『紳士探偵L ~魔都・上海の事件録~』 中国ドラマ 鑑賞記録
日本放送時は40話構成のものもあったらしいのですが、わたしは amazon prime で視聴し、本国と同じ全24話でした。確かに途中、中途半端なところでオープニング映像が出てきて、はて?となってました。
24話という手ごろな長さ、トリックは本格的なのに適度に軽妙なタッチの作品で、とても観やすく面白かったです。
ただ、最後の部分でどうしても書きたいことがあるので、ネタバレします。
未視聴の方、ごめんなさいです!
舞台は上海租界
上海租界の雰囲気が再現されたセットや衣装が素敵。(上の画像参照)
登場人物の名前や建物も、ミステリーの本場英国を意識してか英語をもじっていたりしておしゃれ。
例えば主役の羅非(ルオ・フェイ)探偵や、秦小曼(チン・シャオマン)新米刑事、本杰明(ベンジャミン)検視官、など。
その小曼が借りた部屋は 沙利文公寓(サリバンアパート)。そのお向かいさんが白宇演じる敏腕探偵の羅非だ。羅非は小曼の配属先である上海フランス租界警察で特別顧問をしているが、実は元刑事。
その二人が組んで事件を解決していくことになる。
3話で1エピソードなので、合計8つの事件が描かれる。テンポよく、銃撃戦やアクションシーンもなかなかの迫力。ミステリーのロジックはかなり複雑で凝っているが、こちらが推理する前に羅非がサクサク解いてくれるので、ある意味ノーストレス(笑)
どんなトリックも割と簡単に解いてしまう羅非の口癖は「没错!」(その通り!)
そんな羅非が小曼に解かせる謎はいつも超簡単で、その答えに対してこの台詞が登場するのだ。
(因みに白宇が出演していた推理バラエティ『開始推理吧』でも彼はよくこの「没错!」を連発してたけど、あれはこの役をパロっていたのねw)
レギュラーの登場人物はこのほか
・汪蘇蘇(ワン・スースー)アパートの大家さん
・霍文斯(フォン・スーウェン)警察で犯罪心理の顧問も務める心療内科医
・沙威(サボイ)フランス租界中央警察署の刑事部長
・葉常青(イエ・チャンチン)小曼の先輩刑事
など。
わたしは綺麗で気のいい汪蘇蘇と、羅非に勝手にライバル意識を持ってるけど実は全然歯が立たない葉常青が好きだったなー!
8つの事件
3話で一つの謎が解明されるので、一つ一つじっくり味わえる。起承転結もしっかりしていて、適度に翻弄されるし、羅非が鮮やかに謎解きしてくれる爽快さもいい。視聴しているだけでは絶対に解けないトリックが組まれてるので(笑)無駄な推理に頭を使う必要もなく、ただ流れに任せて楽しめる。
8つのエピソードの内では「ほほ笑む黒衣の女」と「山頂の迷宮」がよかった。終盤にかけて羅非と小曼の距離が近づいていくのだけど、少しひねくれ者の羅非と真面目な小曼だから、そうすんなりとはいかない適度な焦らされ感が、またいい。
トリックとしては「ほほ笑む~」が一番よくできていた気がする。ちょっとあれは予想外の展開だった。面白かったなぁ。
このエピ以降、活躍の幅(?)を広げていく霍文斯先生は、とってもイケメンだ。それだけに最初の登場からとーっても怪しかった。しかも心理学者なので色々と人の心を見抜いていそうで怖さが増す。
と思っていたら、やっぱり!な展開(笑)この話はあとで。
一風変わった検視官の本杰明は、元々 羅非とは気心知れているが、後半で小曼も交えた3人の連携が小気味よくかみ合っていくのもよかった。
特に最終話の橋の上のシーン。羅非が小曼に自分を信じるか?と問い、しっかりとうなずき返す小曼。そしてその両脇で本杰明と、わたしのお気に入りキャラ 葉常青が声をそろえて「一起」(一緒に)と足を踏み出すシーンは、本作中で一番好きなシーンかもしれない。
最初は反抗的だったのに、だんだんと羅非の実力を認め始め、最後はとても協力的になる葉刑事、やっぱりいいわ!
最終話ー!!
問題はこれ。
前エピソードまでで小曼と羅非のロマンスはいい感じに盛り上がってきていて、最終話ではどうなるのかなーって楽しみにしていた。
そして、繰り返し出てきていた羅非の妹 小鹿の爆破事件と、キャプテンの正体の真相がいよいよ暴かれるのも。
だが、最終エピソードには 突然大悪党の金不敗(ジン・ブーパイ)が登場し、いきなり自首してきて引っ搔き回し、そこに潜入捜査官の魏峰(ウェイ・フォン)が姿を現し捜査の主翼を担う。
あれ?小曼どこいった?
金不敗はキャプテンに繋がっていくのよね?
と最後の期待にすがりながら観続けるも、どんどん話は反れていく…
結局、案の定 犯人の糸は霍文斯に結びついていったものの、キャプテンの謎は明かされず終い。
これはやはり「続編ありき」で最終話を構成したとしか思えない!
にしても、もう少し今シーズンで決着をつけてくれないと、視聴者としては消化不良感が残るだけだ。いやー、残念。
ただ
霍文斯ってキャプテンと似てるよね、親子なんじゃ?
とか
キャプテンの左右にあったこめかみの傷って爆破装置と関係あるの?
とか
色々次への期待も膨らんだことは確かだ。
エンディングだけは不満の残る作品だったけど、全体的には面白かったといえる作品であった。
俳優さんたちも、ゲスト出演含め豪華な方々だった。
特に最終エピの金不敗 役 修慶は、たまたま自分が観ている作品に出演されているのか、しょっちゅうお顔を拝見している役者さん。大きな目でギョロリと周りを威圧する目力が凄い。
主役の尤靖茹はこの作品で初めましてだったが、可愛らしくて素敵な女優さんだった。北京オリンピックの演出に参加されてるらしいが、どういうことだろう。それから今すごく観たいと思ってる『開段』にも出演されてるそうなので、ますます観たくなった!
白宇に関しては、言うに及ばず、いつもながら圧巻のお芝居だった。
ここだけの話、髪型だけ時々、ちょっと似合ってないと思う時が。でもこれはスタイリストさんの問題ね(笑)
というわけで、本作への後書きはシーズン2よりも「もう一つの最終話をお願いしたい」に尽きます。
せっかく完成度が高い作品だったので、よくあるシーズン2の失敗はもったいないな、と。
拙いレビューをお読みいただきありがとうございました!