『寧安如夢』 中国ドラマ 鑑賞記録
期待度低めで視聴し始めましたがあっという間に没入していました。とても面白かったです!
男性主人公に賛否両論ありますが(笑)わたしはストーリー上のキャラとしてはありだと思うし、そもそもがフィクション、切った張ったの世界なのでであります。
ドラマとはどんなジャンルであっても、その設定で何を描こうとしているのか、それが描き切れているかどうか。その観点からみれば秀作の部類に入れたい作品です。
本日はそんな一風変わったお話を、どうぞ。
※ 2024年9月にWOWOWでの放送が決定したのでタイトルを修正しました(2024/07/19)
描き方が独特
現代の女流小説家が、執筆中の時代劇の主人公 姜雪宁(白鹿 演)を過去に戻す。一見ありがちな設定ながら、雪宁が過去の自分の人生の過ちを修正すべく記憶を頼りに先を読み、叡智を駆使して新たな道を選んで未来を変えていく展開をスリリングに描いている。
一度目の人生で 雪宁 は皇后になるためにどんな代償を払うことも厭わず成り上がったのだが、その最期は 谢危(张凌赫 演)によって引導を渡され自刃に追い込まれるという悲惨なものだった。
中国ドラマ時代劇によくみられるフワフワ感は少な目。切ったり刺したり、描写が激しくて、映像は美しいが漂う空気感はダークで落ち着いたトーン。
白鹿の静かな語り口も合っていて、よい 。
谢危 は彼女の師匠で皇帝の側近でもある、冷酷な策士だ 。非常に複雑なキャラで正体も不明。
過去に姜雪宁に命を助けてもらったことで、彼女に対する愛と信頼が尋常でなく深い。
宮廷内部の権力争いに、それぞれを支持する文官、武官が絡み合い、その渦の中に巻き込まれていく雪宁ら女性たち。
その官吏たちに张遮(王星越 演)、 燕临(周峻纬 演)。雪宁がご学友を務める长公主に 沈芷衣(刘些宁 演)。
雪宁の二度目の人生に明るい未来は開かれるのか。共に歩むことになるのはどの男性なのか。
ミステリーとラブストーリーのバランスがよく、現在と過去との映像を交互に織り交ぜる編集がいい。
キャラが個性的
当初本作視聴で楽しみにしていたのは 王星越だったのだが、途中から 张凌赫の演技にグっと引き寄せられた。正直彼、他の作品ではピンとこなかったのだが、アクの強い 谢危という役柄で光を放っていた。クセがあって笑顔を封印しているような役処が合っているのかもしれない。低く響く声も素敵!
谢危の場合、とにかく愛が深く濃い。今時は流行らない愛し方だ。以前(平成辺りまで)はよくこういう人が映像作品でも描かれていた気がするし、実際には今でも普通にいるのだろう。自分の愛を相手に押し付けて、相手が自分の方を向かないと何故こっちを見ないのかと詰め寄っていくような人。
自分の命よりも彼女が大事といって憚らない彼だから、自分の手を刺しちゃったり、相手に自分の胸を刺させたりもするのだ。
こんな人やだわ!理解できない!という向きはこのドラマ観ない方がいいかもしれない。きっと不快になるから。
いや、わたしも好きじゃないですこういう想われ方は(笑)わたしには受け止めきれない。
でも 姜雪宁なら大丈夫。そんな重すぎる愛も正面からドーンと来い!なのだ。
だって 雪宁は 谢危がどんなに強硬に出てこようとも怯まない。如何なるシチュエーションでも、NOならNOとはっきり言える人だから。
だからこそ、このカップル、このドラマは成立する。
雪宁は本当に気丈で、自分が過去に苦しめた人々を救済していく意志の強さに好感が持てる。
一度目の人生の誤った判断を変えるべく奮闘するのだが、なかなか思うように進まない。そんな悩める彼女のよき理解者が実は 谢危なのだ。
このドラマのユニークなのは、後半に入るまでこの二人に甘いムードが一切ないこと。ほぼ言い争ってるw
ホントにこの二人はうまくいくのだろうか?と思わせておいての展開がナイス。
それまでは、公明正大、清廉潔白な 张遮の出番。谢危の彼に対する嫉妬も見ものだ。
谢危 のこの台詞が好き!
巷の評判がイマイチなので、微力ながらここで加勢しておくことにする(笑)
1.
失恋に泣く雪宁。嫉妬に苛まれながらも胸にかき抱き、かける言葉は「
もっと善い人がいる。もしも善い人がいなかったら、より相応しい人が必ずいる」
辛さを押し殺した強い愛で支える 谢危。
2.
自分の無力さに失意の雪宁。
「諦めなければいつかきっと機会は巡ってくる、虐められたら自分が倍返ししてやる、必ずうまくいくから」
抱いて一生懸命に勇気付ける谢危。
包容力や器の大きさを感じさせる 张凌赫の演技と、実際にも大きくてガッシリした体格に、観てるこちらはクラクラである。
しかしながらこの辺りでは彼女はまだ自分の人生やり直しに精一杯。彼のことは眼中にない。にも関わらず 谢危のこの辛抱強さに感動だ。
本当に、深く激しく、一途な想いが揺らがない 谢危。表現方法はどうあれ、ここまで愛されるってすごい!と思うのだった。
脚本がいい!
筋書きにブレがないところは流石、原作ありのドラマ! 未読だけれど本作の重厚感は原作の世界観を踏襲している故と思われる。
他の古装恋愛ドラマに比べて背景となる各陣営の対立と和合がしっかり描かれてるのも、そのドッシリ感を支えている。
张凌赫のことばかり褒めたけど、彼に真っ向対峙して遜色なく 雪宁というキャラに命を吹き込んだ 白鹿も、とてもよかったと思う。
二人とも熱演で、すっかりファンになってしまった。
今年の没入古装劇は『長相思』で打ち止めかなと思いきや、残り2ヶ月で個人的 No.2 となった本作が巡ってきました。
ラストも含め大満足なドラマを楽しめて、シアワセな中国ドラマライフです!
長文にお付き合いいただきありがとうございました。