『他是谁』 中国ドラマ 鑑賞記録
最近視聴してとてもよかった『狂飙』でも主演を務めた张译の主演作。リアタイには出遅れたけれど評判がよく、ポスタービジュアルの雰囲気もいい感じ。24話なら合間にいけるかな?と安易な気持ちで観始めました。
…が!
脚本が空回りしているのか、はたまたわたしの未熟な中文力ゆえか、途中から急激に失速した感があり。
いつになく辛口な感想になりそうで心配です…
もしもなってしまったら面白いと思われた方やファンの方、ごめんなさいー。
中文字幕で視聴しました。
主役
最近のヒット作『狂飙』と同じく张译が刑事 衛国平 役。今回は大分性格が違い、気性が荒くて頑固。
メインストーリーは1988年に起こった未解決凶悪事件、通称「88案」とその8年後に起こった同様の事件の謎を追う展開。そこに主人公 衛国平 と事件に関係している彼女 聂小雨 との恋愛が付随的に描かれていく。
粘り強く一途な警官である一方、衛国平は手が付けられないほど主張が強い。だが刑事仲間は彼の無茶ぶりな指示によく付いていく。
例えば証拠品集めでゴミ集積場の山を片っ端から漁らせたり。
現在時点で発生したいくつかの事件は本当に88案と同一犯なのか?
というところが主軸なのだが、過程で捕まる容疑者が思わせぶりで、結局は別案件だった。
88案で相棒刑事を亡くしている 衛国平の事件解決への執念が、捜査を歪曲させてしまっていたのだ。
この辺りから、捜査もドラマも次第に迷走が始まっていく…
彼女
宝華というグループ企業のトップ 聂宝華は、表向きは実業家だがグレー極まりない人物。その妹が 衛国平の彼女 聂小雨だ。
上の写真のように大変可愛らしい。性格も明るくて素敵な人。张译はモテる役多いなーと感心するばかりだ。
だが、刑事、悪役、その兄妹、という関係性はありがち過ぎて、余程上手い脚本でなければベタになってしまうだろう。本作もその罠にはまってしまった感がある。
ムリなところをドラマチックに描こうとした余り、ムリを重ね過ぎて破綻寸前(笑)
彼女はその力業な脚本のとばっちりを受けた人物の最たるものだと思う。
中盤、犯人に捕らわれるのだが(最初の案件でも既に被害に合っている)酷い環境に置かれたまま、一向に救出されない。めちゃめちゃ可哀想である。
警察なら、有能な刑事なら、とっくに見つけていてしかるべき場所だと思うけどなぁ…
脇役たち
彼女の兄、聂宝華は 衛国平の幼馴染という設定。表向きは手広く事業を展開しており大変裕福であるが、出入りする人達は非常にガラが悪い。
何しろ、危ない仕事で彼らがケガしても病院に行かせられないから、家に手術室が設けられているのだ!(ガクブルw)
そして出入りする面々の内、特別扱いされてる一人が 赵公子(趙ぼっちゃん)こと 赵世杰だ。
話は反れるがこの俳優さんどこでお見掛けしたのか?と思ったら『風起隴西』の楊儀、『大明皇妃』の朱高煦を演じた 俞灏明であった。
それぞれ役柄に成り切っておられて、特に朱高煦は調べるまで気付かなかった!
今回の役も、公子とおだてられながらも、どこか卑屈な人物を好演していた。
さて。
その他、衛国平の同僚女性刑事 顧開岩に 许芳铱、衛国平の妹に想いを寄せる 王德发に刘冠麟など、いい演技だったなと思う。
がしかし、またここでも脚本への疑問が…
衛国平の上司で師匠の公安副局長 顧衛東は 顧開岩の実父という設定。
同じ部署内の刑事が、親子。しかも女性。って普通に本人も周りもやりにくいのでは? 中国では一般的なのだろうか。
舞台は寧江市という架空の街だが、人口の多くない地域ではあり得るのかしら。
案の定、父親が娘に想いを寄せる刑事を牽制したり、娘の捜査を制限したりと、公私混同めいた描写も出てくる(笑)
終盤
捜査は徐々に本丸に近づく。犯人はアイツなのか?!
とってもとっても悪い、嫌な奴!はっきりいってクズだ。
でもそんな緊迫感もどこへやら。
何故なら主人公の衛国平は不手際で捜査から外されたり、持病が悪化して入院したりで、ちょいちょい不在になってしまうのだ。
なので、捜査とは別のところ(悪人たちの抗争)で自動的に犯人が絞られていく。何となく中途半端で消化不良な感じが否めない。
クライムサスペンスの終盤の、畳みかけるような鮮やかな捜査の爽快感、主人公たちの身体を張った活躍の感動、などがないままに事件が解決に向かっていく…
あれ?
あれれ?
と、なんだか乗り切れないうちに、あと2-3話? …な感じ(笑)
見所であるべき衛国平と聂小雨の愛の合言葉「站住!」(とまれ!)にも萌え切れないまま、ついに犯人逮捕!!
… … な、の、か?!?!
その後、
いやいや~
あれだけ悪行重ねた人物に今更説教してもねー
今更本人に懺悔されてもねー
という納得いかない描写もあり。(このあたりはお国の指導が入っているのかもしれない)
それにしても、いくら何でも、あれはお兄ちゃん気の毒だったし。
あの人は最後まで口を割らないし。
というわけで、「他是谁」(彼は誰なのか?)
…というタイトル通りのオチであった。
枝分かれしたサイドストーリーがどれも散漫で描き込みが足らなかったように思う。
主人公二人に関しては、衛国平の人物造形に一貫性を感じなかったけれど、聂小雨の芯の強さには共感できた。
雲南で頑張ってほしいな。
思いのほか辛口になってしまって、ドラマを楽しんでおられた方にはすみません。
24話と短くなかったら脱落してたところでしたが、中国語学習も兼ねて観終わることができました。
最近めちゃ当たりなサスペンス(狂飙、回响、尘封十三载、破冰行动)を立て続けに観てしまってるので、それも影響したかもしれません。
ドンパチ荒っぽいのが続いてしまったので、そろそろ別ジャンルを観て心を癒したいと思います。
拙い感想をお読みいただきありがとうございました。