『 フライト・トゥ・ユー』 中国ドラマ 鑑賞記録
旅客機のパイロット、空港、コックピット、飛行機などなど好きなものがいっぱい見られそうだったので、制作の頃から目を付けていたドラマ。
ドラマとはいえ本格的な映像が安っぽくなくて楽しめました。
中文台詞を聴きながらAI字幕を読むスタイルで視聴。
『琅琊榜』以来なかなかお目に掛る機会がなかった王凯は、現代ものも凛々しくて素敵でした。
というわけでさっそく始めたいと思います!
舞台は鷺洲航空という航空会社。撮影地は厦門。映像は海辺の景色と大空が解放感いっぱいで気持ちがいい。
主人公 程霄(谭松韵)は貨物部門のパイロットとして経験を積み、いずれは旅客機の機長になることが夢。
その上司で、彼女の夢を支えていくのがもう一人の主人公 顧南亭(王凯)。旅客飛行部副部長を務めている。
2人を取り巻くのは程霄の同僚 宋宋、友人の夏至、顧南亭に想いを寄せる李语珩、友人の倪湛、上司の江韬ら。
登場人物は比較的少なくて彼らがそれぞれ、友人、主従、恋人、片想いなどの関係性を変化させていく成長物語だ。
気の強さ半端ない 程霄
程霄は貨物部門が閉鎖になったことで旅客部門に移るのだが、そこで上司になった江部長こと江韬 は女性パイロットの登用に反対の立場。それもかなり筋金入り。今時ねー、という感じだけれど同時に実際女性パイロットってどのくらいいるのだろう、とも思った。宇宙飛行士だっているのだからきっといるのだろうが、女性の進出が難しい職域であろうことは想像に難くない。
ただ、直属の上司である 顧南亭は女性の味方! 何せ元カノも女性パイロットだったのだ。だった、というのはもう亡くなってしまったから。自ら操縦する飛行機事故で、だ。その影響で 南亭は極度に安全性に対して厳格で、部下にも厳しい鬼上司。でも実は心優しいのだけれどね。
早い段階で二人はお互いを意識し合うようになるのだが、そこはドラマの常、晴れてラブラブになるのはずーっと先。
それまでは彼らの恋愛模様を軸に、女性の進出や恋敵とのあれこれ、親子の対立などが描かれていく。
やはりこのドラマ出色なのは 谭松韵演じる 程霄だと思う。
乗客の安全を第一に責任ある機長という立場になるために男性と同じ訓練を受け、複雑な機器を扱い、操縦以外にも様々な能力を求められるのは体力的にも相当きついだろう。
女性がいない職域に、江部長のような反対派と渡り合って男性社会に食い込んでいくには、ちょっとやそっとの気構えでは無理と思われる。
しかもこのドラマは恋愛面でも視聴者が納得するキャラを演じることが必要なので、相応のビジュアルや魅力も備えていなければならない。
と思うと、この役がぴったりハマる女優さんてなかなか思い浮かばない…
なぜこんな書き方をするかといえば、実は谭松韵のパイロット姿がピンとこなかったから。小柄だし(162cm)個人的にはどちらかといえば、カッコイイよりかわいい印象。その上 南亭のみならず 湛哥こと 倪湛からも熱い想いを寄せられるという設定なのだ。
因みに倪湛は、同航空会社の整備部の部長! エンジニア部門の出世頭で、南亭と共に次期副社長候補のエリートなのだ。しかもイケメン!
そう。程霄とは、初の女性機長候補で、航空会社社内の超エリート(しかもイケメンw)二人を翻弄するという、最強ともいえる女性なのだ。
そんな人、そうそう演じられる女優さんいないと思う。
クールビューティー過ぎてもウソっぽいし、バリバリのデキる女性でもダメ。
結局のところ、わたしの中では 谭松韵という女優さんの起用は正解だったのだろうな、と納得した。
時々可哀想なくらいの 顧南亭
そんな彼女に振り回されるのが南亭だ。規律には厳格だが、実は心優しくて思いやりが深すぎるあまり、口に出すべき言葉も飲み込んでしまう。それが 程霄の誤解を生み、いちいち衝突してしまうのだ。言ってみれば正反対ともいえる性格の二人。合うんだか合わないんだか(笑)
確かに 南亭の言葉足らずのせいで 程霄が傷ついたこともある。でもほとんどの場合、南亭が劣勢。またそんな目に会わされてーと何度思ったことか。
この性格は、程霄に対してだけではなく、長年の友人であり三角関係にもなってしまう 倪湛との関係でも災いする。倪湛はある意味単純、よく言えば真っ直ぐ正直な人なので 程霄に対してもストレートに感情表現をする。
そしてさらに南亭の元カノは倪湛の従妹でもあるということが、話をややこしくしてしまうのだ。
女子に対してなんだか初心そうな 南亭に対して、程霄は男慣れしてるというか積極的で、余裕で南亭をからかったり挑発したりする。まだ相手の気持ちが自分に向いているのか確かではない段階で、よくそんな大胆な行動に出られるよね、という感じ。見てるとほぼイジメみたいに見えてホント可哀想になったこと一度や二度じゃない。
まぁそれもこのドラマがユニークなところかもしれない。
取り巻く人々
大学院卒の语珩は幼馴染の 顧南亭にあこがれてCAになる。その语珩のことが好きだった 宋宋は自分に目がないのを悟り 夏至に気持ちが移っていく。
ちなみにこの3人はルームメイト。CAやキャプテンの生活ぶりも楽しかった。
余談だけれど、近頃日本のドラマはスケールが小さい話が多くて、憧れられるような生活が描かれる作品はめったに見かけないけど、中国ドラマで目にする一般社会の生活は本当に豊か。ご飯もおいしそうだし、部屋も広い!
ドラマで憧れを描くって若い人には必要なことだと思うのだけどなー。
閑話休題。
他にも客室乗務員部門部長、艾佳。CAのリーダーであるこの人はCAの鏡のような女神のような、癒しキャラだった。夫君も素敵な機長さん。
そしてキーパーソンとなるのは江部長。この人は徹頭徹尾 程霄と 南亭の道を妨害してくる。笑うとエクボがかわいいのに、考えてることとやってることは非常に下衆。パワハラ満載、とにかく汚い手を使ってくる。いちいち、これでもかと憎たらしいのだが、わたしは悪役こそドラマのキモだと思ってるので、上手いなーと心の中で拍手を送りながら観た。
大団円への遠い道のり
ハピエンなのはわかっていたが、最後の最後までヤキモキさせられた。
航空会社の物語らしく、フランクフルト、東京、パリ、パナマと、程霄のために文字通り世界を股に掛けて奔走する 南亭。
いやいや、そこは電話してから行こうよと思ったのはココだけの話だがw
さらにもうあと数話というところで、一抹の不安を煽るような描写あり。
残り最終話になってもこのエピソードは持ち出されないので、てっきり編集ミスか?と思いきや最終話でさらに一波乱あるという念の入った構成。王之 監督の演出が素晴らしかった。
ラストは中国初の国産旅客機の初飛行機長、かつ鷺洲航空初の女性機長として大空に飛び立つ 程霄。
それを見上げる 南亭と 倪湛。
責任を持って正義のために立ち向かっていくことの大切さ。人への思いやり。友情。家族愛。人間愛。恋愛。
沢山の理想が詰まった素敵なエンディングだった。
毎回欠かさず聴いたED曲、刘宇宁の歌う《引力》もとてもよかった。
航空会社の話は機体を用意したり空港の使用などコスト掛るでしょうから、やっぱり今の国内ドラマでは難しいのだろうなと思いつつ、近視眼的な生活密着型のものばかりではなくて、こういうスケールの大きな、清々しくてワクワクできる作品も、たまには観たいものだと思わざるを得ませんでした。
でもまぁ、こうやって海外のドラマを、その番宣も含めてリアタイできるっていうのはありがたいことですね!
因みに今ネットを見たら(2022年の記事)日本人女性機長は10名以下ですがいらっしゃるようです。
今日もお付き合いいただきありがとうございました。