいね。
概要と魅力
ファンタジー作品。ファンタジーは良作に当たる確率が(自分的に)低いが、ハマれば深いことが多い。本作は『陳情令』以来の熱中度で、2周目は台詞を丹念に訳しながら視聴した程であった。
聞くところによると原作者は『山海経』をベースにしたらしいが、ドラマの地名は原作から変更されている。
かつては 西炎、皓翎、辰荣の王国が存在したが、現在 辰荣は 西炎に吸収されてしまっている。西炎と皓翎の二国が台頭している状態だ。
主人公 杨紫演じる 小夭は 皓翎の王女で西炎の血も引いている。
もう一人の主人公 张晚意 演じる 玱玹は 西炎王の孫。二人はいとこ同士(兄妹のように育った)という設定だ。
物語はこの兄妹を中心に、家族や各氏族との関係に恋愛、王族間の駆け引き、王国内の権力闘争などが絡まって描かれていく。
小夭と玱玹は幼い頃から助け合い慈しみ合って暮らしていた(子役がかわいい)が、ある時引き離されてしまう。玱玹は 小夭を探し続けて300年(!)
その間 小夭は虐待を受けたために霊力を奪われ、今は 清水镇という長閑な村で玟小六という男性医師として暮らしている。
そこで出会うのが恋人となる 叶十七。演じるのは 邓为。実は有力氏族の一つ 涂山家の御曹司 涂山璟であったが、実の兄から虐待されて瀕死の状態で 小六(小夭)に救われるのだ。
看護される間に 小六が女性だと見破り愛するようになる。
有力氏族は他に 防风氏や 赤水氏が存在するが、檀健次 演じる 防风邶は物語始めで 相柳という九頭蛇の妖怪(の化身)として登場。銀髪のビジュアルがめちゃくちゃよし!である。
赤水氏の公子は 王弘毅 演じる 赤水丰隆。この人物も 小六を取り巻くメンズの一人だが、想いの深さは他の3人に比べると格段に浅く、表の人畜無害な雰囲気に比して物事の判断は非常にビジネスライク。
というよりも、涂山璟(叶十七)、玱玹、相柳(防风邶)の小夭に向ける愛がそれぞれ途方もなく深く、献身的なのだ。
それら三人三様の愛の形が、このドラマの最大の魅力になっているといっていいだろう。
深い愛を真っ直ぐ素直に伝えていくが、家族のしがらみに捉えられてしまう 涂山璟。
自分が妖怪であることの引け目から正面切って想いを伝えられず、陰で支えることしかできない 相柳。
小夭との絆は誰よりも強いが、兄妹という一線踏み越えられずに苦悩する 玱玹。
加えて、3人のビジュアルである。
アップよし。12頭身のスタイルよし。古装の美しさや身のこなしよし。etc…
美の魅力も三人三様に素晴らしく、ドラマ配信中はどのキャラを推すか、どのキャラが恋人 or 友人 or 友人だったらよいか、などなど… 日夜話題には事欠かなかったものだ。
そんな彼らが生命の危機にあったり、お互いが攻撃対象になったり、身バレしたりしながら、話は展開していく。
因みに本作は当初から「第一季」と銘打たれており、物語は今季で完結しない。
脚本と人物造形
原作ベースの脚本であり、原作者が脚本にも関わっているというしっかりした物語構成が大変好みだった。
何より人物造形がの陰影が深くて、それを具現化する俳優の演技も素晴らしかった。
ファンタジーの場合は特に、この2点が揃わないと薄っぺらいものになってしまうと思うのだが、本作はその点で視聴者に誠実であり、何処からみても誤魔化しのない緻密さで描かれていて良心的。
小夭は3人の魅力的な男性から深く愛される女性。それだけに下手をするとドラマ全体を壊してしまいかねない難しいキャラだったと想像するが、杨紫は説得力ある演技によって嫌味なく納得感ある人物として造形してみせてくれた。
正直今まで 杨紫に興味がなかったのだが、この役で彼女の魅力を発見した思いだ。この役を演じてくれたことに感謝したいとさえ思った。
視聴1周目では 小夭という女性は「3人を平等に愛する博愛の女神」に見えていたのだが、2周目に丁寧に観ていくと一人一人に対してその時々の対応をキチンと分けていることに気がついた。杨紫の繊細なお芝居に感心するばかりである。
张晚意 の演技は初めてだったが、苦悩しながら一族を従える立場へと成長していく風格や 小夭に対する複雑極まりない想いの表現力には何度も感動させられた。内に秘めた想いをこらえたり、政敵を欺くためにわが身を犠牲にしたり、嫉妬に苛まれたり、彼も難しい役柄だったと推察するが、視聴する度ごとにその演技力に舌を巻いた。特に 小夭への気持ちが溢れて、目の縁から涙がほとばしる泣きの演技は圧巻であった。
相柳 形態時の銀髪がイケメン度を50%増しにする 檀健次は、わたしがこのドラマを観始めたキッカケだ。
期待に違わず見ごたえある美を見せていただけて満足である。
身を挺して小夭を救う姿は絵になるし、叶わぬ恋に苦悶する表情も絶品。役柄としてはもう少し素直になったらいいのに~と思わざるを得なかったのは、お芝居が上手かったせいだと思う。
そして! 本作中、我が最大の推し 叶十七(涂山璟)役の 邓为である。彼のお芝居も初めてだったが、役柄とのマッチングが最高だった。
涂山璟 は家柄がよく絵画、琴、詩、碁などに秀で、容姿も優雅な所謂 "翩翩公子"
そのキャラを超美形で控え目な 邓为が、それはそれは素敵に演じてくれた。涂山璟、殊に 叶十七 形態時の小夭への優しさと思いやり、行動は、ドラマの人気に多大な貢献をしたに違いないと思う。時に優しさが優柔不断に見えてしまうこともあるが、それも含めての役作りだったろう。
役者本人の人気爆上がりも、うなずける。(この役の後、主役ドラマや代言契約が続伸とのこと)
映像と演出
序盤の舞台、清水鎮のセットは広大な敷地に実際に村を作ったそうだ。リアリティのある自然の風景がとても美しい。
映像的には中国ドラマの高い水準の中では特に優れているとは言えないかもしれないが、それでもとても綺麗であった。
それよりも、カットのつなぎと演出が素晴らしいと何度も感じた。
ドラマの撮影は物語の流れ通りではなく、バラバラに撮っていくと聞く。そのそれぞれのパートは上手く繋がるように擦り合わせてあるのが当たり前だとは思うが、このドラマはそこが非常に緻密だった。
例えばシーンが全く別の場所に飛ぶそれぞれのパートで、キャラクターが前の場面で言ったりしたりしたことが、次の場面で流れるように生きているのを何度も実感した。言葉で説明するのは難しいが、表情や会話の内容、見た目など、それぞれ齟齬のない繋がりが素晴らしくて、現実に引き戻されることなくスムーズにドラマ世界に没入することができた。
とにかく観てほしい
具体的な内容は極力伏せたいので、未視聴の方で興味を持ってくださったら、ぜひ視聴をおススメする。涙を誘う名場面の数々、イケメンを堪能できる全39話、きっと至福の時を過ごしていただけると思う。
(現時点では WeTV で視聴可能 "Lost You Forever S1” 第2季の配信時期は未定)
音楽の入るタイミングと、音楽そのものも好みだった。
ただひたすらに、極上のドラマに感謝。
そして願わくば第二季の終わりでは、推し 涂山璟(叶十七)と 小夭が幸せに暮らしていてほしい…
やはり長くなってしまいました。すみません~
拙い長文を読んでくださって、感謝です!
さて、60週間 連続投稿達成後は、頻度を気にせずに続けていければいいなと思っています。
今までは書くだけで精いっぱいだった note時間を、他の noterさんの文章を読む時間に充てていきたいとも考えています。
突然お邪魔するかもしれませんが、その時はどうぞよろしくお願いします。
これからも、気が向いたら遊びに来ていただければ嬉しいです!